クレイジークライマー
メーカー | 日本物産 |
対応機種 | プレイステーション4ほか |
ジャンル | アクション |
目次
最低限ここだけでも読んで頂きたい項目には「★」、出来れば合わせて読んで頂きたい項目には「☆」が付いています。
それらを読んでもなお飽き足らないのであれば、末尾が空欄の項目も是非読んで下さい。
クレイジークライマーの概要を解説します。
クレイジークライマーのゲーム内容を解説します。
一点の曇りもない晴天、大きなキャラ、複雑な動き。これらのリアルな表現が、いかに当時としては画期的であったかを考察します。
慌てない、驕らない、見落とさない。クレイジークライマーにも車の運転にも活きるであろう心得を考察します。
ベートーヴェンの名言を見事に体現した難易度について解説します。
プレイ内容で難易度が変わる「ランクシステム」。クレイジークライマーが、それを導入した狙いを考察します。
これまでの解説を踏まえ、クレイジークライマーがどんなゲームで、どんな良さがあって、どんな方に向いているかを解説します。
文字通り、クレイジークライマーに関する、個人的な思い出話です。
本ページと何かしらの関連性や共通点を持つコンテンツを3つ紹介します。あと掲示板もどうぞ。
本ページについての、あとがきです。
時は1980年、それはインベーダーブームが一息つき、インベーダーゲームに代わる新たなゲームを求められていた時代です。
それに応えるべく、またポストインベーダーとなるべく、各社が多種多様なゲームを武器に、鎬を削り合っていました。
そんな中、そんな時代はおろか、現代においてもクレイジーなゲームが登場し、大ヒットを記録しました。
そのゲームは、筐体に2本のレバーを備え、それを駆使して超高層ビルを登る、という内容です。
そう、日本物産が1980年にアーケードで発売したビル登りアクション「クレイジークライマー(クレクラ)」です。
このクレクラと同時期のムーンクレスタの大ヒットにより、ニチブツはアーケード市場で力強く名乗りを上げていく事となるのです。
↓ハードの制約が、クレイジーさを生み出した。
主人公を操り、全部で4つある超高層ビルの頂上まで登るのが目的です。
登るために最低限必要な事は、片方でも良いのでレバーを交互に上げ下げする事です。
2本あるレバーのうち左側は左手、右側は右手に対応しています。
ゲーム開始時は両手がぶら下がっているので、まず下に倒せば1段登れます。
続いて、上に倒すと1段上のサッシに手を伸ばすので、また下に倒せば、もう1段登れます。以後、この繰り返しで登るのです。
ただ、それでは片手しか使わないため、登るのが非常に遅くなってしまいます。
そこで、もう片方のレバーの出番です。例えば、左手を下げて登ると同時に右手を上げてサッシを掴むとします。
その後、両手をタイミングよく上下交互に倒していけば、片手で登るよりも倍以上も速く登れるようになるのです。
クレイジーなクライマーとて、スムーズに登る器用さが不可欠なのです。
↓タイミングを磨けば磨くほど速く登れるのも快感。
ただ、上へ上へと登るだけでは、じき行き止まりにぶち当たってしまいます。
そうでなくても、窓に遮られて登れなくなり、最悪落とされるのがオチです。また、登っている最中に植木鉢を喰らっても即死です。
そこで、横移動の出番です。両手でサッシを掴んでいる状態で両方のレバーを真横に倒せば、その方向に移動できます。
これなら、1段上の窓が開くのを待たずともビル登りを再開できるほか、植木鉢の回避も出来ます。
クレイジーなクライマーとて、最も安全なコースを判断する冷静さを持ち合わせるものです。
↓両手でぶら下がっての横移動がベスト。
最低でも、登りと横移動さえ覚えれば、何とかゲームに臨む事は出来ます。
しかし、それでもまだ不十分です。何故なら、1段上も横も窓に覆われてしまうケースがあるためです。
これでは頼みの横移動も封じられて動けなくなり、植木鉢の回避も困難となります。
