バトルガレッガRev.2016

本レビューで対象とする精通度:★★★★☆

(本作を除く各ゲームに精通)

所要時間:約5分(最低限) or 約23分(たっぷり) or 約36分(全て)

 

注釈の注釈

「専門用語(注1A)」(本文)

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「専門用語(注1A)」:注釈

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概要

バトルガレッガは「ライジング(注1A)」が開発し、「エイティング(注1B)」が1996年にゲーセン向けに発売した「縦シュー(注1C)」です。

かつて「タイトー(注1D)」が作った「ガンフロンティア(注1E)」をリスペクトした内容が話題となるも、当初は難し過ぎて不人気でした。

しかし、難し過ぎる原因が「ランク(注1F)」にあり、それに対してスコアを稼げる余地が沢山あると判明してから状況は一変します。

かくして、あまり武器を取らずにスコアを稼ぎ「残機(注1G)」を増やし、自爆してランクを下げる独特なプレイスタイルが定着します。

自らの腕前や知識、そして目標スコアに応じてプレイの方針が無限に広がる奥深さにより、名作として語り継がれる事となります。

他にも緻密なスチームパンクの世界観、「並木学(注1H)」による本格的なテクノサウンドもガレッガの大きな魅力です。

一方、大きく人を選ぶ作風である点も事実であり、選ばれなかった人も満足させる2016年版のガレッガが誕生するに至ったのです。

自ら作り出した最強兵器… それは今、最大の敵となった
 

 注釈一覧(色の違う文字を押せば飛びます)

(注1A)ライジング:ガレッガの後、ゴルゴ13のゲームを作った実績のあるゲーム会社。2000年にエイティングに吸収合併。

(注1B)エイティング:元々はライジングのゲームを販売する会社。2017年現在、黒ウィズで有名なコロプラの子会社。

(注1C)縦シュー:インベーダーよろしく上向きの小さな戦闘機を操り、敵を撃ち敵の弾を避けるタイプのゲームジャンル。

(注1D)タイトー:インベーダーを作ったゲーム会社。

(注1E)ガンフロンティア:1990年の縦シュー。西部劇風の世界観、針状の敵弾、そして小さな武器を集める作風が話題に。

(注1F)ランク:ゲーム内で上下する難易度。撃ちまくって武器を取りまくって生き延びると上がり続け、死ぬと下がる。

(注1G)残機:プレイヤーが死んでも良い回数。ガレッガでは貯め過ぎると、死んでも余りランクが下がらなくなる。

(注1H)並木学:主にシューティング界隈で有名なゲーム音楽家。テクノ系を中心に、様々なジャンルを得意とする。

 

目次

最低限ここだけでも読んで頂きたい項目には「」、出来れば合わせて読んで頂きたい項目には「」が付いています。

それらを読んでもなお飽き足らないのであれば、ぜひ末尾が空欄の項目も読んで下さい。

1.概要

目次より先に読んで頂いた項目です。

2.ゲーム内容 ☆

ガレッガの操作方法やルールを解説します。

3.ランク調整の必要性 ☆

良くも悪くも定着し、誇張されがちなランクについて、改めて見直します。

4.無限の可能性 ☆

ランク調整により、如何に様々な方針でプレイに臨めるかを考察します。

5.業務用の商品としての問題点

如何にガレッガがゲーセン向けの商品として不味いレベルで、ゲーセンに繊細すぎる気配りを求めるか考察します。

6.Rev.2016による改善点 ☆

プレイステーション4で発売されたガレッガが、如何に万人向けのゲームとして改善されたかを考察します。

7.まとめ ★

これまでの解説から、本作がどんなゲームで、どんな良さがあって、どんな方に向いているかを解説します。

8.思い出話

文字通り、本作に関する、個人的な思い出話です。

9.こちらもあわせてどうぞ

本ページと何かしらの関連性や共通点を持つコンテンツを3つ紹介します。あと掲示板もどうぞ。

10.最後に

本ページについての、あとがきです。

 

