オーバートップ
本レビューで対象とする精通度:★★★★☆
(本作を除くレースゲーム、アーケード・家庭用ゲームに精通)
所要時間:約4分(最低限) or 約11分(たっぷり) or 約15分(全て)
注釈の注釈
「専門用語(注1A)」(本文)
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注釈を読んでから、もう一度
「専門用語(注1A)」:注釈
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黎明期よりレースゲームは車を模した大型筐体がメインで、かつ90年代前半から3Dポリゴンが主流となり、ファンを沸かせました。
一方、昔ながらの2Dのレースゲームは絶滅危惧種で、かつ大型筐体ゆえに大きめのゲーセンでしか遊べませんでした。
仮に大きめのゲーセンへ行けても、1回200円という価格設定に抵抗があった方も、いらっしゃった事でしょう。
バブリー路線の裏で、そんな悩めるレースゲームファンの受け皿となるべく、あるゲームが作られました。
昔ながらの2Dで、汎用筐体なので小さなゲーセンどころか駄菓子屋でも、1回100円以下で遊べる異例の隙間産業でした。
そのゲームこそ、「ADK(注1A)」が1996年にゲーセン及びネオジオで発売したレースゲーム「オーバートップ(注1B)」です。
家庭では長らくネオジオ(CD)でしか遊べませんでしたが、実に21年ごしに初めてPS4など現行ハードにて復刻されたのです。
↓全開最速ネオジオ最新最強のレースゲームが登場!
(注1A)ADK:アサツーディ・ケイでなく、かつて存在したゲーム会社。オーバートップの5年前にもネオジオで2Dレースを制作。
(注1B)オーバートップ:本レビューで解説。燃費やエンジンに優しいギアを指す自動車用語に由来か。
目次
最低限の文章で済ませたい方には「★」の項目のみ、たっぷり読みたい方には「☆」の項目も追加で読んで頂ければ幸いです。
それらを読んでもなお飽き足らないのであれば、ぜひ末尾が空欄の項目も読んで下さい。
目次より先に読んで頂いた項目です。
ゲームのルールや操作方法を解説します。
3Dポリゴンとは、また違ったクォータービューの2Dグラフィックが持つ魅力を考察します。
如何にオーバートップのコースが、起伏に富んで飽きさせないか考察します。
よりオーバートップの魅力を高める隠しルートについて解説します。
難易度やボリューム、そして完走までの時間により、如何に手軽に繰り返し楽しめるか考察します。
これまでの解説から、本作がどんなゲームで、どんな良さがあって、どんな方に向いているかを解説します。
文字通り、本作に関する、個人的な思い出話です。
本ページと何かしらの関連性や共通点を持つコンテンツを3つ紹介します。あと掲示板もどうぞ。
本ページについての、あとがきです。
まずは車を選びます。車ごとに旋回性能が異なる他、地形の向き不向きがあり出せる速度に差が出ます。
車を選んだらレース開始です。基本的な操作方法は他のレースゲームと同じですが、ATのみです。
違いは3つあります。1つ、ぶつからずにアクセルを続ける事で、最高速度が20km/hほど増える点。
2つ、素早く2回ブレーキで急停車し、続けてブレーキでバックできる点。最後に、ブレーキ中に曲がる事でドリフトできる点です。
チェックポイントを通過すると残り時間が40秒増えます。しかし99秒を超えた分は差し引かれてしまいます。
次のチェックポイントを通過する前に残り時間が尽きる、もしくは完走するとゲームオーバーです。
あくまで目標は完走なので、順位は関係ありません。コースは1種類のみです。
↓慣れないうちは、最初にカーソルの合っている車がオススメ。
確かに「オーバートップ(注3Aa)」は3Dポリゴン全盛の時代に逆行したゲームですが、魅力においては決して負けていません。
まず目を引くのは、ジオラマさながらの緻密なコース風景です。
砂利道や草木といった自然、アスファルトや建物といった人工物いずれも写実的に描かれており、雨や雪まで降ります。
またコース外を彩る観客に加え、レースと無関係に活動する農夫や動物、そして遊牧民からは、異国情緒さえも感じられます。
もちろん、主役たる車やバイクも見逃せません。小さいながらも3Dさながら、ぐるぐると立体的かつ滑らかに回る点は序の口です。
ジャンプや急停車での傾きに加え、角度によっては激突の際に垣間見える底面まで、しっかりと描かれています。
加えて、砂利道でガタガタと揺れる車、吹き飛ぶ藁やパイロン、そして路面に付くタイヤ跡など、拘りの職人芸が伺えるのです。