一応、両手でサッシを掴めば植木鉢に耐えられるとはいえ、体勢を崩した状態で植木鉢を浴び続ければ、ひとたまりもありません。
そもそも、サッシを掴んだとしても、鉄アレイ等には無力です。
そこで、覚えておきたいテクニックが3種類あります。
第1のテクニックは、斜め登りです。
これは、文字通り斜め上に手を伸ばし、2列の窓を使って登るテクニックです。
普段よりも植木鉢などを喰らいやすい代わりに、窓を掴める範囲が広がるため、よりスムーズに登りやすくなります。
第2のテクニックは、踏ん張りです。
これは、両方のレバーを上か下に倒し続けたまま待機するテクニックです。
いったん植木鉢で体勢を崩しても、踏ん張りによって一瞬で立て直せるため、植木鉢を浴び続けても、へっちゃらです。
また、2個の植木鉢が重なって落ちてきても、左手のみ上げる踏ん張り、通称「黄金の左手」でのみ、耐えられます。
さらに、回避が難しい鉄アレイ等も、19段以下かつ両手を下げる踏ん張りでのみ、耐えられます。
最後に、ウンチングです。
これは、両手を使って中途半端に登った状態を維持するテクニックです。
ウンチングをしている間は、植木鉢を落とす住人が出て来なくなるため、上手く活用すれば、より安全に窓が開くのを待てます。
クレイジーなクライマーとて、役に立つテクニックを身に付ける学習能力がモノを言うのです。
↓ここは、上記のテクニック全てを試される登竜門だ。
以上より、クレクラはビルの頂上を目指して登るのが目的のシンプルなゲームですが、理不尽な難関がそれを阻みます。
それによって生じる、レバーを忙しなく倒して、小気味よくクライミングをしている様な感覚。
そして、柔軟に適切なテクニックを駆使して対策し、活路を見出していく奥深い戦略性。
それらとは別に、1面あたり2分ほどでクリアできる手軽さ、毎回新鮮な感覚で楽しめるアドリブ性の高さ。
いずれもが、「チャレンジャーの熱い魂をゆさぶるアドベンチャーゲーム」たるクレクラの魅力です。
↓横移動が出来ない?斜め登りで難なく突破だ。
一般的に、クレクラはタイトル通り、クレイジーなゲームとして知られています。
まず、ゲームの目的がクレイジーです。己の四肢のみで超高層ビルを登り切り、ヘリに掴まる、というものですから。
そのビルもまたクレイジーです。途中で幅が変わったり、穴が開いていたり、二股に分かれたりと、物理法則を無視した構造です。
そんなビルなので、看板の電線が千切れて火花を散らしていたり、看板が落ちてきたり、といった重大事故など日常茶飯事です。
ビルがクレイジーなら住人もクレイジーです。何と、窓から植木鉢や鉄アレイ等を下へ放り投げる暴挙に出るのです。
他にも、主人公の腰ほどの巨大な糞を撒き散らすコンドル、主人公を運ぶ風船、そして瞬間移動しつつパンチするゴリラ等々…。
これをクレイジーと言わずして何というのでしょうか。
↓開発秘話を考えても、どうしてこうなったのか。
ただし、別の観点から見れば、2種類の理由により、実にオーパーツといえるほどリアルです。
第1の理由は、現実に則した世界観とグラフィックです。
散々クレイジーだ何だと書いておいて何ですが、当時としては極めてリアルな映像であったのも事実です。
クレクラの前後では、宇宙戦争したり、変なモンスターが迷路で追いかけっこしたりするゲームが大半であったはずです。
そして、背景はほぼ真っ黒で、そこに記号的なキャラクターがいる、といった感じの映像で、リアルとは程遠いものでした。
一応、現実に則した世界観が全くなかった訳ではありませんが、前述のような映像である事に変わりはありませんでした。
そこで、クレイジーさを一切考えずに、クレクラを見てみましょう。
一点の曇りもない晴天、そびえ立つビル、それに登る主人公やビルの住人といった人間。
パタパタと羽ばたくコンドル、ビルの一角で存在を誇示するゴリラ、そして主人公を迎えに来るヘリコプター。