2/10 ゲーム内容 ☆

ガレッガの基本的な内容は一般的な縦シューに準じており、方向キーで自機を移動し、□ボタンで弾を撃ちます。

敵や敵弾に当たると死んで残機を失い、残機0の状態で死ぬとゲームオーバーです。

よって、無駄死にを防ぐ為にも敵を撃ち、敵弾を避ける必要がありますが、それが難しいケースもあります。

そこで、×ボタンでボムを放ち、敵への大ダメージと敵弾の消去を持って活路を見出すのです。

ボムには大小があり、小ボムを40個集めると大ボム1個に変換され、ボムの発射時間が伸びて使い勝手が良くなるのです。

また、死ぬと小ボムが20個増えますが、手持ちが大ボム5個を超えた分は増えない為、積極的に使うべきです。

なお、大ボムを優先して放ち、それが無ければ残りの小ボム全てを放ちます。その仕組みを踏まえた立ち回りも大事なのです。

↓慣れないうちは、ありったけの小ボムを集めるが吉。
 

敵を倒すと「アイテム(注2A)」を落とす事があります。コインを取ると弾が強化され、盾を取ると「オプション(注2B)」が追加されます。

オプションを取ると見た目通り攻撃範囲が広がって実に心強いですが、それでは却って困る場面も存在します。

そこで、〇ボタンでオプションの陣形を5通りに変える事で、オプションの効果を最大限に発揮するのです。

勲章を取るとスコアが増えます。スコアを100万点とる毎に残機が増えますが、そこに至るまでが大変です。

そこで、勲章を取る事で少しでも早く残機を増やすのです。初めは100点ですが、落とさず取り続けると最大で1万点にもなります。

とは言え、落としてしまうと100点に戻ってしまう上に、100〜400点の時の方が取った時にランクが上がり易いのです。

つまり、勲章を取っては落とし、取っては落としを繰り返すと、スコアが上がらない割にランクだけ上がる最悪の事態となります。

よって、慣れないうちは初めから勲章を無視する方が良いです。それでも懲りない人間には罰を、というのがガレッガなのです。

↓オプションの陣形のうち1番目と並び重宝するのが、3番目の前方集中。
 

以上より、基本的にガレッガは一般的な縦シューと同じく、弾を撃ちボムを放ち敵弾を避けるゲームです。

その一方で、小ボム集めやオプションの陣形変え、そして勲章の存在が一般的な縦シューと大きく異なる点です。

特に勲章に関しては、初めから無視するか、それとも危険を覚悟して全て取り続けるか、そんな両極端な選択肢が評価されます。

その中間、つまり何度落としても懲りずに取ろうとする往生際の悪さに対する厳しさが、ガレッガの性格を物語っているのです。

↓ここを越えれば1万点だが欲張れば即死の瀬戸際。
 

 注釈一覧(色の違う文字を押せば飛びます)

(注2A)アイテム:ゲーム用語で「道具」の意。ガレッガでは大小のボム、丸いコイン、緑の盾、そして黄色い勲章が該当。

(注2B)オプション:ゲーム用語で、自機に付いて援護射撃を行う武装を指す。ガレッガでは死ぬと失い、アイテムに戻る。

 

3/10 ランク調整の必要性 ☆

ガレッガと言えばランク、ランクと言えばガレッガとのイメージが定着して久しいですが、そもそも何故そうなったのでしょうか。

その理由は、一般的な縦シューの様に撃ちまくり、アイテムを取りまくり、生き延びると終盤の6面以降が激ムズとなる為です。

どのくらい激ムズかと言うと、1ヵ月もの間、誰も全面クリア出来なかった程です。

そこで、いつしかランクの概念が認知され、上手くランクを下げる事で6面以降もクリア出来る難しさに落ち着いたのです。

具体的には、攻撃や取得アイテムを最小限に抑えてランク上昇を抑え、無駄な残機を貯めずに死んでランクを大きく下げます。

死ぬ為に残機が必要、残機を増やす為にスコアが必要、という発想から、スコアを稼いで死ぬプレイが定着するに至ったのです。

稼いでもランクを下げれば大丈夫、という安心感からスコア稼ぎが過熱し、いつしか名作として語り継がれる事となるのです。

↓ヒャッハー!勲章だー!
 

これを聞いた方の中には、一般的な縦シューと真逆のガレッガは無理だ、と委縮してしまった方も、いらっしゃる事でしょう。

弾を撃っちゃいけない、アイテムを取っちゃいけない、わざと死ななきゃいけない、しかも稼がなきゃいけない?

