トバル ナンバーワン
ドリームファクトリー/スクウェア プレイステーション 3D対戦格闘
十字キー キャラクター移動
△ボタン 上段攻撃
□ボタン 中段攻撃
×ボタン 下段攻撃
○ボタン 決定
L1ボタン ジャンプ
R1ボタン ガード
(ボタン配置は2種類から選択、自由に設定可能)
スクウェア PSソフト第1弾
「トバル ナンバーワン」は、ドリームファクトリーが開発、スクウェアが1996年に発売した3D対戦格闘。
360度フリーバトルやつかみ等の斬新なシステム、鳥山明氏によるキャラクターデザイン、そして何と言ってもFFVIIの体験版が付いてくるという触れ込みで話題をかっさらい、66万本の売り上げを記録しました。
しかし発売後は地味だとの否定的な意見が相次ぎ、確かに売れたもののそれはほとんど体験版のおかげと言っても過言ではなく、トバルそのものの評判はあまり良くありませんでした。
とはいえ後の格ゲーに与えた影響はけっこうあり、その辺りは評価されて然るべきでしょう。
独特のゲームシステム
基本的なルールは普通の3D格闘と一緒ですが、リアルさを追及するために新たな試みが多数導入されています。また、家庭用オリジナルであるためか、難しいコマンドがないのが嬉しいところです。
・360度フリーバトルシステム
まずそれまでの格ゲーと根本的に異なることといえば、方向キーを上下に入れるとその方向に移動することでしょう。
今日の3D格闘でこそ何てことありませんが、当時の格ゲーはレバー上下でジャンプしたりしゃがむのが当たり前で、軸移動があったとしても一部のキャラだけだったり、特別なコマンドを入れなければならないものでした。
しかしこのトバルでは簡単操作で自由に動き回ることができ、見た目は立体で中身は実質平面だった3D格闘ゲームに新たな風を送り込み、その後バーチャファイターやソウルキャリバー等にも取り入れられ、立体的な駆け引きに欠かせない存在となりました。
ちなみに、格ゲーで8方向に自由に移動できるのはトバルが最初ではありませんが、3D格闘では初めてだったことと、知名度の関係から大々的にアピールされました。
・つかみシステム
相手を掴んだ後に色々出来ることも大きな特徴です。コマンドは全て右向き(最初に1Pがいる方)の時のものです。
ほとんどの格ゲーでは、掴んだらすぐ投げるか殴り続けるものですが、トバルではガード+中段で相手を掴んだ後はガード+中段で投げるのはもちろん、同じ方向キー2回(例:→→)でそのまま4方向に移動したり、上・中・下段で打撃を入れたり、→←で崩して相手の向きを変えることが可能なのです。移動してからの投げは通常より大きなダメージを与えられます。
もちろん掴まれた側も←←で掴みをふりほどいたり、移動方向の逆に方向キーを入れっぱなしで踏みとどまったり、防御や反撃も出来ます。
と、コンセプト自体は良いのですが、キャラにもよりますが大ダメージ・投げ抜け不可・リングアウトさせやすいと、移動投げが強すぎるせいで、せっかくの打撃や崩しを使う必然性がとても希薄なものとなってしまい、このシステムはあまり活かされなかったように思います。
もちろん対戦でお互いにシステムを熟知していれば、それなりに駆け引きを楽しめるのですが、アーケードで出ていないこともあって1人プレイがメインとなる以上、その機会には恵まれず、ゲームもそれ以上には楽しめなくなるという悪循環まで発生してしまいました。
それだけでなく、覚えることが多くなって初心者には厳しい事もあってか、つかみシステムは続編のトバル2と、トバルの流れを汲むエアガイツに一部変更して採用されたぐらいで、上記のシステムとは異なり後の格ゲーに大きな影響を与えるまでには至りませんでした。
・その他
上記の2システム以外にも、上段・中段・下段に攻撃ボタンが割り振られていたり、ボタンひとつでジャンプ出来るのも珍しい要素ですが、これもトバルが初めてではありません。
ジャンプは大きいのでも現実でできるぐらいのものですが、よく考えてみれば3Dで無駄に高々とジャンプする必然性がないため、僕の知る限り鉄拳シリーズでは3からジャンプが小さくなる等、小さいことですがこれも後の格ゲーに影響を与えました。
また、このゲームのリアル格ゲーぶりを象徴するのが、アッパー等の攻撃を食らっても高々とは浮かず、空中コンボが出来ないところです。(ただし、ジャンプ等で空中に浮いている相手に連続技を当てることは可能)
空中コンボをやる側はともかく、やられる側はこの上なく腹が立つので、この仕様は個人的には大歓迎でしたが、これは少数派の意見だったようで、トバル2では従来通り空中コンボが出来るようになりました。
謎のクエストモード!?
トバルには格闘モードとは異なる1人用のクエストモードが用意されており、当時は他にこういった特殊なモードを搭載したゲームは無かったため、これも大々的に宣伝されました。
内容はキャラクターをひとり選び、ダンジョンを進んでトラップを避け、モンスターと闘い、アイテムを入手してパワーアップや体力回復をしたりして、ゴールを目指すというものです。
お金を貯めてアイテムを買ったり、手に入れたアイテムを売ることも出来るため、当時の雑誌などでは「RPGのような〜」と解説されていましたが、キャラクターの状態はセーブ出来ないため、「成長要素のあるアクションゲーム」という解釈が正しいと思います。
ダンジョンはプラクティス、エピソード1・2・3、ウダンズダンジョンの計5つありますが、最初はプラクティスしか選べず、ダンジョンをクリアすることで新たなダンジョンに行けるようになります。
また、エピソード1・2・3、ウダンズダンジョンをクリアすると、それぞれ「スノーク」、「ムーフー」、「ウダン皇帝」、「鳥山ロボ」が選べるようになります。
スノークはトーナメントモード10面に出てくるノークのちっこい版で、肝心のでっかいノークはCPU専用キャラとなってしまっているため、がっかりしたものです。しかし今思えば、ノークが2匹出ると画面がちらつきまくりになるだろうから、こうしたんだと思います。
クエストモードで出てくる薬はさまざまな効果をプレイヤーや敵にもたらしますが、効果は完全にランダムであるため、毎回新鮮な感覚で楽しめるのが特徴であり、また苦しい点であります。
ちなみに、ウダンズダンジョンは全30階もあり、運が悪いとクリア不可能という理不尽なまでに難易度が高く、技術や知識はもちろん、運まで味方につけなければならないという、厳しいダンジョンですが、それだけにクリアした時はかなり嬉しかったものです。
詳しいことはいずれ別の機会に紹介するつもりなので、期待せずに待っててください。
オプション
オプションモードでは難易度や時間、規定ラウンド数、KO後に体力を回復させるか、ボタン配置の設定とプラクティスモード、データのロード・セーブができます。
時間は最初は30秒になっていますが、これでは時間切れになる事が多いので、40秒にしてプレイしています。
ボタン配置はパッド向けの配置、ジョイスティック向けの配置の2種類のほか自由に変更することが出来ます。しかし元々アーケード向けでないため、ジョイスティックではかえってやりにくいです。よって、大抵はパッド向けで問題ないでしょう。
プラクティスモードはただ単に技の練習が出来るというだけで、これで実戦練習は積めません。しかし、投げ抜けポイントを知ることが出来ますので、クエストモード制覇を目指すならしっかりと覚えておきましょう。