これら現実でも馴染みの深い生き物や物質が、当時としては実に大きく美しいグラフィックで描かれているのです。
ある意味では、世界観やグラフィックといった映像面に関しては、昨今のリアルなゲームの遠い雛形、とも言えましょう。
↓植木鉢や鉄アレイ等から、住人の生活感が垣間見える…かも。
第2の理由は、主人公の表現です。
一応、レースゲームであればクレクラよりも早く、現実に則した世界観とグラフィックを両立したゲームはあります。
ただし、あくまでレースゲームなので、シンプルな見た目や動作の車しかおらず、それほどのインパクトはなかった、と考えられます。
そこで、一応人間という事になっている、クレクラの主人公を見てみましょう。
4頭身、緑色の全身タイツ、素手素足、そして茶髪の丸刈りと、いかにも怪しくクレイジーな見た目です。
それが一目で分かるほどのリアルなグラフィックは、当時としては極めて異例でした。
見た目だけでなく動作にも注目です。当時のゲームは、キャラが記号的である以上、動作のパターンも少なく単調でした。
それに対して、クレクラの主人公は、当時としては極めて多彩かつ滑らかな動作を実現しています。
両手両足を交互に上げ下げして登ったり、手を横に伸ばしたり、ぶら下がったり。
また、両腕を伸ばし切る直前で止める事で、前述のウンチングも出来る程の中割りの凝りようです。
さらに、ウンチングを初め、特定の姿勢をキープする事で有利となる等、ゲームとしての面白さにも繋がっています。
このように、見た目や動作において、クレクラは人間ならではの複雑な表現に挑んだ画期的なタイトルです。
以後、ハードの進化に合わせて、人間キャラの表現力、ひいてはゲームの種類や質において、豊かさを増していく事となるのです。
↓コンドルの羽ばたきも、実に滑らか。
以上より、確かにクレクラはクレイジーなゲームです。
ただ、世界観や主人公の表現のリアルさにおいては、当時のゲームの中で抜きん出ていた点も事実です。
以後、「リアルさ」がゲーム業界のキーワードの一つとなり、良くも悪くも世界を震撼させる事となるのです。
個人的には、クレクラはバーチャファイターに匹敵する歴史的タイトル、と評されても良かったのではないか、と思います。
↓実は手が届いてないが、余裕のキャッチ&ポーズ。本当に人間か?
ビル登りは非常に危険である、という事はクレクラをプレイすれば(しなくても?)嫌と言うほど分かります。
いつ、どの窓や住人が妨害してくるか、鉄アレイは何処からどう落ちるか、そして看板は何処に落ちるかの予測が全くつきません。
仮に予測がついたとしても、運や状況が悪ければ詰む事もザラです。
このような作風ゆえに、クレクラでは車の運転にも活きるであろう、3種類の心得が要求されます。
第1の心得は、「慌てない」です。
クレクラにおけるビル登りとは、まず腕をしっかり伸ばしてから、次の腕を伸ばす作業の繰り返しです。
ただ、慌てると腕が伸び切る前に次の腕を動かそうとしてしまいがちです。そうなるとジタバタしてばかりで全く登れません。
また、慌てて雑な操作をすると、変な体勢となったりサッシとサッシの間に手を置いてしまったりするケースもあります。
そうなると、再び体勢を整えない限りピクリとも動かなくなり、余計慌ててしまい、ますます動けなくなる、といった悪循環に陥ります。
そこで大事なのは、早く登ろうと慌てる事ではなく、ゆっくりでも良いので自分なりのペースで1段ずつ確実に登る事です。
もちろん例外はありますが、クレクラでは無暗に早く登る事への見返りが極めて小さいので、なおさら確実さが求められます。
もう一つ、ゴリラのパンチも慌てなければ何てことはないのですが、慌てて一気に登ろうとすると直撃しがちです。
そこで、パンチが当たる段の一つ手前で一旦止まり、安全を確認してから登るよう意識する事が求められます。
これを運転に置き換えます。講習の通り、目的地に早く着こうと慌てても無意味、という話に通じるものがあります。