そんな窮屈でハードルの高いゲームやってられっか、と思われても仕方ありません。現に動画でも、そのようなプレイばかりです。

しかし、ランクやスコア稼ぎなど忘れて一般的な縦シューの様なプレイをしても、5面をクリアする事は十分に可能なのです。

5面をクリア出来る様になるまでの間、途中で死にまくる事でしょう。それで勝手にランクが下がるので意識しなくて良い訳です。

実際の所、ランクはガレッガの一部分に過ぎず、ランクを抜きにしてもガレッガは縦シューとして大きな魅力に溢れています。

緻密かつ重厚な世界観にグラフィック、本格的なテクノサウンド、そして無数のアイテムを取りまくり派手に爆発させる爽快感。

ランクが嫌だから、という理由で、これらの魅力を味わわずに食わず嫌いするのは、実に勿体ない事ではないでしょうか。

↓先に難しい方に慣れれば、後で楽になる一面も。
 

この点からも分かる通り、ランクを意識するのは、5面をクリアしてもなお飽き足らなくなってからでも遅くはありません。

全部で7面ある内の5面、即ち全体の7割をクリアし、残りの3割もクリアしたくなった時に、初めてランクの意識が必要となるのです。

ただ、イメージほどガチガチに意識する必要はありません。ましてや無謀なスコア稼ぎに走る必要も無いのです。

まず、基本的にボタン押しっぱなしで弾を垂れ流し、小さなコインを取らず4面まではオプションを2個に抑える程度で大丈夫です。

死んで出来た大ボムに関しては、ボムアイテムで出来た時と異なりランクが上がらない為、小ボムを20〜30個は集めるが吉です。

残機に関しても、2〜3機ある状態をキープし、概ねスコアが90万点台に差し掛かった段階で死ぬ程度で大丈夫なのです。

キープすべき残機数はプレイスタイルによって変わってきますが、断じて0機で進むべきではありません。

むしろ、ランクは0%未満とはならない為、わざわざ0機にした所で無意味どころか、後でランクを下げられず泣き面に蜂なのです。

↓なお、6面からのランク調整は無用。
 

以上より、ガレッガと言えばランクですが、イメージほどガチガチに意識せずとも、無理してスコアを稼がずとも大丈夫なのです。

そもそも5面をクリア出来ない内はランクを意識しても仕方なく、意識すると言っても、ある程度はアイテムを取っても良いです。

むしろ、イメージ通りガチガチに意識してランクを抑えた所で、うっかり死んでしまえば全くの無意味なのです。

また、わざと死にまくるイメージは、スコア稼ぎで上がった、もしくは上がりそうなランクを下げる必要性から出来上がった物です。

よって、必要以上にスコアを稼がなければランクは上がらず、ランクが上がらなければ死ぬ必要は無い、と言うのが真相です。

つまり、しっかりランク調整できていれば、ある程度はイメージに反して自分の好きなプレイスタイルで遊べる余地がある訳です。

一方、それでも飽くまでアイテムを取りまくりたい、わざと死にたくない、という方の不満を完全に解消できる訳ではありません。

そこで、20年もの年月を経て、ガレッガに抱かれた不満を可能な限り解消すべくRev.2016を作られる事となるのです。

↓ここでランク13%未満に出来るかが目安。残機が2〜3機あれば、なお良し。
 

 

