ミスタードリラー

本レビューで対象とする精通度:★★★★★

(各ゲームに精通)

所要時間:約4分(最低限) or 約21分(たっぷり) or 約27分(全て)

 

概要

20世紀末が目前に迫っていた頃、時のノストラダムスの大予言や2000年問題などにより、人は新時代の到来に心躍らせました。

それはゲーム業界とて例外ではなく、良くも悪くも過渡期を迎えていた時代でした。

アーケードでは、格ゲー等に代わり、音ゲーを初めとする大型筐体ゲームが新たな花形として、大ブームとなっていました。

家庭用では、美麗なムービーに3Dポリゴン、そしてディスク数枚分の大ボリュームこそ正義の風潮で、PS2発売を控えていました。

そうして沸き立つ一方、プレイ料金が高額、もしくは重厚長大路線で気軽に遊べない、といった負の側面もありました。

そんな中、安くシンプルで気軽に遊べるビデオゲーム、すなわち負の側面への打開策となるゲームが彗星の如く登場したのです。

そのゲームこそ、ナムコが1999年にアーケードで発売した穴掘りアクションパズル「ミスタードリラー」です。

↓この頃、まだディグダグ等との関連は無かった。
 

 

目次

最低限ここだけでも読んで頂きたい項目には「」、出来れば合わせて読んで頂きたい項目には「」が付いています。

それらを読んでもなお飽き足らないのであれば、末尾が空欄の項目も是非読んで下さい。

1.概要

目次より先に読んで頂いた項目です。

2.ゲーム内容 ☆

ドリラーのゲーム内容を解説します。

3.シンプルだけど見易さいっぱい! ☆

あえてドリラーを2Dゲームとして作った事による恩恵と美しさを考察します。

4.危険だけど対策いっぱい! ☆

すぐ死ぬ!という貴方に、ドリラーの主なテクニックを紹介します。

5.短いけど見所いっぱい! ☆

ドリラーの面白さを支える、ステージ構成の見所について考察します。

6.PS版について ☆

PS版の特徴について解説します。

7.まとめ ★

これまでの解説を踏まえ、ドリラーがどんなゲームで、どんな良さがあって、どんな方に向いているかを解説します。

8.思い出話

文字通り、ドリラーに関する、個人的な思い出話です。

9.こちらもあわせてどうぞ

本ページと何かしらの関連性や共通点を持つコンテンツを3つ紹介します。あと掲示板もどうぞ。

10.最後に

本ページについての、あとがきです。

 