要は、慌てて速度オーバーや追い越しをしたところで、危なくて捕まりやすい割に所要時間は大差なく、疲れるだけ、という事です。
また、ゴリラの例は正に信号待ちそのものです。きちんと信号を守れば、未然に事故を防げるのです。
↓ゴリラを越えても窓で動けない事があるのも、運転そっくり。
第2の心得は、「驕らない」です。
クレクラで慣れてくると、少しでも早く、無駄なく登りたい、という欲求が湧いてくる事でしょう。
ただし、そうやって驕り始めると、それまで難なく避けられたはずのトラップでさえも、避けられなくなるのがオチです。
また、よせば良いのに無茶な登りをして動けなくなった挙句、ポコッと植木鉢を喰らう、という、しょうもない死を迎える事となります。
クレクラでも運転でも、慣れてきた頃が一番危ないのです。慣れた時こそ、基本に忠実であるべきなのです。
↓驕るクライマーは久しからず。
最後に、「見落とさない」です。
クレクラは理不尽の塊です。突如、至近距離で住人と出くわして植木鉢を見舞われたり、足止めされている間に窓を閉められたり。
鉄アレイの軌道が全く読めなかったり、回避できない場所に鉄アレイや看板を落とされて、あの世行きとなったり。
そんな咄嗟の理不尽に対しても、冷静に周りを良く見れば、未然にミスを防げる方法が見つかるはずです。
運転においても、信号など目先の事だけでなく、冷静に周りを良く見ることが、未然に事故を防ぐ唯一の方法なのです。
↓足止めを食ったら、サッシを2本使って待つが吉。
以上より、クレクラをプレイすることで、運転にも通じる「慌てない、驕らない、見落とさない」の心得を身に付けられます。
その一方で、必要以上に慎重になり過ぎると、かえって危険である点は、クレクラでも運転でも同様です。
また、両者の共通点は、もう一つあります。
それは、自分に全く落ち度がなくとも、運が悪ければ事故に巻き込まれる理不尽な現実です。
クレクラは、ある意味では究極のドライビングシミュレーターなのです。
↓雪崩の如き超速窓閉めから逃れたくば急げ!
これまでの解説から察しがつく通り、クレクラは現代の感覚からすると、無理ゲー以外の何物でもありません。
同じように登っても、窓や住人の出方、鉄アレイの挙動、そして看板の落下地点が毎回異なるため、ほぼパターン化は不可能です。
それだけでも難しいのに、基本的に死なずに進むと容赦なく鉄アレイが降ってくるため、さらに難しくなります。
特に、2面以降で運が悪ければ、2列しかない横幅で、丁度その2列を埋めるように鉄アレイが降りしきる、えげつなさです。
そうなると死ぬしかないため、余程の腕前や強運が無い限り、2面以降は残機を1機ずつ減らしながらの進行を余儀なくされます。
なお、初期設定で与えられる残機は、3万点で得られる1機を合わせると、わずか3機です。
2面、3面、4面と1機ずつ減らす事は、つまり4面の途中で残機が0となる事を意味します。
そうして心身ともに疲弊しきった主人公、及び、プレイヤーに、文字通りトドメを刺さんとする最難関が立ちはだかります。
それは、4面クライマックスの連続看板落ち地帯です。2列しかない横幅で、容赦なくドデカい看板が落ちるのです。
そして鉄アレイよろしく、主人公が登っている2列にまで、容赦なく落ちる事もあります。
それでも生き延びられる可能性はゼロではありませんが、限りなくゼロに近いです。
つまり、連続看板落ち地帯までに残機を1機でも残せなければ、4面をクリアできる可能性は限りなくゼロに近いのです。
となると、安定して4面をクリアするには、それまでの難関のうち、最低でも1箇所を死なずにクリアしなければなりません。
ところが、前述の通り、2面以降を死なずにクリアするには、余程の腕前や強運が必要であり、一筋縄では行きません。
このように、クレクラはどう頑張っても運が悪ければ1周クリアできない無理ゲーなのです。
↓頼みのバルーンに掴まるのも楽じゃない。
それでは、クレクラはゲームとして破綻したクソゲーなのでしょうか?
