グラディウスV
メーカー | コナミ |
対応機種 | プレイステーション2 |
ジャンル | 横スクロールシューティング |
目次
最低限ここだけでも読んで頂きたい項目には「★」、出来れば合わせて読んで頂きたい項目には「☆」が付いています。
それらを読んでもなお飽き足らないのであれば、末尾が空欄の項目も是非読んで下さい。
グラディウスVの概要を解説します。
グラディウスVの新機能「オプションコントロール」の搭載により、いかにシリーズの問題点が改善されたかを考察します。
グラII以降、長らく日陰の身であったレーザー。それが初代をも凌駕する栄光や強さを取り戻すに至った理由を考察します。
グラディウスVならではの、良くも悪くも長すぎ・濃すぎの作風について解説します。
グラディウスらしくない、と評されがちな中、いかにグラディウスVが歴代シリーズのオマージュを盛り込んでいるか検証します。
ロード時間や各種オプションなどの外回りの機能、そしてPS2アーカイブス版に存在していた違いについて解説します。
これまでの解説を踏まえ、グラディウスVがどんなゲームで、どんな良さがあって、どんな方に向いているかを解説します。
文字通り、グラディウスVに関する、個人的な思い出話です。
本ページと何かしらの関連性や共通点を持つコンテンツを3つ紹介します。あと掲示板もどうぞ。
本ページについての、あとがきです。
1985年より始まったシューティングの革命児グラディウスシリーズは1988年のグラIIをもって、一応の完成を見ています。
まず初代グラディウスで多彩なステージ群にゲージ式パワーアップ、そして規格外の火力などといった基礎が仕上がりました。
続いて、続編の沙羅曼蛇で更なるギミックや英語音声などの導入により、演出面で飛躍的な進歩を遂げました。
そして、グラIIで武装セレクトにボスラッシュ、そしてオプションを奪う「オプションハンター」などが加わり、最高傑作と謳われました。
以後、大半のグラディウスはグラIIベースで作られ、多少の当たり外れはあれど、ほぼ一定以上の水準を保ってきました。
しかし、それが10年以上も続けばマンネリ化は避けられず、革命児であったはずのグラディウスとしては不本意な姿でもあります。
そこで、コナミは再びグラディウスを革命児とすべく、トレジャーやグレフと手を組んで会心のグラディウスを世に放つ事となります。
そのゲームは北米のゲームオブザイヤー2004で2つも受賞するなど、新世代のシューティングを象徴する仕上がりとなりました。
そのゲームこそ、グラディウスシリーズ最後のナンバリングタイトルとして2004年に発売された「グラディウスV」です。
↓新世代ビックバイパーT-301、発進!
グラIIでグラディウスシリーズは一応の完成を見た、といっても、決して解決される事のなかった問題点が2種類あります。
第1の問題点は、オプションの仕込みの窮屈さです。
グラディウスの面白さの一つに、予めオプションの陣形を仕込み、出てきた敵を速攻で倒す戦略性があります。
ただ、オプションは自機の後を付いていく挙動であるため、動き方を間違えると取り返しのつかない事態にもなりかねません。
それは敵弾などを避ける場合でも例外ではなく、避けるたびに陣形が崩れて、徐々に追い詰められる事もザラです。
つまり、極端な話、避けるとせっかくの仕込みが台無しとなって死、避けないとバリアが切れて死、あるのみでした。
↓バリア(フォースフィールド)頼みで強引に切り抜けた経験のある方も多いのでは?
第2の問題点は、正面以外への攻撃手段の乏しさです。
一応、ダブルを装備すれば、正面以外を攻撃する事は出来ます。
ただ、ダブルには連射性能が落ちる、基本的に攻撃方向が限られている、という欠点があります。
そのため、考えもなしにダブルを装備すると、たちまちのうちに撃ち負けて余計ピンチになるだけです。
このように、ダブルは使い所を考えないと逆効果で、これさえあれば正面以外も安心、と言うには程遠い代物でした。
↓何となくダブルを装備して、「何だこのクソゲー!」と投げた方もいるのでは?