4/10 無限の可能性 ☆

このように、ガレッガで蓄えたランクの知識から、主に3種類のプレイ方針を打ち立てる事が出来ます。

第1の方針は、勲章を無視したバランス型です。

加えて小コインを無視してオプションを2個、残機を2〜3機に抑える程度で、後は概ね一般的な縦シューと同じ様にプレイします。

キープすべき残機数はボムを構わず全て取るなら2機、死んで大ボムを作るなら3機がオススメです。

スコア稼ぎもナシですが、それでは残機が心許ない為、「焼き鳥(注4A)」だけ行って残機に余裕を持たせるのが無難です。

バランス型の利点は、さほどランクを意識する事なく、ある程度は一般的な縦シューと同じ感覚でプレイできる点です。

また、ランクの上昇も、うっかり死んで帳消しに出来る程度で、十分に挽回できる為プレッシャーが小さく済む一面もあるのです。

↓3機キープするなら、もう1回、余分に死ぬが吉。
 

第2の方針は、イメージ通りの稼いで死ぬサイクル型です。

勲章を全て取り、スコア稼ぎにボムを惜しまず、それで上がったランクや使ったボムを死んでカバーします。

補足すると焼き鳥を筆頭に、特定の箇所や敵にボムを放つ事で、より高いスコアを得られる機会が数多くあるのです。

サイクル型の利点は、とにかくガレッガの醍醐味であるスコア稼ぎの奥深さや、勲章を取りまくる爽快感を味わえる点です。

あまりスコア稼ぎに興味が無くとも、勲章を取った時の心地よい音と共にスコアがモリモリと増えていく気持ち良さは格別です。

ただし、サイクル型には要求される知識、ボム、そして腕前が半端でなく、失敗した時の挽回が難しい、という欠点があります。

特に、1度でも勲章を落としてしまうと、途端にスコアがガタ落ちしてランクがモリモリと上がってしまう為、相当なプレッシャーです。

また バランス型と比べてボムを貯め辛く、なまじ残機が増える分、死ぬタイミングの熟慮も求められる上級者向けの方針です。

↓6面以降も勲章を取り続けるのは地獄。
 

最後に、別の意味でイメージ通りのストイック型です。

前述の通り、撃ちまくりアイテムを取りまくるとランクが上がります。それを逆手に取ってランクをガチガチに抑えるのです。

具体的には、攻撃を最小限に抑え、あらゆるアイテムを敵弾と思って避けまくる、修行僧さながら禁欲的なプレイで進みます。

当然、ボムも避けまくる為、必然的にボム不足に陥りますが、それによる敵の弱体化は一目瞭然で十分カバーできる筈です。

利点は、敵が弱くなって倒し易く避け易くなる上に、わざと死ぬ必要も無くなりサイクル型と違った達成感を味わえる点です。

一方、ランクを抑える為に極めて高度な腕前が必要という矛盾や、うっかり死んでしまった時の甚大な損失などは致命的です。

それでもザコに狙いを定めて1発ずつ撃つ独特の緊張感からは、まさしくインベーダーさながらの懐かしさを味わえる事でしょう。

↓なお、大コインだけは取る方が良いかも。
 

このように、ガレッガではランクの知識を活かし、様々な方針でプレイに臨めるのです。

堅実に進めるも良し、豪快に稼いで死ぬも良し、慎ましく禁欲主義を貫くも良し、ガレッガにおいては全てが正解です。

よって、これらに拘らずバランス型をベースにオプションを取らずランクを抑えたり、逆に勲章を取り続けたりしても良いのです。

キープする残機数ひとつ取っても、2機に留めてランク下げを優先しても、3機を抱えて万一のミスに備えても良いです。

プレイヤーの数だけ方針が存在すると言っても過言でなく、無限の可能性を秘めた稀有な縦シュー、それがガレッガなのです。

↓ガレッガ名物、焼き鳥。これも、やらなくても構わないのだ。
 

 注釈一覧(色の違う文字を押せば飛びます)

(注4A)焼き鳥:2面の特定の箇所にボムを放ち、出てきた鳥の群れをボムで焼きまくって100万点以上も稼げるテクニックの通称。

 