2/10 ゲーム内容 ★

主人公ホリ・ススムを操り、500mもしくは1000m分のブロックを掘り、地底へ辿り着くのが目的です。

下へ 掘るために必要な操作は、ただ1つ。ボタンを押すだけです。

ボタン1つで、「ポコッ」という小気味よい掘削音と共に、下へ下へとテンポよく掘り続けられるシンプルさが、ドリラーの魅力です。

↓最初から下を向いている点が、ドリラーの全てを物語る。
 

しかし、その場から一歩も動かず、ただ下へ掘るだけでは、必ず2つの障害に見舞われる事となります。

それは、酸素を20%減らす「×印ブロック」との遭遇、及び、酸素を22%回復させる「酸素カプセル」の取りこぼしです。

ドリラーでは、時間経過とともに酸素が減っていき、0%となると窒息死して、残機が1機減ってしまいます。

それを避けるためには、×印ブロックを掘らずに進み、かつ酸素カプセルを回収する必要があります。

↓やむなく×印ブロックを掘る時は、5回掘るべし。
 

そこで、横移動の出番です。方向キー左右で、横に動いたり掘ったり、1段高い段差を登ったり出来るのです。

横移動を覚えれば、×印ブロックを掘らずに進んだり、酸素カプセルを回収したり出来ます。

それはつまり、少しでも酸素を長持ちさせて、より下へ下へと掘り続けられる事を意味します。

これにより、単なる掘削作業でなく、状況に合わせて臨機応変に動いていくメリハリが、ドリラーに生まれているのです。

↓これで、×印ブロックを掘らずに進める。
 

ただ、横のブロックを掘ると、今度は別の障害に見舞われる事となります。

それは、支えを失ったブロックが空中でグラグラした後、落下する事です。

ドリラーでは、酸欠だけでなく、落下ブロックに潰される事でも、残機が減ってしまいます。

まして、ドリラーでは、落下して同じ色のブロックが4つ以上くっつくと消滅し、更なる連鎖反応で次々とブロックが崩れ落ちるのです。

横移動で落下ブロックを避けられるとはいえ、反応の遅れや他のブロックの邪魔により、回避が間に合わないケースもザラです。

そうして落下ブロックを避け切れず潰される事は、ドリラーで最も多い死因なのです。

↓酸素カプセルを取った時も、ぐらつきに注意。
 

そこで、上掘りの出番です。方向キー上で、ひとつ上のブロックを掘る事が出来ます。

ひとつ上であれば、グラグラしているブロックであっても掘れるため、落下までの時間稼ぎや、落下自体の阻止が可能となります。

そのため、本来なら回避できない状況に陥ったとしても、いったん上掘りを挟む事で回避できるようになる可能性があります。

逆に、不用意な上掘りが仇となる点も含め、ドリラーに必要な器用さや反射神経の軽減と、戦略性の向上を両立しているのです。

↓なお、落下中のブロックに上掘りしても無意味。
 

長く難しく書きましたが、要するにドリラーは方向キーとボタン1つの簡単操作で、ブロックを掘っていくシンプルなゲームです。

それでいて、「掘る」事の小気味よさ、状況ごとのメリハリ、そして戦略性といった奥深さも兼ね備えています。

さらに、ブロックの色は毎回ランダムで飽きにくく、各コースのクリアやミスタードリラーの称号ゲットなど、様々な目標を立てられます。

当時、既にこういった昔ながらのゲームは減少傾向にあっただけに、ドリラーの登場とヒットは、業界に相当な衝撃を与えました。

ゲーム業界は重厚長大路線で行き詰まりを見せた後、昔ながらのシンプルで奥が深いゲームを見直していく事となるのです。

↓矛盾するようだが、昔「そのもの」の理不尽なゲームではない。
 

 