結論から言うと、答えはNOです。
確かに運任せの傾向にありますが、プレイヤー側の努力により、クリアできる確率を少しでも上げる事は可能なのです。
前述の通り、両手ぶら下がりや斜め登り、黄金の左手、そしてウンチングと、クレクラには様々なテクニックがあります。
にっくき鉄アレイに対しても、19段まで耐えつつチャンスを伺ったり、少しでも横幅を広く取って避けやすくしたり出来ます。
他にも、ゆっくり登ってコンドルを往復させる事で、鉄アレイの落下を遅らせるテクニックもあります。
これらをマスターすればするほど、突如襲い掛かる難関に対しても、冷静に対処できるようになります。
対処できれば、それだけゲームの進行が楽になります。そして、それは上達の証として、深くプレイヤーの心に刻まれるのです。
また、1周クリアできるかは運任せという事は、逆に言えば運を味方につけて見事クリアした時の達成感も相当なものです。
このような、厳しくも挑戦し甲斐のある難易度は、さながらベートーヴェンの名言を体現したかのようです。
↓努力した者が成功するとは限らない。しかし、成功する者は皆努力している。
ビデオゲーム、とりわけシューティングは、「ランクシステム」との関わりが深いです。
ランクシステムとは、プレイの内容に応じて難易度が変化するシステムを指します。
ざっくり説明すると、死なずに進めば難しくなり、途中で死ぬと易しくなる、というものです。
つまり、初心者から上級者まで楽しめるゲーム作り、ひいては幅広い客層を取り込む事による収益の増加。
その2点が、ランクシステムの狙いなのです。
時に、難易度の変化が極端で必ずしも狙い通りにいかない例もありますが、シューティングのお約束として定着する事となります。
そして、僕の知る限り、このランクシステムを初めて導入したゲームこそ、クレクラなのです。違ったら教えてください。
↓死ねば難所も通過点。
前項にて、死なずに進むと容赦なく鉄アレイが降って余計難しくなる、との解説をしました。
逆に言えば、一定エリアまで進んでから死ぬと、鉄アレイの降りが緩やかとなり、相対的に易しくなるのです。
他にも、例えば看板地帯などでも一旦死ぬと、その地帯では看板が落ちて来なくなり、安全に進めるようになります。
以上の点から、クレクラは3つの層に向けて、それぞれ大きなメリットを提供する事に成功しているのです。
1つ、死にながらも進む初心者には、安全かつサクサク進む爽快感と、1周クリア目前、という目標を。
2つ、更なる高みを目指す上級者には、無理ゲーそのものの理不尽な難関と、それを乗り越える更なる達成感を。
そして、クレクラを買った経営者には、1回約10分の高い回転率と、幅広い客入りを両立した収益を。
事実上クレクラはランクシステムを初めて導入したゲームでありながら、これら全てを狙い通りに果たした稀有なゲームなのです。
↓1面や一定エリア以前で死ぬ事は、まさに犬死に。
何もかもがクレイジーなクレクラ。それは、キャッチコピー通り、チャレンジャーの熱い魂をゆさぶるアドベンチャーゲームです。
2本のレバーによるビル登りは、クライミングの小気味よさ、様々なテクニックで難関を乗り越える奥深い戦略性を両立しています。
それを実現すべく実装された、主人公の人間ならではのリアルな表現は、オーパーツと言えるほど画期的でした。
また、1面につき約2分の手軽さや、パターン化の効かないアドリブ性の高さが、プレイヤーに毎回新鮮な感覚をもたらします。
こうした作風ゆえに求められる「慌てない、驕らない、見落とさない」の心得は、車の運転にも活きてくる事でしょう。
一方で、1周クリアには運が絡むほどの理不尽な難易度であるため、無理ゲーである嫌いは否めません。
それでも、プレイヤーの努力次第で少しでも成功率を高められるため、逆にチャレンジ精神を掻き立てている点もまた事実です。
自分なりに目標を設定して楽しく遊ぶも良し、更なる高みを目指して血の滲むような努力に励むも良し、遊び方はあなた次第です。
以上より、クレクラはクレイジーな世界観を味わいたい、手軽で奥深く遣り甲斐のあるゲームをしたい、という方にオススメです。
↓下げた手には当たらない。腕前、知識、そして強運で奇跡の生還。