5/10 業務用の商品としての問題点

このように、ガレッガは実に魅力的な縦シューですが、ゲーセン用の商品として看過できない問題点が3種類あります。

第1の問題点は、リアリティ至上主義による敵弾の見辛さです。

具体的には、敵弾を細い針状とし、色を銀や銅としています。ステージ背景も似た色の、くすんだ土や要塞、そして雲です。

その結果、只でさえ細かい敵弾が背景に紛れてしまい、良く見ないと敵弾の存在に気付けないほど見辛くなってしまったのです。

加えて、モニタの色味によっては全く見えない、とされる程の繊細さは商品として問題があったのではないでしょうか。

ゲーセンとしては、常にモニタの色味に気を配らねばならないゲームより、そうでないゲームの方が好ましいに決まっています。

この反省から、後続の製品やRev.2016ではリアリティよりも視認性を優先し、商品としての質を高める事となるのです。

↓敵を倒した時の派手な演出も見辛さに輪をかける。
 

第2の問題点は、弾の連射速度を上げられる機能です。

ガレッガでは、いったん□ボタンを素早く連打する事で、連射速度を最大で秒間30連射にまで上げる事が出来ます。

この点は「インストカード(注5A)」にも掲載されており、連射が速ければ速いほど有利だと考えるのは至極当然の事です。

ところが、実は秒間12連射以上に連射速度を上げるとランクが極端に上がり、却って不利となる詐欺の様な仕組みなのです。

それならばと上げないよう意識しても、不意のチャタリングにより、意図せず連射速度を上げてしまう事故は避けられません。

加えて、いったん上げた連射速度を元に戻す手段はありません。チャタリングの悪影響の大きさもまた商品として問題アリです。

確かに、最初の秒間8連射よりも、秒間15連射の方が効率よくダメージを与えられる為、全く無駄な機能ではありません。

それでも、好きな連射速度の設定や確認が困難な不親切さは大問題で、Rev.2016にてメスを入れられる事となるのです。

↓ただ、Rev.2016でもチャタリングの事故は起こる。
 

最後に、ゲーム開始直後の初期ランクの変化です。

ガレッガは連続でプレイする度に初期ランクが約0.5%上がり、「デモ画面(注5B)」を1ループさせる度に約0.5%下がる仕組みです。

確かに、これにより人が少ない時間帯に長く遊ばせ、人が多い時間帯に直ぐ終わらせて回転率を良くする意図は理解できます。

ところが、この仕組みのうち前者しか知られなかった点が災いして、電源を入れ直さねばランクが戻らない、と誤解されたのです。

その結果、一部の気の利いたゲーセンでは客が電源を入れ直せる様にしてしまい、完全に逆効果となってしまったのです。

電源の入れ直しには時間が掛かる上に、短時間で繰り返せば基板にも多少の負担が掛かってしまいます。

とは言え、仮に後者も知られた所で、毎回1ループ分だけ回転が止まってしまう為、逆効果である点に変わりはありません。

かくして商品として様々な意味で本末転倒となった点を受け、後続の製品ではプレイする度に初期ランクを下げる事となるのです。

↓ちなみに1ループさせてもアイテムの順番は変わったまま。
 

以上より、ガレッガには敵弾の見辛さ、連射速度、そして初期ランクにおいて、ゲーセンで運用する上での問題点があります。

ゲーセン経営者にとって好ましいゲームとは、あまり気を配らずとも問題なく運用でき、かつ回転率の良いゲーム、と思われます。

そう言う意味ではガレッガは、その対極に位置すると言わざるを得ません。

何故なら、常にモニタの色味やボタンの状態に気を配らねばならず、余計な小細工で回転率が悪化してしまう為です。

そんなゲームは直ぐ撤去したい所ですが、皮肉にもヒットして熱心なファンが付いた為に、撤去したくても出来なくなりました。

ただ、ゲーセンが配れる気にも限度がある上に、ヒットしたと言っても回転率的に旨味が無かった点は明白です。

かくして大半のゲーセンはガレッガを通してシューティングの運用に疲れ、熱心なファンごと切り捨てる決断を考え始めるのです。

それが、終わりの始まりを迎える事となるとも知らずに―――。

↓機体を□×〇同時押しか、時間切れで選ぶと有利な点も大きい。
 

 注釈一覧(色の違う文字を押せば飛びます)

(注5A)インストカード:ゲームの遊び方やルールを記した小紙。Rev.2016でも閲覧できる。

(注5B)デモ画面:誰も遊んでいない時に映される、そのゲームのデモンストレーション。ライジングの社名コールまでが1ループ。

 