3/10 シンプルだけど見易さいっぱい! ★

1999年のゲームといえば、既に3Dポリゴン全盛期で、昔ながらの2Dグラフィックは時代遅れ、と切り捨てられつつありました。

ドリラーで使われたシステム12基板も、PS1と同じく3Dが得意であるため、一見3Dで作る方が理にかなっているように見えます。

ただ、当時の3Dポリゴンには、2Dグラフィックほどの精細さがなく、1枚絵としては見劣りする、という欠点がありました。

また、無理に3D化した結果、もっさりしたり視認性が悪くなったりしてプレイし辛くなり、ゲームとしての質まで損なう事もありました。

考えてみてください。もしドリラーが3Dゲームとして作られていたとしたら。

ブロックも何もかもが3Dで、カメラも角度が付いて、ついでにキャラクターの動きもリアルに表現されていたとしたら。

十中八九、もっさりしたり視認性が悪くなったりして、ゲームにならない程のクソゲーと化す事が容易に想像つくかと思われます。

そこで、ドリラーでは、あえて2Dゲームとして作る事で、高い快適さや視認性、ひいてはゲームとしての高い質を保ったのです。

3Dありきの時流に流されて失敗するケースも多い点を考えると、ドリラーを2Dゲームとした方針は正に英断と言う他ありません。

さらに、ドットの粗を感じさせない精細さや、カラフルかつ多彩なパターンのブロックは、2Dグラフィックとしても高い表現力です。

ついでに、女性ファンをも魅了したとされる可愛らしいキャラも、2Dゲームならでは、と言えましょう。

ドリラーの2Dグラフィックとは、昔ながらの見易さと、古臭さを感じさせない今風の美しさを両立した、究極のハイブリッドなのです。

↓凝ったデザインと裏腹に、ゲームを邪魔しない謙虚な背景にも注目だ。
 

ちなみに、ドリラーは基板の性能とコストのジレンマに悩まされた、と思しきタイトルでもあります。

具体的には、PS1クラスの基板では、ブロック崩落の際に処理落ちが多発し、商品化できなかったほど性能不足でした。

かといって、システム12基板では、性能的には申し分ないものの、不要な3D機能が基板の製造コストを嵩上げしていたはずです。

そこで、次回作からは新開発のシステム10基板を使うことで、ドリラーに必要な性能と低コストの両立に至ったのです。

システム10基板からは、太鼓の達人などの大ヒット作も生まれ、よりゲームの重厚長大化に、待ったを掛ける事となるのです。

↓PS版では、処理落ちしないよう工夫されているそうな。
 

 

4/10 危険だけど対策いっぱい! ★

前々項で述べた通り、ドリラーはシンプルなゲームですが、慣れないうちは、とても難しいゲームと思う事でしょう。

サクサク掘って即ブロックに潰されたり、逆に慎重に掘って窒息死、というのは、例え上級者であろうと日常茶飯事です。

それでも、ドリラーにはテクニックを知れば知るほど楽に、かつ楽しくなるだけの奥深さがあるのです。

↓忘れた頃に、ブロックは降ってくる…。
 

中でも、最も効果を実感できるテクニックは、屋根の確保です。

これは、頭上のブロックを2〜3個くっつける事で文字通りの屋根を作り、一時的にブロックの落下を食い止めるテクニックです。

一見難しそうですが、単に下記2種類の繰り返しで屋根を作れる事もあります。

(1)ひとつ横のブロックを掘る
(2)落下が止まるまで待つ

このやり方は一見安全そうに見えますが、時間が掛かり過ぎて窒息死したり、潰されたりする危険性が、とても大きいです。

それでも、これを何度か繰り返していくうちに、屋根を作れるパターンが分かってくる筈です。

例えば下の画像の通り、横に掘って落下を待つと、×印ブロックに囲まれてしまう状況が、そうです。

そこで、落下を待たずササッと下へ掘れば屋根が出来、下手に慎重に掘るより早く安全に掘れるようになるのです。

このように、屋根の確保を意識し、迅速かつ的確に行動することで、ピンチをチャンスに変えられるのです。

↓緑を掘って降りれば屋根の出来上がり。
 

他にも、ブロックのぐらつきから落下までの時間差を利用した掘り、酸素カプセルを取るための×印ブロックの消し方。

そして、うっかり×印ブロックに囲まれた時のリスクヘッジ等、アクション的にもパズル的にも豊富なテクニックがあります。

もちろん、窒息死しそうな時は、屋根に拘らず急いで掘り、ギリギリでブロックを避ける戦法も必要となります。

その応用として、かなり下の方でブロックがくっつく事を見越して、あえて突き進む、というハイリスクハイリターンな戦法もあります。

時に大胆に突き進み、時に慎重に頭を悩ませ、その場その場で最適な掘り方を見極めていく過程が、ドリラーの魅力なのです。

↓潰されそうになっても、諦めずに時間差掘りだ!
 

 

