ぐわんげ

ケイブ Xbox Live アーケード 縦スクロールシューティング

 

左スティック、方向パッド 自機、カーソル移動

Bボタン ボム、キャンセル

Aボタン ショット(押しっぱなしで式神)、決定

Xボタン(Cボタン) 連射ショット

スタートボタン ポーズ

(ボタン配置は各モードごとに自由に設定可能。上記はアーケード及びブルーのもので、360はまた異なる)

 

和風テイスト

「ぐわんげ」は、ケイブがアーケードで1999年に発売した縦スクロールシューティングのシリーズ第1弾。アーケード版の販売はアトラスが行いました。

時は室町時代、「式神」に憑りつかれ、1年で命を吸い尽くされる運命となった3人の式神使いが、式神から解放されるために式神を駆使して戦う、といったお話です。

シューティングゲームとしては異例の純和風な世界観や、強力な攻撃と同時に敵弾を受け止め消去する式神を駆使した独自の戦略性や爽快感が魅力的であり、日本のみならず海外でも熱心なファンを獲得しました。

また、特に敵弾の消去は本作以降のケイブ作品には欠かせない要素として定着しました。

一方で、式神の使いこなしが難しいことを筆頭に、ややプレイヤーを選ぶ作風となってしまった感は否めず、またビデオゲーム全体の衰退もあってヒットには至りませんでした。結果として、ケイブの次回作である「プロギアの嵐」のリリースまでに2年もの空白期間を余儀なくされる等、雌伏の時を迎えることとなりました。

2010年11月にXbox 360のダウンロードサービス「Xbox Live アーケード(XBLA)」向けに配信された移植版は、アーケード版や幻のブルーバージョンの完全移植に加え、馴染みやすさや爽快感に特化したアレンジモードを搭載するなど、完全版ともいえる仕上がりとなりました。

 

アーケード・ブルーモード

本作のルールは、ライフ制+残機制という点がシューティングとしては珍しいですが、それを除けば敵弾を避けつつ敵を撃ち、最後に立ちはだかるボスを倒せばステージクリアと、概ね他のシューティングと変わりありません。

しかし、いつものように適当にショットを撃っているだけでは、大きな敵を倒すのに時間がかかったり、ショットが届かない場所にいる敵から一方的に攻撃されたりして、あっという間に画面が敵弾でいっぱいになってしまい、にっちもさっちもいかなくなるのがオチです。

そこで出番となるのが、式神です。Aボタン押しっぱなしで呼び出し、方向キーで自在に移動させられる式神は、3つの点において優れています。1つ目は、敵に合わせると高威力の爆弾を投下することです。大きな敵を素早く倒せるのはもちろん、ショットの届かない場所への攻撃も難なく行えるため、格段に攻撃力が増します。

2つ目は、敵弾に合わせると弾速を遅くできることです。まともには避けられない弾幕も、いったん式神で受け止め、その隙に式神を引っ込めて横に逃げれば、簡単に避けることが出来ます。

最も、式神を出している間は左右にゆっくり移動することしか出来ませんが、仮に敵弾に当たったとしても、式神を出していればダメージを半減できることも大きいです。

最後に、敵弾を受け止めピンク色にしている状態で敵を倒すと、ピンク色の敵弾が消去され、アイテムとして自動回収することです。つまり、避けなければならない敵弾が減り、その分楽になります。

以上より、本作のセオリーは、式神を使って先手を打ち、バリアのように敵弾を受け止め消去して退路を確保することです。

つまり、本作は寝ても覚めても式神ありきの作風で、通常ショットはほぼ式神だけでは回避しきれない敵弾を回避する時に発射するもの、と考えるべきです。

それさえ理解できれば、自分はほとんど移動することなく式神ひとつで片っ端から敵を倒していく征服感、ザ・ワールドのごとく敵弾が命中する直前に式神で受け止め、何事もなかったかのようにやり過ごす「してやったり」感、そしてほとんど避けを意識することなく敵ごと敵弾を破壊して、アイテムを回収しまくる爽快感といった、本作ならではの面白さを味わえるようになります。

しかし、その快感を味わえるようになるために超えるべきハードルは、あまりにも高いと言わざるを得ません。他のケイブと同じ感覚で式神を出したまま弾幕を避けようとすると、極めて低速かつ左右にしか移動できないために避けきれなかったり、避けに専念するあまり式神が敵から外れてしまい、そのまま立て直せずに一方的に食らいまくったりすることもザラです。

ついでに、式神で敵弾を受け止められることは、言いかえれば下手に受け止めて敵弾をその場に固めてしまい、結局避けられなくなるシチュエーションも想定されます。

このように、式神を使いこなせるようになるには、それこそ免許を取得するほどの練習が必要かも知れません。それを揶揄して「免許ゲー」などと呼ばれることさえある本作は、独特の和風テイストに惹かれながらもゲームに拒絶されるプレイヤーを数多く生むこととなってしまいました。