そこで、グラVでは「オプションコントロール」なる新システムを導入し、これら2種類の問題点の解決を図ったのです。
具体的には、オプションの仕込みはタイプ1の「フリーズ」が、正面以外の攻撃はタイプ2の「ディレクション」が解決に当たっています。
フリーズはR1ボタンを押し続けている間、オプションの陣形を固定させたまま移動できるコントロールです。
そのため、陣形の崩れを気にせず避けに専念できるし、最初の仕込みに失敗しても簡単に修正できます。
ディレクションはR1ボタンを押しながら方向キーで、その方向にオプションの弾を撃てるコントロールです。
つまり、ダブルに頼らずとも好きな方向を攻撃できて正面以外も安心、と言っても過言ではなくなった事を意味します。
以上より、グラVはオプションコントロールの導入により、シリーズ特有の問題点を解決するほどの利便性が備わったのです。
↓フリーズを使いこなせば、オプションを弱点にめり込ませて瞬殺も狙える。
グラディウスにおけるレーザーは、シンボルと言っても過言ではないほどの存在感あふれる武器でした。
初代では、その印象的な見た目はもちろん、威力、速度、貫通力、攻撃範囲ともに優秀です。
さらに、レーザーワインダーなる技術を身に付ければ、ただでさえ広い攻撃範囲がもっと広まり、鬼に金棒です。
確かに、5面の細胞が苦手で、至近距離では長時間発射が途切れる欠点もありますが、それを補って有り余る主力武器でした。
沙羅曼蛇やライフフォースでは速度こそ少し遅くなったものの、初代の欠点が解消され、より安定した性能となりました。
また、新兵器リップルレーザー(以下「リップル」)が登場したものの、まだレーザーほどの強さはなく、地味な存在でした。
こうした背景もあって、レーザーがブイブイ言わせていたものですが、その栄光は長くは続きませんでした。
その理由は、グラIIから大幅に強化されたリップルの台頭、及び、レーザー自体の弱体化の2点です。
具体的には、グラIIでは沙羅曼蛇よりも遅くなって隙が大きくなり、攻撃範囲もほぼ見た目通りに縮められてしまいました。
グラIIIでは一応、硬い敵相手なら近距離で発射が途切れなくなる等の強化ポイントこそあります。
その代償として、グラII以上に速度も長さも貫通力も大きく落ちてしまい、7面の火の玉に完全に遮られる始末でした。
沙羅曼蛇2では唯一連射いらずの武器として重宝しますが、威力的にも長さ的にも、主力を張るには心許ない性能でした。
グラIVでは速度や貫通力などは初代なみですが、肝心の威力や攻撃範囲が話になりませんでした。
ただし、これだけ弱体化していても、要所要所ではリップル等にない強みを活かせる辺り、腐ってもレーザーと言えます。
それでも、強みを活かしたところで総合的な強さはリップル等には及ばず、かつての様な存在感は望むべくもありませんでした。
↓グラVでも、攻撃範囲はほぼ見た目通りだが…。
しかし、そんな状況はグラVで一変します。結論から言うと、グラVのレーザーは初代や沙羅曼蛇の時以上の存在感です。
その理由は3種類あります。
第1の理由は、最初の武装セレクトのラインナップです。
初めに4つから選べる武装のうち、レーザー系の武器は、全てレーザーで統一されています。
1周クリアするとウェポンエディットが解禁され、リップル等を選べるようになりますが、それはあくまで1周クリア後の話です。
つまり、1周クリアまではレーザーを使うしか選択肢がないため、否が応にも印象深くなり、愛着も湧いてくるというものです。
↓初めはコンティニュー制限があるため、1周クリアは長く険しい道となる。
第2の理由は、実用的な性能です。
相変わらず狭い攻撃範囲を除けば、沙羅曼蛇の時に近い性能に回帰しているため、申し分ない強さです。
一方、ウェポンエディットで選べる他のレーザー系は、どれもこれも偏った性質です。
かのリップルですら、驚異的な攻撃範囲や連射性能を誇り、とても扱いやすい反面、威力が激減してしまっています。
そのため、全体的に耐久力の高い敵が多いグラVでは、必ずしもレーザーに取って代わる存在とは限りません。
このように、相対的にも絶対的にも、レーザーは威力と扱いやすさのバランスが取れた主力武器の一つにまで強化されたのです。