↓牛の出るゲームは良いゲーム。
それらに留まらず、忙しなく進行方向が変わりながら高速でスクロールする独特のスピード感も、2Dならではです。
このように、「オーバートップ(注3Ab)」は2Dグラフィックならではの魅力に溢れる一方、それと表裏一体の難点も少なくありません。
緻密なコース風景が裏目に出て、コースの境目が分かり辛い場面が多く、下手に端を走るとボコボコぶつかりがちです。
また、カーブの手前でナビが出るとは言え、3Dポリゴンよりコースの目視が難しく、動体視力が求められる嫌いは否めません。
ただでさえ下に見られがちな2Dで、かつ遊び辛いとあっては、やっぱり3Dポリゴンが良いや、と去られても無理からぬ事です。
それでもオーバートップは、そんな遊び辛さを克服してでも遊ぶ価値のあるゲームなのです。
2018年現在、見た目も中身も超リアルなレースゲームで溢れる一方、オーバートップの様なジオラマ的な雰囲気は珍しい筈です。
その雰囲気からは超リアルなレースゲームとは、また違った魅力や趣を感じ取れるのでは無いでしょうか。
↓慣れないうちは真ん中を走ろう。
(注3Aa)オーバートップ:本レビューで解説。燃費やエンジンに優しいギアを指す自動車用語に由来か。
(注3Ab)オーバートップ:上記3Aaを参照。本作の2Dグラフィックは「スーパードンキーコング」と同じくプリレンダーとの事。
レースゲームと言えば現実のレースに則り、一定の長さのコースを数周する物が一般的です。
しかし、ゴールまで休む暇なく周回の度に同じ風景を見る事となるため、長さや周回数によってはダレてしまう欠点もあります。
それに対し、「オーバートップ(注4Aa)」はラリーを模して周回せず、スタートからゴールまで常に新しい風景を見られるのです。
その風景も道路やトンネルから始まり市街地、田園、砂漠、そして雪道と多彩で、常に飽きさせません。
単に見た目だけでなく、選んだ車や地形ごとに速度や走り易さが変化する為、かなりのメリハリがあり起伏に富んでいます。
また、チェックポイントを通過すると約10秒のインターバルがあり、ほっと一息つける点も見逃せません。
完走に要する時間も5分ほどと手頃で、確実に時間切れですがコース外の観光でも楽しめる、懐の深さが実に魅力的なのです。
↓欲を言えば、もう少し雪道があっても良かったと思う。
(注4Aa)オーバートップ:本レビューで解説。燃費やエンジンに優しいギアを指す自動車用語に由来か。
前項で、「オーバートップ(注5Aa)」は起伏に富んだコースで飽きさせない、と書きましたが、コースは1つなので限度があります。
また、終盤に近付くにつれ残り時間が厳しくなる為、そう簡単には完走できません。
そこで、正規のコースとは別に、いくつか隠しルートを用意する事で、より飽きにくく、より完走し易くなっているのです。
おおむね正規のコースよりも簡単かつ近道なので、いかに有利な隠しルートを見つけて活用できるかが鍵を握っています。
ただし、一部を除き隠しルートは正規のコースと地形が異なる為、車によっては必ずしも速くなるとは限りません。
加えて、中にはミスらずに通る事が難しい隠しルートも存在します。それに拘った挙句、よけい遅くなる事態も起きかねません。
このように、自らの愛車や腕前、そして知識から最適なルートを判断する奥深さも、オーバートップの見所なのです。
↓たまには、ぼんやりデモンストレーションでも眺めよう。
なお、隠しルートの中には、格段に遅くなってしまったり行き止まりだったりして、全く通る必要のない物も存在します。
その筆頭が海水です。「ある車」を除いて通ってしまったが最後、超ノロノロとなってしまい、普段の倍近くの時間が掛かります。
しかし、その「ある車」は海水でこそ真価を発揮する、という小ネタが存在しており、一度は試してみる価値アリです。
また、せっかく見つけた隠しルートが行き止まりであった場合、ショックと同時に、こんな所にも入れるのか、と感心させられます。
レースに飽きたら、あえて全く通る必要のない隠しルートを通ってみるのも、悪くないのかも知れません。
以上より、「オーバートップ(注5Ab)」は隠しルートの存在によって、より飽きにくく、より完走しやすくなっています。
正攻法で行き詰まった時の頼み、探検の末に未知なるルートを発見する喜び、そして毎回ルートを変える気分転換の楽しさ。
これら全てを兼ね備え、実用性も含めて遊びの幅を大きく広げたアイデンティティ、それがオーバートップの隠しルートなのです。
↓おおっとジェネラル・パーパス選手コースアウト…っ!?