5/10 短いけど見所いっぱい! ★

ドリラーは、ひたすらブロックを掘るゲームであるため、ステージ構成が顧みられる事は、あまりないかと思われます。

ただ、ステージ構成こそが、ドリラーの面白さを彩る陰の主役なのです。

個人的に、ドリラーのステージ構成には、3通りの見所があると考えます。

第1の見所は、冒頭です。

冒頭は、開始数秒で何をして遊ぶゲームで、どこが面白いのか、の2点を知ってもらわねばならない、最も重要なポイントです。

数あるアーケードゲームと比べてもドリラーは、それら2点とも極めて高水準で、まとめられています。

具体的には、まずホリススムは画面上から落下し、青色のブロックに着地し、真下へドリルを構えます。

画面下には酸素カプセルがあります。周りは、いかにも掘ってはダメそうな×印ブロックです。

たったこれだけの情報量で、ドリラーとは、下へ向かって掘って遊ぶゲームである、という事が分かるのです。

続いて、ボタン1つで掘ると、くっ付いたブロックが根こそぎ消えたり、×印ブロックが落ちて根こそぎ消えたりします。

酸素カプセルを取ると「ラッキー♪」と言ったり「AIR +20%」と表示されたりします。

万が一、×印ブロックを掘るような天の邪鬼への対応もバッチリです。

×印ブロックを掘っても百害あって一利なし、と分からせた上で、すぐ酸素カプセルを与えて帳消しにする程の徹底ぶりです。

この時点で、ドリラーは掘ってブロックを消していったり、酸素カプセルを取ったりするところが面白い、という事も分かります。

そして、少し進むと再び×印ブロックと酸素カプセルがあります。

×印ブロックを避け、酸素カプセルを取ろうとすると、ブロックの崩落が始まり、プレイヤーは浮き足立つ事に…。

つまり、ドリラーはブロックを掘りつつ、崩落するブロックからの退避がスリル満点、と身を持って理解できるのです。

以上よりドリラーとは、ブロックを掘り、ブロックの崩落から逃れつつ酸素カプセルを取り、下へ降りていくゲームである、と。

開始数秒で、これほどまでにゲーム内容や面白さが分かるほど、ドリラーの冒頭は極めて綿密に作り込まれているのです。

事実、何度ブロックに潰されようとも、ムキになって繰り返しプレイする、ミスタードリラーの卵を大量発生させる事となるのです。

↓イヤ〜な効果音、演出、そして表示で天の邪鬼も懲りるだろう。
 

第2の見所は、中盤の2色ブロック地帯です。

ここは、文字通り大半が2色の大きなブロックで占められている地帯です。

単にクリアするだけなら、頭上に注意しつつ掘って待つだけで、勝手にブロックが崩落して下へ降りられる休憩地帯です。

ただ、短時間クリアを目指す場合は、一転してスリル満点の危険地帯と化すのです。

短時間クリアには、ブロックの崩落を待たずして掘り続ける必要がある以上、頭上に大量のブロックを残す事となります。

また、崩落の際には一時的に宙に浮いた状態となって身動きが取れなくなる為、なおさら潰され易いのです。

このように、2色ブロック地帯は遊び方一つで休憩も緊張も出来、中盤によくある中だるみ感を解消した画期的な地帯なのです。

↓休憩する分には、ブロックの崩落が気持ちいい!
 

最後に、後半です。

アーケードゲームらしく屋根の確保さえ出来れば、前半は、あまり酸素カプセルを取らなくても良くて易しめです。

むしろ、下手に取りに行って寝ているブロックを起こしては元も子もないため、それより下へ掘り進む方が得策です。

ただし、これまたアーケードゲームらしく後半では、そうもいかなくなるほど難しくなります。

具体的には、酸素の減りやブロックの落下速度が上がり、かつ簡単に酸素カプセルを取れないよう×印ブロックで覆われています。

そこで、今度は出来る限り酸素カプセルを取るべく、×印ブロックをどかしたり消したりする術が求められます。

その際、多少は待つ必要があるため、結果的に、それまで早く掘る一方だった展開に緩急が付く事となります。

それはつまり、後半で焦りがちなプレイヤーに、落ち着きを取り戻すよう促している事を意味しているのです。

意地悪で難しいだけに思える後半も、実はゴールに向けて背中を押す優しさを持ち合わせているのです。

↓チャンスの時こそ平常心だ。
 

以上より、ドリラーのステージ構成は、ドリラーの面白さを彩る陰の主役である点が伺えます。

数秒でゲームを理解できる冒頭、休憩も緊張も出来る中盤、そして厳しくも緩急と落ち着きをもたらす後半。

一見、ただ掘り進むだけのステージ構成は、10分足らずの短い間ずっとプレイヤーを夢中にさせるほど練り込まれているのです。

↓道半ばで倒れた時のアドバイスも参考になる。
 

 