↓タイプが奇数か偶数かで、微妙に性能が変化する。
最後に、ディレクションとの抜群の相性です。
前述の通り、ディレクションはオプションの攻撃方向を変えられますが、レーザー使用時のインパクトは他とは一線を画します。
方向を変えるたびに鞭のように撓(しな)り、斜め上下に細かく方向を変えれば、美しい残像を帯びた波形を画面全体に描くのです。
もちろん、性能面においても、そのビジュアルに引けを取る事は全くありません。
レーザーの波形で画面中を埋め尽くせるという事は、つまり地形さえなければ画面中を攻撃できる事を意味します。
さらに、レーザーの高い貫通性能によって、イナゴのように並み居る大群も、一瞬で山吹色に染めるのです。
その圧倒的なビジュアルや爽快感のインパクトは、まさに初代を思わせるどころか、それすらも凌駕する程の凄まじさです。
↓この美しさ、この強さは、泣く子をも黙らす(はず)。
以上より、長らく日陰の身であったレーザーは、グラVにて再びスポットライトを浴びるに足る強さと存在感を取り戻したのです。
それはつまり、沙羅曼蛇を最後にシリーズが徐々に失いつつあった、攻撃の爽快感やインパクトを取り戻した事を意味します。
よくグラディウスらしくない、等と批判されるグラVですが、ある意味もっともグラディウスの原点を尊重した一作なのです。
↓その結果が、これだ。
前述の通り、グラVのレーザーは、それこそ原点回帰と言える程のインパクトを引っ提げました。
一方で、グラVの作風そのものはシリーズでも屈指の重厚長大ぶりで、初代などとは対極的でもあります。
その理由は3種類あります。
第1の理由は、1周約70分の長さです。その内訳は、概ね下記の通りです。
(1)1面、8面:約4分
(2)2面〜5面:約8分
(3)6面、7面:約16分
つまり、「4×2+8×4+16×2=72」で、約70分となる寸法で、ほとんどのグラディウスシリーズの倍以上の長さを誇ります。
また、単にステージの長さだけなら、同じく重厚長大のグラIIIをも超える長さである点からも、いかにグラVが長いかが伺えます。
一応フォローしておくと、グラVは、いわゆる「その場復活」が前提なので、死んでも死ななくても所要時間はあまり変わりません。
何より、グラIIIの9面のような、成功するかはほぼ運任せで、成功するまで延々とやり直しをさせられる苦行も皆無です。
なので、一旦死ぬと立て直しに成功するまで進行が止まってしまう歴代シリーズよりも、むしろスムーズに進む、とも考えられます。
↓設定を変えれば、歴代と同じ「戻り復活」にも出来る。
第2の理由は、統一された雰囲気です。
グラディウスシリーズは一部の例外を除き、ステージが変われば雰囲気もガラッと変わる点が大きな魅力でした。
それに対し、グラVの各ステージの大半は、機械や要塞を前面に出した雰囲気で統一されています。
そのため、歴代シリーズと比べると、ゲームの進行に合わせた視覚的な変化には乏しい、と言わざるを得ません。
こちらもフォローすると、確かに全体的な雰囲気は似ていますが、それぞれのステージ構成は全く異なるものとなっています。
また、序盤からして目まぐるしい背景演出に会話、そしてボスラッシュと、クライマックスなシーンの連発です。
さらに、中盤では細胞や隕石といった、それまでと異なる雰囲気のステージが挿入される等のメリハリもあります。
よって、長いだの似てるだのと言いつつも、プレイしている最中は、その長さをまるで感じさせないほど没頭できるのも事実です。
↓困惑して名台詞を発する自機だが、後にその意味を知る事となる。
最後に、高い難易度です。
仮に、歴代のグラディウスシリーズにオプションコントロールがあったら、ほぼ例外なくヌルゲー化してしまう事でしょう。
ただ、グラVには、それほど強力なオプションコントロールがあるにも関わらず、歴代でもかなり難しい部類に入るのです。
オプションコントロールの活用を前提とした複雑な地形に、あっちこっちから現れる夥しい数の敵、敵、敵。
それを特に痛感させられるのは、ボス戦でしょう。
何故なら、歴代でも屈指の硬質なフォルムに恥じない、驚異的な強さを持っているためです。
その強さとは、時に地形や別の敵でやり過ごさねば死ぬ程の攻撃力と、分単位の長期戦に持ち込む耐久力の両立を意味します。