6/10 Rev.2016による改善点 ☆

以上より、良くも悪くもガレッガは他の一般的な縦シューとは一線を画す、独自の作風を持ったゲームです。

これまで触れませんでしたが、当時の縦シューとしては1度に発射される敵弾が非常に多い点も見逃せません。

遅い弾幕で描かれる芸術的な幾何学模様が、ファンのみならず後のシューティングにまで大きな影響を与える事となるのです。

このように、シューティングを語る上で欠かせないガレッガですが、実に20年近くもの間、家庭で遊ぶ機会は限られていました。

1998年に発売された「セガサターン(注6A)」版はゲームとしての品質、資料的価値ともに高いとされています。

ところが、それに加えて出荷本数の少なさによりプレミア化してしまい、気軽に買えるゲームでは無くなったのです。

仮にソフトを持っていても、既にセガサターンで遊ぶ事が難しくなっており、現行のゲーム機での再復刻を求められました。

↓Rev.2016にはセガサターン版のアレンジ音楽も完全収録。
 

それから18年後、ガレッガ20周年となる2016年、遂に現行のゲーム機PS4で主に3種類もの改善と共に現代に蘇ったのです。

第1の改善点は、M2ガジェットです。これは20年もの間、隠されていた内部の情報を画面の余白に曝け出す機能です。

ガレッガが大きくプレイヤーを選び、困らせてきた最大の理由は、ランクを筆頭に様々な情報が隠されていた事です。

現時点でのランクの正確な値は元より、どの行動をすれば、どのくらいランクが変わるか大まかにしか判断できませんでした。

また、3面で「1UPアイテム(注6B)」を得るには、特定の敵を撃ち込む匙加減が重要で、間違えればアイテムは御預けです。

その匙加減の度合いもランクに大きく左右され、成否も難易度に大きく関わる為、なおさらプレイヤーを困らせました。

おまけに、「隠しフォーメーション(注6C)」の存在も困らせました。狙って展開させるには、落とした数を覚えねばならず面倒でした。

一方で、意図せず展開してしまう事故が起こり易く、その悪影響の大きさは深刻であり、相当なストレス要因だったのです。

↓特に強力なのは、小ボムの隠しフォーメーション。
 

そこで、M2ガジェットの搭載により、これまでプレイヤーを困らせ続けてきたストレス要因を、可能な限り排除するに至ったのです。

ランクのグラフと数値の表示により、行動に応じたランクの変化が一目で分かるようになり、より方針を打ち出し易くなりました。

特に、大ボムやオプションの取得で0.5%上がり、死ぬと残機に応じて1.8〜5.8%下がる事が分かる点は、大きな助けとなります。

特定の敵やボスの耐久値も表示される為、特定の敵の匙加減も極めて容易となり、格段に1UPアイテムを取り易くなりました。

隠しフォーメーションの条件の満たし具合も一目で分かる為、未然に事故を防ぎ易く狙って展開させ易く一石二鳥です。

このように、M2ガジェットがあるだけで、ガレッガへの理解が極めて順調に進み、より戦略的、計画的に楽しむ事が出来ます。

他にも、出てくるアイテムの順番や連射速度、持っているボムの数なども分かるので、よりガレッガを便利に楽しく遊べます。

もちろん、M2ガジェットを非表示にも出来るので、本番はゲーセンと同じ環境が良い、という拘り派も安心の機能なのです。

↓縦画面ではスペースの都合で4通りから選ぶ事に。
 

第2の改善点は、敵弾の色の変更です。

前項で述べた通り、ガレッガの針状の敵弾の見辛さもまた、多くのプレイヤーを困らせてきました。

この点はセガサターン版などで明るく丸い形に変えられる様にして対処されましたが、それはそれで軌道が分からず不便でした。

そこで、Rev.2016では形のみ針状のまま、色のみ青やピンク等に変えられる様にし、軌道と見易さの両立を図ったのです。

しかも、色の点滅の仕方も合わせて実に7通りから選べる為、より納得のいくプレイに臨める訳です。

敢えて苦言を呈すなら、初期設定が元の色であり、わざわざ変えなければならない上に、変え方が分かり辛い点です。

また、変わったのは針状の敵弾のみで全ての攻撃が見易くなった訳では無く、ごく一部は見辛いままです。

それでも、色の変化によって見違える様に見易くなり、敵弾を見切って避ける快感を味わい易くなった点に変わりは無いのです。

↓撃つ度に敵弾と似た色にチカチカされるのは、どうしようもない。
 

最後に、新モード「スーパーイージー」、及び、「プレミアム」の追加です。

これらは共通してランクの概念を廃して一般的な縦シューに沿った作風であり、概ねオリジナルより易しくなっています。

前述した通り、ガレッガは飽くまで一般的な縦シューの様に撃ちまくり、アイテムを取りまくり、生き延びたい方には向きません。

それ故に、ガレッガの雰囲気やスコア稼ぎは好きだがランクは嫌い、という方には実に遣る瀬無いゲームであったのです。

そこで、そんな方にも楽しんで頂くべく、2つの新モードを追加するに至ったのです。

ランクの廃止に加え、ボムが貯まり易く、かつ近くの勲章を吸い寄せて取り易くなる等、スコア稼ぎに臨める土壌が出来ています。

更に、大ボムがあり、かつ□ボタン押しっ放しなら、被弾しても自動的にボムを放ち、生き延びられる救済処置もあるのです。

このように2つの新モードは、もし自分がガレッガの上級者となれたら、との理想を叶える念願のモードなのです。

↓1UPアイテムを得られる機会も倍増。
 

以上より、Rev.2016は作風の好き嫌い、プレイ経験の有無を問わず、ガレッガに関心のある全ての方に向けた決定版です。

他にも、容易に好きな連射速度に出来るボタンや□×〇同時押しボタンの設定も出来、より快適に遊べます。

更に、オリジナルやセガサターン版を含め、実に4種類ものバージョンの音楽を収録しており、繰り返しのプレイが捗ります。

そして、お値段なんと3996円です。抜群のサービスとは言え、1本につき1000円以下が相場の復刻モノとしては余りに高額です。

よって、セガサターン版の事を考えても高すぎる、M2ガジェットとか要らないから安くしてよ、との意見が出ても無理ありません。

それとは別に、チャタリングや隠しフォーメーションの誤展開は未改善で、敵弾を筆頭に設定の変え方が分かり辛い面もあります。

それでも、そんな意見を一蹴する好調な売上や評価を見せ、復刻モノとしての高級路線を切り拓いた点もまた事実なのです。

今後も各メーカーは、1000円以下で手軽な路線とRev.2016さながら高級路線とで、更なる復刻に勤しむ事となるのです。

↓今は画面サイズを拡大してもM2ガジェットと被さりません。
 

注釈一覧(色の違う文字を押せば飛びます)

(注6A)セガサターン:ぷよぷよのセガが1994年に発売した家庭用ゲーム機。CMで藤岡弘、が演じる「せがた三四郎」で話題に。

(注6B)1UPアイテム:スコアに関係なく残機を1機だけ増やす特別なアイテム。取ってもランクは上がらない。

(注6C)隠しフォーメーション:同じアイテムを続けて5つ落としてオプションを取る事で、アイテム毎に異なる専用の陣形を展開する。

 