6/10 PS版について ☆

アーケード版の稼働から半年、ドリラーはPS1を初めとする3機種で同時発売され、話題を呼びました。

そのうち2016年現在、PS版のみゲームアーカイブスにて配信中です。

Wikipediaによると、アーケード版との性能差をカバーすべく、PS版は画面上に消えたブロックの処理を省いている、との事です。

それがアーケード版と比べて、具体的にどうプレイ感覚に影響しているかは分かりませんし、特に検証もされていません。

少なくとも、処理を省いてもドリラーの面白さ自体は省かれる事なく、処理落ちもなく快適にゲームをプレイ出来る点は確かです。

↓PS版で初登場した要素も数多い。
 

PS版は、アーケード版の忠実移植であるアーケードモードのみに留まらず、実に3種類もの追加要素があります。

第1の追加要素は、音楽の総入れ替えです。

アーケード版から全ての音楽を新曲、もしくはアレンジバージョンに差し替えられており、よりゴージャスな仕上がりとなっています。

元々アーケード版の時点で、ポップな絵柄には良い意味で似つかわしくない、クールな音楽でした。

PS版でも、その路線は健在です。それどころか、一部の曲には生音を使っており、まるで大作映画さながらの壮大さです。

後のドリラーシリーズでは、より生音を駆使した壮大な曲に力を入れるようになり、国内外から高い評価を得る事となるのです。

その一方で、完全に未収録のアーケード版にも違った良さがあるので、出来れば両方収録して欲しかったところです。

↓オプションでサウンドテストもあるので、気の済むまで聴き惚れろ。
 

第2の追加要素は、タイムアタックです。

これは、完全に固定されたステージを、規定タイム以内にクリアする事が目的のモードです。

普段と異なりエアの概念が全くなく、各ステージも普通に掘っていては間に合わないものばかりです。

そこで、タイムアイテムを取れば1〜3秒マイナスされるため、間に合うようになるのです。

アーケードモードでは見られない、アスレチック性の高いステージ構成となっており、一味違ったスピード感を楽しめます。

また、そんなステージ構成であっても、掘るより降りる方が早い、という知識を得るきっかけにもなります。

スピードこそ全ての思い切ったコンセプトやステージ構成は、後のドリラーシリーズに大きな影響を与える事となるのです。

↓落ちるブロックを渡る、大胆すぎるステージ構成。
 

最後に、とことんドリラーです。

これは、1回死んだら終了というルールで、無限に続くとされるステージを何m掘れるか競うモードです。

とことんドリラーで特筆すべきは、音楽です。

少なくともPS版のアーケードモードでは、500mと1000mとで曲が異なります。

ただ、腕に覚えのある方には、いくら曲が違うからといって500mをプレイするのは、気が引けるでしょう。

そこで、とことんドリラーであれば、500mの曲もじっくり聴く事が出来るため、気兼ねなく楽しめるのです。

他にも、1000mを越えた辺りから、アーケードモードでは聴けない曲も流れるため、さらにやる気をアップさせてくれるのです。

後のドリラーシリーズでは、とことんドリラーにギャンブル性を加える事で、より楽しい限界へのチャレンジを促す事となるのです。

↓死んだ後のリプレイの曲も必聴。
 

以上より、PS版ドリラーは単なる移植どころか、むしろドリラーの枠を広げた重要なタイトルです。

PS2発売後ながらも、3機種合わせて10万本以上ものヒットを記録し、長らくナムコの看板タイトルとして愛される事となるのです。

なお、アーカイブスでもドリラーグレートが出た今となっては、確かにボリューム的にはドリラーグレートに見劣りします。

ただ、ロード時間の短さやシンプルな爽快感は、初代ドリラーの方が格段に上である、と考えられます。

手軽に楽しめる初代ドリラー、ボリュームたっぷりのドリラーグレート、それぞれに良さがあるので、両方揃えるのがベストです。

↓かなカナ英数字が打てるネームエントリーも珍しい。
 

 