そのため、ボスに勝つには対処法を察知する洞察力、それを実践する地力、そして最後まで折れない精神力を求められるのです。
このように、極めて密度の濃い戦闘が絶えず続くため、相当なやり応えがある反面、1プレイで消費する集中力も相当なものです。
これまたフォローすると、戻り復活にしなければ基本的に死んでも簡単に復活できるため、1ミスが命取りとは、なりにくいです。
さらに、残機やコンティニューにモノを言わせて無理にでも突き進んでいく事も可能なので、一概に難しい、という訳でもないのです。
↓この弾幕を避けるには、隕石を盾にしつつ隕石も避けるしかない。
以上より、グラVの作風は、1周の長さ、機械仕掛けの雰囲気、そして高い難易度、どれを取っても重厚長大そのものです。
それ故、確かに1通り1回プレイするだけでお腹一杯となってしまいがちで、とても気軽に遊べる代物ではありません。
それでも、その場復活によるゴリ押しのし易さや場面ごとのメリハリに秀でている等、それなりに考えられているのも事実です。
何より、重厚長大であるが故の密度の濃さ、面白さは、紛れもなく本物なのです。
↓困難に打ち勝った時の快感もまた重厚長大ものだ。
前項で述べた通り、グラVの雰囲気は歴代シリーズのそれとは大きく異なります。
どちらかといえば、同じトレジャー制作の「レイディアントシルバーガン」や「斑鳩」に似た、機械仕掛けの雰囲気です。
そのため、歴代シリーズに登場しながらもグラVの雰囲気にそぐわないと思しき、機械でないステージは尽くカットされています。
それは伝統の火山やモアイ等のステージとて例外ではありません。これがグラディウスらしくない、等と批判される所以です。
その一方で、実に多くの点で歴代シリーズのオマージュに溢れている点も事実です。
例えば、上下無限スクロールの中、丸いゼロスフォースが大量発生する1面は言うに及びません。
モアイと同じイオンリングを吐き出す3面ボス、火山のように大量の弾を噴射する敵がいる4面なども、そうです。
↓余談だが、沙羅曼蛇でもモアイはチョイ役だった。
それらを差し引いても、個人的に「これは」と思ったオマージュを3種類ピックアップ出来るのです。
第1のオマージュは、音楽です。
グラVの音楽は壮大なオーケストラと打ち込み系が融合した曲調であり、確かにメロディアスな歴代シリーズとは異なる方向性です。
それでも、ボスラッシュ以外でも、一部の曲には歴代シリーズの音楽のメロディが盛り込まれているのです。
具体的には、2(8)面には沙羅曼蛇ボス戦のメロディがあり、そこで登場するゴーレムの存在感を引き立てています。
また、ネームエントリーの音楽には初代グラディウス1面のメロディがあり、優秀な戦績を挙げたプレイヤーを労ってくれます。
余談ですが、メロディを抜きにしても、奇数面では空中戦の音楽が流れない点も、地味ながらも沙羅曼蛇を思わせる心憎さです。
このように、グラVの音楽は歴代シリーズに縛られず、それでいて歴代シリーズの原点を尊重した構成となっているのです。
↓ゴーレムは沙羅曼蛇を象徴する人気キャラの一角だ。
第2のオマージュは、4面です。
4面は唯一の生態系ステージであるためか、全体的に歴代シリーズのオマージュで固められています。
前述した火山もどきに加え、沙羅曼蛇さながらの広大な細胞壁、沙羅曼蛇2の1面冒頭の竜を思わせる外観の蟲などなど。
そして、注目すべきは4面ボスです。奴は途中、上下の穴から火山よろしく大量の弾を噴射してきます。
それの主な攻略法は、自機の上下をオプションで囲うような陣形を組み、レーザーを撃ち続ける事です。
この光景に、何か見覚えはありませんか?そう、初代グラディウスで、2面のザブを迎撃していた時と同じ陣形なのです。
余談ですが、4面ボスといえば、うねる火炎攻撃もまた、グラIIIの7面ボスを思わせるオマージュものです。
このように、グラVは雰囲気が違うなりに、外観からも攻略の必然性からも、歴代シリーズを思い起こさせるのです。
↓サンダークロスに繋がり、グラディウスへ逆輸入される由緒正しき陣形だ。
最後に、5面です。
5面は、上下無限スクロールで、飛び交う隕石を破壊しつつ要塞を攻略していくステージです。