7/10 まとめ ★

ガレッガRev.2016は、作風の好き嫌い、プレイ経験の有無を問わず、ガレッガに関心のある全ての方に向けた決定版です。

元々ガレッガは緻密なスチームパンクやテクノサウンド、そして奥深いスコア稼ぎが魅力である一方、大きく人を選ぶ作風でした。

そこで、まず2つの新モードにより、ガレッガに選ばれなかった人でも一般的な縦シューの様に、気兼ねなく楽しめます。

見辛いと評判の敵弾も、見易い色に変えられる為、より芸術的な弾幕が映え、見切って避ける快感が増しています。

続いてM2ガジェットを筆頭に、それらに飽きてオリジナルに挑戦したくなった人に向けたフォローも抜群です。

確かに人を選びますが、ランクの理解で無限に方針が広がる奥の深さ等、新モードとは違った魅力に溢れているのです。

以上より、ガレッガはスチームパンクやテクノが好き色々な遊び方が出来る奥深いゲームをしたい方にオススメです。

↓こいつが噂の、銀河一後方に強い戦闘機。
 

 

8/10 思い出話

ゲーセンで少しプレイして3面まで進みましたが、どうしてもランクの煩わしさが頭をよぎり、入り込めませんでした。

それから10年、そろそろリベンジしたいと思った頃に、ちょうどRev.2016が出ると聞いて、すぐ購入しました。

色々とネットで情報を仕入れた所、ある主張が僕に染み付いていたガレッガのイメージを大きく塗り替えました。

その主張とは、ガチガチにランクに拘る必要は無く、まして必要以上に稼いで死ぬ必要も無い、と言った内容でした。

これまで某百科事典から某ブログに至るまで、ランクに拘って稼いで死ぬべし、と書かれていただけに目から鱗が落ちました。

これとM2ガジェットの甲斐あってガレッガへの理解が極めて順調に進み、半年ぐらい掛けて「ノーコンクリア(注8A)」出来ました。

気のせいかも知れませんが、何故かセガサターン版の音楽の時が調子よかった様な気がします。どの音楽も好きなんですがね。

↓たくさん勲章が出るイメージと裏腹に、スコアが伸びない4面。
 

ノーコンクリアの後は、よりバランス型、それもM2ガジェットが無くとも実践できるランク調整の仕方を突き詰めました。

結果、まず焼き鳥の後4面までにボムを貯め切り、適度に残機を調整し、「ホーミング(注8B)」を仕込むのがベストと判断しました。

焼き鳥せずに進むと、残機が少なくてボムが貯め辛く、かと言ってボムを集めるとランクが上がる為、難しくなると思われます。

以後、余計なアイテムを取らずに進めば、よほど残機3をキープし過ぎでもしなければ、ランク13%未満で5面ボスに会えるかと。

ただ、5面ボス直前を除き、ホーミングを仕込み辛い為、うっかり死ぬと苦しい点が気掛かりです。

これを覚えてから、初めに意識させられたサイクル型の方針よりも大きくプレイが安定し、ノーコンクリアし易くなった物です。

一方、サイクル型も突き詰めた結果、800万点超えのスコアを達成してノーコンクリア出来ました。

ボス戦で極力粘り、6面以降も勲章を取り続ければ1000万点も行けそうな気にさせてくれる辺りに、ガレッガの凄さを感じます。

↓ただ、6面では余計なアイテムを取らされ易い。
 

ただ、やっぱりチャタリングや隠しフォーメーションの誤展開には、何度ブチ切れたか分からない程、ストレスが溜まりました。

ガレッガをやり込んでいた頃は特に癇癪が酷く家族に心配される程で、そこに上記の事故なので、悪意すら感じた物です。

未だRev.2016でも、この2つには手つかずである点は残念です。まあ仮に手が付いたとしても、オリジナルを遊べば同じですがね。

残念と言えば、「エムツー(注8C)」の方々には敵弾を筆頭に、もっと初期設定を重視して頂いても良いのでは、と思われます。

まず、公式サイトにスーパーイージーを最初に遊んでね、と書いておいて初期設定のモードがオリジナルなのは変です。

続いて、ボタン配置の設定も変です。初期設定では連射速度や同時押し、そしてメニューを開くボタンが使えません。

縦画面のM2ガジェットも後で色々と加えて下さったのは素晴らしいですが、やはり初期設定が一番使えないままです。

変えりゃ良いじゃん、と思うならば、「罪と罰第5回座談会(注8D)」を100回は読むべきかと。まあ異論はあるのでしょうがね。

↓一応、PS4のPSボタンで本体メニュー戻ればメニューを開けるが。
 

ついでに疑問なのですが、どうして限定版はAmazonで半額ぐらいになってしまっているのでしょうか?