7/10 まとめ ★

ドリラーは、色々な意味で重厚長大化が持て囃されたゲーム業界に3つの意味で待ったをかけた、昔ながらのゲームです。

第1に、シンプルで奥が深いゲーム内容です。

ドリラーの内容は、方向キーとボタン1つの簡単操作で、潰されぬよう酸素を取り、ブロックを掘っていく、というシンプルさです。

そのシンプルさ故に、「掘る」事の小気味よさ、状況ごとのメリハリ、そして戦略性といった奥深さが詰まっています。

第2に、思い切った2Dグラフィックです。

3Dありきの時流に流されず、あえて見易く、かつ古臭さを感じさせない2Dグラフィックのゲームとした点は、まさに英断です。

また、それを活かした可愛らしいキャラは、数多くの女性ファンを引き込みました。

最後に、夢中になれるステージ構成です。

すぐ入り込める冒頭、自由に掘れる中盤、そして厳しくも緩急のある後半と、10分足らずの短時間ながら密度は濃いです。

これに加え、毎回新鮮な感覚で楽しめるランダム性の高さや掲げられる目標の多さにより、思わず何度でも挑戦したくなります。

PS版はロード時間も処理落ちもなく、新たな音楽やモードが、より一層手軽に、やる気にさせてくれます。

以上より、ドリラーは可愛いキャラに癒されたい手軽で奥深く遣り甲斐のあるゲームをしたい、という方にオススメです。

↓老若男女を魅了するキャラ作りも、往年のナムコならでは。
 

 