これも歴代シリーズのファンならピンと来た事でしょう。そう、沙羅曼蛇2の5面と同じモチーフのステージなのです。
沙羅曼蛇2は比較的マイナーな作品であるにも関わらず、冷遇せずしっかりとオマージュする辺りに、グラVの本気度が伺えます。
↓もちろん、面構成や演出は大幅にグレードアップ。
以上より、グラVは革新性の陰に隠れがちですが、歴代シリーズへのただならぬ敬意にも満ちている点が伺えます。
一見するとグラディウスの常識を破った雰囲気も、シューティングの常識破りたるグラディウスへの愛深き故に、ではないでしょうか。
↓イナゴの大群が如きベルベルム編隊を根こそぎ蹴散らす快感は圧巻。
これまではグラVのゲーム内容を解説してきました。本項では、外回りの要素について3種類の観点から解説します。
第1の観点は、オプションモードです。
オプションモードでは難易度やサウンド等はもちろん、ボタンコンフィグや復活方式の設定も可能です。
初期のボタン配置は「×:パワーアップ、○:連射ショット・ミサイル」ですが、ショットとミサイルを分離したり手動にしたり出来ます。
そうしなければ終盤のある場面で非常に不利となったり、あるミサイルが弱体化したりするので、設定を変えるが吉です。
ついでに、ゲームパッドでプレイする際、初期のボタン配置では、ショットを撃ちながらのパワーアップが難しく、操作性に劣ります。
よって、やはりボタンコンフィグの設定を変えておいた方が良いのです。
復活方式は、初期設定のOFFでは死んでも戻されず、オプションだけ元通りに回収できる「その場復活」です。
これをONにすれば、何と歴代シリーズと同じ戻り復活に出来るのです。
ただ、その場復活と比べると、死ぬとオプションを拾えず丸腰となり、残機に頼ったゴリ押しが出来ないため、極めて不利です。
よって、よほど戻り復活に拘る方や、同じ場面を何度も練習したい方だけがONにすべきです。
逆に言えば、グラVは復活方式の選択ひとつとっても、そのような拘り派のニーズにも応えているのです。
↓変更にはカーソルを合わせて左右に動かさねばならず、不便。
第2の観点は、ステージセレクトです。
これは、特定のステージや場面を選んでプレイできるモードですが、前作「復活の神話」から下記3種類の変更点があります。
(1)ステージクリアでタイトルへ強制移行
(2)プレイ中、ポーズをかけて任意の場面へ移行可能
(3)コンティニューは無限に可能
これらの変更点により、さらに練習用として割り切られましたが、結論から言うと、(1)は改悪であったと言わざるを得ません。
何故なら、先のステージを見るには、初めから通しでプレイするしかなくなってしまった為です。
そのため、最高難易度の10周目を解禁するには、10時間以上もの通しプレイを強要される等、甚大な影響を及ぼしています。
グラVの1周の長さが批判される背景には、こういった理由もあるのです。
さらに、ステージを跨いだ復活パターンの研究も不可能である等、練習用としても問題点が生じてしまっています。
タイトルに戻るのが良いか悪いかはプレイヤーが決める事なので、素直にステージセレクトでも次へ行かせて欲しかったです。
それでも、(2)や(3)により、同じ場面の反復練習が更に快適に行える等、練習用としての改善点があるのも事実です。
↓(2)にはポーズをかけて、リスタートしたい場所を左右で選んで○だ。
最後に、ロード時間です。
グラVは当時としても既に少数派であったCD-ROMのゲームであるため、ロード時間は長めです。
具体的には、最短でも1面の約10秒、ステージセレクトでは他の面で約20〜30秒にも及ぶ程です。
これは、ゲーム選択時を除けばロード時間が無いに等しかった復活の神話と比べると、余計に目立つ長さです。
逆に言えば、この長いロード時間のお蔭で、ステージを変える際に軽く休憩できる、との解釈も出来ます。
事実、休憩なしに延々と練習するよりも、適度に休憩しつつ練習する方が効果的とされています。
このように、一見すると単なるマイナス要因でしかないロード時間も、学習効率を高めるプラス要因に転じているのです。
さらに、通しプレイであれば2面以降のロード時間は数秒で済むため、プレイして高揚した気分を盛り下げる事はありません。