そんなプレイヤーの受け皿となるべく新たに誕生したのが、Xbox 360モードです。

  

Xbox 360モード

Xbox 360モードの大きな特徴は、式神が大幅に強化されたことです。具体的には、2点の強化ポイントが挙げられます。

第1点は、自機と式神をそれぞれ左右のスティックで、独立して移動できるようになったことです。つまり、ダメージ覚悟で式神を出し続けるか、それとも回避を優先して式神を引っ込めるかの板挟みに悩まされたオリジナルとは異なり、攻撃と回避の両立が可能となりました。

第2点は、弾消し効果の全体化です。

 

配信までの経緯

虫姫さまふたりの開発の真っ最中であった2009年半ば、あるファン参加型の企画が行われました。それは、XBLAで配信して欲しいタイトルの人気投票を行い、1位となったタイトルを配信する、というものです。

つまり、本作は初めから配信が予定されていた訳ではなく、この企画でたまたま1位を取ったから配信された、という訳です。また、XBLAでの配信が確定する前は、PC向けの配信の可能性も仄めかされていました。

せっかくなので、ケイブ開発日誌の2009年9月1日付から、人気投票の結果をご覧入れましょう。なお、2013年現在、Xbox 360でプレイできるタイトルをライム色で表示しています。

順位 タイトル 備考
1 ぐわんげ 配信決定!
2 エスプレイド  
3 怒首領蜂 2010年、ゲームアーカイブスでPS版が配信。
2011年、アドベンチャーゲーム「インスタントブレイン」にKinect対応でオマケ収録。
4 プロギアの嵐 版権はカプコンが所有。
5 ピンクスウィーツ 2011年、パッケージで「むちむちポーク!&ピンクスウィーツ」として発売。
6 虫姫さま PS2版は発売済み。2012年、パッケージで360版が発売。
7 弾銃フィーバロン M2による移植が告知されるも、開発凍結。
8 むちむちポーク 2011年、パッケージで「むちむちポーク!&ピンクスウィーツ」として発売。
9 エスプガルーダ PS2版は発売済み。
10 鋳薔薇 PS2版は発売済み。
首領蜂 2010年、ゲームアーカイブスでPS版が配信。
虫姫たま  
ケツイ 2010年、5pbよりパッケージで発売。
怒首領蜂II IGS開発、カプコン販売。
魚ポコ  
デリソバデラックス TBS系列「東京フレンドパーク」の同名のアトラクションのゲーム化。セガサターン専用の非売品。
怒首領蜂大復活 2010年、パッケージで発売。

日本のファンからはエスプレイドの人気が最も高く、ケイブの浅田氏もそれが1位となると予想していたそうですが、海外のファンからの後押しにより、ぐわんげが1位になったと言われています。人気はともかく、ぐわんげの直接的な後継作は今のところ存在していないため、今遊ぶには最も打ってつけと言えるのではないでしょうか。

また、プロギアの嵐も、過去に開発日誌で「移植は無理」と断言されていたにも関わらず、4位という高めの順位をつけ、根強い人気をうかがわせました。とはいえ、仮にプロギアが1位になったとしても、大人の事情により、配信まで漕ぎ着けられたかどうかは未知数です。

大人の事情といえば、怒首領蜂IIやデリソバDXも同様です。特に、デリソバDXは放送当時、ケイブ制作によるゲームソフトが非売品としてプレゼントされていた、という事情があるため、今なお希少価値の高い代物とされています。いずれにしろ、投票する方も投票する方ですが、わざわざ載せるケイブもケイブですね。

さらに、ランク外とはいえ、曰くつきであったケツイが投票されていることも涙なしには語れません。少数ながら投票された理由は、当時あるトラブルによりケツイの発売が無期限延期となっており、クオリティも不安視されていたためであると思われます。

結局、ケツイは無事発売され、クオリティも一連のケイブ作品ほどではないものの一定の水準をクリアしていたため、ファンはホッと胸を撫で下ろしましたが、それはまた別の話です。

ちなみに、浅田氏は2位以下の作品についても前向きに検討する、と公言し、実際ランクインしたタイトルの一部は後にパッケージとして発売されました。それとは別に、ハードにこだわらなければ遊べるタイトルはより多くあります。

一方で、採算が合わないとの理由から、肝心の2位であるエスプレイドが配信される予定はなく、また一旦移植を告知したフィーバロンが開発凍結し、配信未定となってしまったのは残念です。

 

最後に

本作で一番やりたかったことは、ズバリ「配信までの経緯」です。既に3年以上前の話であり、開発日誌から探すのも大変となってきているため、いつでも簡単に読めるように、と思ってまとめました。

 

戻ります