8/10 思い出話

僕とドリラーの出会いの場は、以前タイムクライシスを遊んだ店「いまじん」です。

PS2が出た後という事もあり購入には至りませんでしたが、例に漏れず僕も死にながら大ハマりでした。

僕だけでなく当時中高生くらいの3バカトリオもハマったそうです。

彼らが交代もせず、ヘラヘラと延々とプレイしていたのを見て、ああはなりたくない、と子供心に思ったのを覚えています。

覚えているといえば、もう一つ。初代ドリラーのCMでは、女の子がホリススムに対して「かわいい〜!」と喋っていたと思います。

それを観ていた、当時ゲーム嫌いの母が、「どこが。」と冷淡なコメントを残した事が、今でも印象に残っています。

CMを観たのは1回こっきりで、残念ながら動画サイトにも無いため幻と化してしまっています。

いつかもう一度みてみたいものですが、ひょっとして記憶と全く違う内容かも。

その後15年くらいは熱心にプレイすることなく、ゲーセンに置いてあったらプレイする、程度のものでした。

プレイしていた期間はほとんどありませんでしたが、音楽、特に500mで最初に流れるArdentenのメロディは印象深かったです。

そのため、アーケードのドリラー2やドリラーグレートで、この曲が流れるたびに、当時を懐かしんだものでした。

↓当時からして何度、この画面を見た事やら。
 

それから更に時は流れ、PS4でクレイジークライマーをプレイしていて、ふとドリラーを思い出した事で、PS版を買うに至りました。

既にアーカイブスでもドリラーグレートが出て迷いましたが、Ardentenが決め手となって、初代ドリラーを選んだのです。

まずは圧死より窒息死、という気概で迎えた初プレイでは、辛くも500mをクリア出来ました。

続いて1000mにも挑戦しましたが、こちらは序盤の段階で500mと比較にならないほど難しく、半分を超えるのにも骨が折れました。

どれくらい骨を折ったかというと、 ゲーム内アドバイスや攻略サイトから、屋根の確保を勉強した上で、練習を重ねたほどです。

ようやく半分を超えてもなお、終盤の余りの速さについて行けず、ホリススムは何度となく天使となって天を舞ったものです。

それでも残機のゴリ押しで、見事1000mクリアを達成し、うっかりしがちな地底人を一喝するに至ったのです。

↓これ、どうやって戻るんだろう…。
 

その後は、ミスタードリラーになるべく精進しましたが、それだけでも100回くらいはプレイしたと思います。

それでも、シューティング等と違って1回のプレイ時間が短くランダム性が高いため、リトライが苦にならない点が救いです。

ただ、延々と20〜30回くらいリトライを続けても、次第にプレイが雑になっていく一方なので、やっぱり程々が良いと思います。

書いていて思ったのですが、仮に1回5分としても、それが20〜30回も続けば2時間くらいになるので、そりゃ雑になりますよね。

その努力の甲斐あって、終盤で焦るより確実に酸素カプセルを取るべし、との結論に至り、遂にミスタードリラーになれました。

だいたい700mくらいの所で、「これはいける」と確信しただけに、無事いけた時は唸ったものです。

ただ、ミスタードリラーになったのは、たったの2回のみです。まあ、SASUKEみたいなものではないか、と。

とかいいつつ、僕より遥かに上手いミスタードリラー達のプレイを見聞きして、正直へこむ事もあります。

それでも、ドリラーは面白いのです!自分が楽しければ、人様の記録など、どうでも良いのです。

後にドリラーグレートも買って、そちらはそちらで楽しみましたが、結局繰り返しプレイしているのは初代ドリラーです。

10年後にArdentenを聴いた時、初めてプレイした頃だけでなく、熱中した2016年も思い出す事となるでしょうね。

↓酸素カプセルの全ゲットは、難しすぎて断念しました。
 

 

9/10 こちらもあわせてどうぞ

・ミスタードリラーグレート

PS1ソフトとしての続編です。読み込み時間が延びた代わりに、シナリオドリラーの導入を始め、ボリュームが倍増しています。

・ディグダグ

古き良き戦略的穴掘りゲームです。ドリラーグレートに出るホリ・タイゾウ=ディグダグの主人公、との後付け設定があります。

・クレイジークライマー

古き良きビル登りゲームです。大胆かつ慎重なプレイやテクニックの重要さ、そして手軽さなど、意外と共通点のある作風です。

・VGF掲示板

検索等で来て頂いたついでに、ご意見ご感想などを残して頂けると嬉しいですが、事前に三か条を一読ください。

 

10/10 最後に

正直、10項目すべて埋められるか不安でしたが、難なく埋めた所か、逆に溢れて没になった項目が2つも出てしまっていました。

その項目とは、ディグダグとの関連や音楽についてのウンチクです。

ちなみに、 沙羅曼蛇のレビューでも音楽絡みの項目が没になった辺り、VGFでは音楽への優先度が低いな、と自分で思いました。

書いていて最も苦労したのは、「4/10 危険だけど対策いっぱい!」です。

初めに考えた攻略指南は、いまいちパッとしなかった上に、既に攻略サイトで分かり易くまとめられているため、ボツ。

ちなみに、この時点では『対策「も」いっぱい』でしたが、後にキャッチコピーとの語呂合わせで、「も」を消しました。

次に、項目名を「〜楽しさいっぱい!」と改めた上で、ドリラーの良さをまとめて書こうとしましたが、これもパッとせず、ボツ。

暗礁に乗り上げた所、先人の某レビューなどを参考にして、ついでに項目名も戻して何とか完成に至りました。

画像に関しては当初、720pで取り込んでいましたが、画面に収まり切らないほどサイズが大きく、黒帯の削除に困っていました。

そこで、途中から思い切って4:3の480pで取り込む事で、楽に黒帯を削除できるようになりました。

どのみち縦210画素にサイズを落とすため、少なくともサイトに表示する分には、画質の違いは分からないレベルかと思われます。

余談ですが黒帯といえば、ゲーム中の画面と、それ以外とでは黒帯の範囲が異なるため、綺麗に消すのに苦労しました。

 

ドリラーグレートのリンク追加に合わせて、冒頭の配置を変え縦画面で画像サイズが拡大するよう更新しました。

また、PS1版の売上は15万本以上と書いていましたが、ソース元が消えてしまった為、確認できる10万本以上に修正しました。

2020/06/30 「PS1版ミスタードリラーグレート」へのリンクを追加

2016/08/15 初公開

 

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