(注5Aa)オーバートップ:本レビューで解説。燃費やエンジンに優しいギアを指す自動車用語に由来か。
(注5Ab)オーバートップ:上記5Aaを参照。なお、ときどき敵車も平気で隠しルートを通る事があるので要チェック。
コースの見辛さを初めとする、取っ付き辛いイメージとは裏腹に、「オーバートップ(注6Aa)」は手軽に繰り返し遊べる作風です。
理由は低い難易度、豊富な隠しルートや音楽、そして短いプレイ時間の3点です。
ボコボコぶつかりまくっても難なく最終エリアまで辿り着けるほど易しく、隠しルートを活用すれば更に易しくなります。
コースこそ1種類ですが、気分に合わせて好きなルートを選ぶ事で、飽きずに繰り返し遊べます。
また、同じ車でも色を変える事で流れる音楽が変わります。のんびりした曲からノリノリな曲まで7通りも用意されて気分爽快です。
そして、完走までに要する時間は僅か5分ほどです。これなら、さほど集中せずとも楽しめます。
このように、オーバートップは手軽に繰り返し遊べる作風なのです。PS4版などは823円と、お手頃価格で購入できます。
↓一方、最速を目指すと一転してシビアに。
(注6Aa)オーバートップ:本レビューで解説。燃費やエンジンに優しいギアを指す自動車用語に由来か。
数あるレースゲームの中でも「オーバートップ(注7A)」は、昔ながらの2Dレースゲームの決定版とでも言うべきタイトルです。
ジオラマさながらの緻密なコース風景や目まぐるしく向きが変わるスピード感からは、3Dポリゴンとは違った趣を感じられます。
コースこそ1種類で、かつ5分で完走ですが、多彩な風景や選んだ車との相性により、実に起伏に富んでおり常に飽きさせません。
更に、いくつか用意された隠しルートを上手く活用する事で、より飽きにくく、より完走しやすくなっているのです。
必ずしも全ての隠しルートが有用とは限りませんが、それも含めてレースそっちのけで探す楽しみもあります。
確かに2D故の遊び辛さは否めませんが、それでも難易度は低く音楽も豊富で、手軽に繰り返し遊べること間違いナシなのです。
以上より、オーバートップは緻密な2Dグラフィックが好き、手軽に繰り返し遊べるレースをしたい、という方にオススメです。
↓すぐ封鎖される恐怖のトンネル。
(注7A)オーバートップ:本レビューで解説。燃費やエンジンに優しいギアを指す自動車用語に由来か。
現実の車の運転に支障が出るのが怖い、と言う理由で長年、僕は大好きだったレースゲームから離れておりました。
確かに両者は別物でしょうが、なまじ似通った部分がある点も事実であり、そのギャップが支障になる、と僕は感じた訳です。
しかし、良い意味でオーバートップには、そういう事が無いので安心してハマれて、特にギャップも支障も無く運転できています。
ゲームに関しては、隠しルートを知ってから初めて完走し、程なくして正規ルートでも完走できる様になりました。
ただ、完走できなかった時でもコース全体の9割は走れていたので正直、完走して拍子抜けした部分もありました。
それからは探検に興じましたが、噂のバイクだけが通れると言う隠しルートを見つけられずにいます。
ちなみに現在、PS4版のハイスコアモードで5位なのは僕です。これより先は、最初の青い車を卒業するしか無いんですかねぇ。
↓出来ればグラIIみたく、車ごとにランキングが分かれていると良かった。
・ジッピーレース
同じくPS4などで配信中のレトロな2Dレースゲームです。真上見下ろしながら、シビアさとスピード感は未だ健在です。
・ロックンロールレーシング
スーファミのアメリカ製2Dレースゲームです。往年の洋楽がBGMで、かつ武器で敵車を攻撃できるロックぶりが、たまりません。
・ショックトルーパーズ セカンドスカッド
同じくPS4などで配信中のシューティングゲームです。オーバートップよろしくプリレンダーによる緻密な描写に注目です。
検索等で来て頂いたついでに、ご意見ご感想などを残して頂けると嬉しいですが、事前に三か条を一読ください。
今回より、レビューを読むのに掛かる大体の時間を3つに分けて示す事としました。
目次までと、下記の項目の文字数(Word参照)の合計を400で割り、四捨五入した値を、大体の時間と定めています。
(最低限)「7/10 まとめ ★」のみこれに合わせて、「7/10 まとめ」を除き、これまで★もしくは☆だった項目を全て1段階ずつ下げましたが、内容は変わりません。
少なくとも前回レヴツーのレビューは、注釈も含めて全て読むのに50分近くも掛かってしまう点がネックでした。
加えて、そちらで半ば燃え尽き症候群となった事もあり、今回は意図的に文章の短縮を意識しました。
ところが、それでも15分は掛かる長さです。手軽に読むには長すぎ、たっぷり読むには短すぎて中途半端と感じました。
そこで手軽でも、たっぷりでも心理的に読み易くなれば、と思って某Wikiを参考に独自性を加えて所要時間を示す事としたのです。
なお、前回までの様に、たっぷり読みたかった方には申し訳ありませんが、今回の文章自体は良く纏まっていると自負します。
ところで、第1回ロケテストもどきで冒頭しか出来ていないのでは、ロケテストにならず意味がない、と反省しています。
2018/04/16 正式公開
2018/03/31 第1回ロケテストもどき実施