僕がクレクラを知ったのは、今から10年以上前の事ですが、実際にプレイしたのは去年、PS4版を買ってからです。
それから約1年、休み休みプレイを続けてきましたが、なかなか3面をクリア出来ず、行き詰まる事となります。
何故なら、ゲーム内マニュアルを鵜呑みにしてしまっていたためです。
それはつまり、両手を下げた状態でしか横移動、及び、踏ん張りが出来ない、と勘違いしていた事を意味します。
このように、必要な知識が欠けたまま我武者羅にプレイした所で、上手くいくはずもありませんでした。
↓こんな時、右手を上げれば良い事にすら気付かず。
そんな中、デモ画面をよく見ると、両手でサッシを掴んでいれば、どの姿勢でも横移動、及び、踏ん張りが出来る事に気付きました。
さらに、攻略サイトで必要な知識を蓄えると、時に僕は1度に30〜40回もプレイする程のめり込む事となるのです。
その甲斐あって、いよいよ1周クリアまで後一歩、という所まで煮詰める事に成功し、遂には3回ほど1周クリアを果たしました。
1回目は、4面の途中で残機0となるも、クライマックスの連続看板落ち地帯で運よく頭上に看板が落ちて来ず、そのまま登頂成功。
2回目は、残機1で4面に突入し、辛くも連続看板落ち地帯まで死なずに到達し、一旦死んでから危なげなく登頂成功。
最後に、残機0かつ頭上に看板、という絶体絶命の危機に陥るも、黄金の左手で奇跡的に耐え抜いて登頂成功。
いずれも2面などで死んでおり、1周できたのは運が良かったから、と言えばそれまでです。
それでも、必死に努力してきたから、最後まで諦めなかったから、運を味方に付けられた、と自負しています。
こんな風に、運転で求められる心得や、ベートーヴェンの名言の意味を教えてくれるクレクラは、本当に名作だと思いますよ。
↓この左手に全てを!昇龍拳(違)!
・クレイジークライマー2
クレクラの続編です。グラフィック、サウンド、難易度すべてがグレードアップした問題作です。
・空手道
格ゲーの源流の一つである空手ゲームです。クレクラと同じ2本のレバーで、多彩な技を繰り出します。
ナムコの穴掘りアクションです。クレクラと同じく、運転の心得がモノを言う作風です。
検索等で来て頂いたついでに、ご意見ご感想などを残して頂けると嬉しいですが、事前に三か条を一読ください。
2月の沙羅曼蛇のレビューが一息ついた頃、次の4月のゲームレビューを何にするかで迷っていました。
当時、既にC285のレビューを3月公開とし、PS4版グラIIは6月に出ると踏んでいたため、それに合わせて動こうとしていました。
ただ、ダライアスバーストは遣り込み不足でレビューに踏み切れず、ライフフォースは7項目で充分なので5月に回していました。
となると、4月に出せる目ぼしいシューティングゲームのレビューがなく、丁度ポッカリ穴が開きかねない事態となっていたのです。
ただ、ここ半年ほどDBCSの発売に便乗するためとはいえ、ずっと横STG御三家ばかりで飽き飽きしていました。
さらに、5月はアケアカ2周年で、クレクラはアケアカ一番の看板タイトルである点は、PV等の扱いを見るより明らかです。
よって、気分転換とばかりに、アケアカ2周年をいち早く記念して、4月にクレクラのレビューを出す事としたのです。
書きたかった事を存分に書けて、C285に続いて中旬公開できたので、思い残すことは何もありません。
中でも、主人公の表現を指して、バーチャファイターに匹敵する歴史的タイトル、と評したのはVGFだけかと思われます。
なお、当初は沙羅曼蛇のように、PS4版の特徴、及び、PS版について触れる予定でした。
ところが、PS版はゲームアーカイブスでは未配信、という意外な事実を知って却下し、ゲーム内容の解説で埋めました。
また、PS4版の特徴も、あまり意欲が出ず却下し、ランクシステムの解説で埋めました。
結果的には、当初の予定よりも早く仕上がり、かつ格段にレビューの質を高められて良かったです。
ちなみに、思い出話の最初の画像は、ゲー募録2015年2月の流用で、1度もアップデートされていなかった時のものです。
他の画像と見比べてみると、画面比率や色合いが微妙に異なる点が分かります。
2016/08/15 「PS版ミスタードリラー」へのリンクを追加
2016/04/16 初公開