完全受注生産ならプレミアこそ付けど、少なくとも半額になる筈は無いのですが…。

とまあ文句も書きましたが、ガレッガRev.2016が実に素晴らしいゲームである点に変わりはありません。

僕はRev.2016を通してガレッガの魅力に気付き、ゲーセンと同じM2ガジェットなし、元の色の敵弾でもノーコンクリア出来ました。

もし相場通り1000円以下で、単にオリジナルを復刻しただけであったら、これ程やり込める事は無かったかと思われます。

あと、以前に僕は縦画面のM2ガジェットにもランクの数字、ボスの耐久力、そしてアイテムの落とし具合は必要、と書きました。

するとエムツーの方が見たのかは定かではありませんが、実際に上記の通りアップデートされて驚いた次第です。

今後とも、「M2ショットトリガーズ(注8E)」の更なる発展を望みます。

↓朝日が眩しいぜ。
 

 注釈一覧(色の違う文字を押せば飛びます)

(注8A)ノーコンクリア:1度も残機0の状態で死ぬ事なく全ての面をクリアする事。これが出来れば一人前。

(注8B)ホーミング:ボムの隠しフォーメーション。オプションが敵を追跡し、貼り付いて攻撃するので強力。

(注8C)エムツー:ガレッガRev.2016を作ったゲーム会社。古いゲームの復刻や、それを基にした新作を得意とする。

(注8D)罪と罰第5回座談会:任天堂のゲームにおいて、如何に初期設定を易しい方に合わせるのが重要かが初めに書かれた。

(注8E)M2ショットトリガーズ:ガレッガRev.2016から始まった、エムツーによって過去の名作を復刻するプロジェクトのブランド。

 

9/10 こちらもあわせてどうぞ

・ガレッガRev.2016 段階式攻略法

本サイトにおけるガレッガRev.2016オリジナル攻略の目次です。

・銃弾フィーバロン

M2ショットトリガーズ第2弾として、ガレッガRev.2016と同時に発表された縦シューです。

・ダンジョンズ&ドラゴンズ ミスタラ英雄戦記

ガレッガRev.2016と同様、名作ながらゲームへの深い理解を要求し、かつオリジナルと別物レベルで改善された復刻モノです。

・VGF掲示板

検索等で来て頂いたついでに、ご意見ご感想などを残して頂けると嬉しいですが、事前に三か条を一読ください。

 

10/10 最後に

前々からガレッガのレビューを10月に公開する事にしていましたが、様々な私用が重なり、ほとんど手を付けずにいました。

仮に不定期更新であったら数か月はサイトを放置する程の大事な私用ですが、VGFは不定期では無いため少しずつ進めました。

ただ、第2回ロケテストもどきでも6割しか完成せず、やっぱり全て出来上がったのは月末でした。

まあ以前から段階式攻略法の後は月末に公開している為、普段通りとも言えますが。

これまでと異なり「PS4版」という体でなくRev.2016とした理由は2つあります。

1つは、そのまんまRev.2016がタイトルに付いている為です。もう1つは、オリジナルと別物と言えるほど改善された為です。

その割には、結局いつもの構成となってしまった点は心残りです。それを7/10に、ぶつけた訳です。

ただ、結果的に4/10の締めの一文を読者の方に褒めて頂けた様なので、これはこれで良かった、と思います。

 

ガレッガはイメージとは違う旨は、既に一部で語られており、決してVGF独自の考えではありません。

それでも少しでも、その考えを浸透させる手伝いをしたく、本レビューを作りました。

もう一つ、5/10の内容は当初、敵弾に加えて必要以上に情報を隠し過ぎた点の指摘をする予定でした。

ただ、その内容は目新しさに乏しいと判断した結果、ほとんど別の内容へと変化するに至りました。

本レビューを作り始めた直後から私用で慌ただしくなり、終始あちらを立てればこちらが立たず、と言った状況で大変でした。

それでも何とか時間を作る事を意識すれば、何かの役に立つのかも、と思って月末までに完成させました。

私用と言えば、スマホやタブレットの新調に合わせて、冒頭の表の文字を拡大しました。

画像サイズの拡大も検討しましたが、容量や見栄えの問題により断念しました。

 

ガレッガRev.2016 段階式攻略法のリンク追加に合わせて、注釈の方針と画像サイズを除き今のスタイルに更新しました。

2018/03/15 「ガレッガRev.2016 段階式攻略法」へのリンクを追加

2017/10/29 正式公開

2017/10/17〜21 第2回ロケテストもどき実施

2017/09/29〜30 第1回ロケテストもどき実施

 

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