↓同じステージなら数秒のロードで済むので、集中練習にも向く。
以上より、グラVはロード時間こそ長めなものの、オプション面や練習環境においては申し分ないと言えます。
ソフトの中古価格は廉価版とほぼ同じ2800円くらいで推移していますが、近年PS2アーカイブスにて1234円で配信されました。
HD化はされておらず、恐らくロード時間なども同じですが、720pへのアップコンバートで、更なる高画質化がなされています。
マニュアルにはビックバイパー開発史も収録されて値段も半額以下であるため、今買うならPS2アーカイブスで決まりです。
なお、下の比較画像は上から順に720p、480p(アプコンなし)、そして480i(オリジナルと同じ出力)で、いずれもD端子です。
上にいくほど滑らかですが、D端子の場合、720pではHDMIと比べて少々ピンボケ気味となってしまいます。
それが気になるのであれば、アプコンを「切」にすればハッキリクッキリ映るので、お好みでどうぞ。
↓アプコンの有無で、画面比率も少し変わる。
余談ですが、1月5日より前に配信されていたバージョンには、サークルコアの挙動が一部異なる等の移植ミスがありました。
具体的には、出現早々画面から半分はみ出るほど左へ寄ってしまっていたのです。
これにより、動ける範囲が狭くなったり、画面外のザコを倒せなくなったりと、僅かながら嫌らしさが増してしまっていました。
なお、前のバージョンを買っていても、一旦削除して再ダウンロードすれば、オリジナルと同じ挙動に修正されます。
逆に言えば、再ダウンロードしない限り、修正されないので、あえて前のバージョンを残しておくのも乙な楽しみ方でしょう。
↓その後、逆方向へ回転した後、ちゃんと中央へ戻ってくれる。
グラVを一言で表すならば、「原点回帰」です。
はあ!?と思われることでしょう。確かに、グラVは一見すると歴代シリーズとは別物です。
オプションコントロール、機械仕掛けの雰囲気、そして重厚長大な作風…。火山もモアイもない、どこがグラディウスなんだ、と。
しかし、グラディウスの原点とは、それまでのシューティングの常識を覆すほどの革新性にあったのではないでしょうか?
オプションを駆使した戦略性、レーザーで敵を蹴散らす爽快感、そして、次はどんな展開なんだろう、というワクワク感。
これらの面白さや驚きを再び取り戻し、革命児たるグラディウスの本来あるべき姿を示そう、との思いがグラVに込められています。
つまり、それまでのグラディウスの常識を覆すほどの革新性こそがグラディウスの原点、と悟った上で出した答えがグラVなのです。
また、グラディウスの常識のうち、オプションの陣形を組む難しさや戻り復活などの厳しさも例外なく、改善されています。
それでいて、さり気なく、かつ、多岐に渡る歴代シリーズの要素の引用から、歴代シリーズへのただならぬ敬意も伺えます。
一方、重厚長大な余り、長さも難易度も半端でなく1回でお腹一杯になるゲームですが、練習環境も十分に用意されています。
以上より、グラVは重厚長大なシューティングをしたい、究極進化したグラディウスを堪能したい、という方にオススメです。
↓11年前ながら、当時最先端を極めたクオリティは未だ健在。
グラVが発表された頃、僕は既に某サイトの影響でグラIIIにハマっていたため、かなりの期待を寄せていました。
中でも印象的だったのが、レーザーをダブルの様に正面と右上に撃つ写真です。
僕はそれを見て、新兵器ダブルレーザーの登場か!?と勝手にときめいていました。
また、オプションコントロールと聞いて、自機からオプションを切り離し、オプションを自機のように動かせるのを想像していました。
まあ実際はダブルレーザーな訳がなく、ディレクションでそれっぽく撃っているだけですし、前述した機能もなかった訳ですが。
それはさておき、PVを初めて観た時は、口元がニヤけるのを抑えきれませんでした。これが21世紀のグラディウスなのか、と。
予約も済ませ、後は発売を待つのみでしたが、そこで突然、兄が予約を止めるよう言ってきたのです。
曰く、「グラディウスみたいなゲームに7000円も出すとか馬鹿か?それなら某大作ゲームの方が良いって。」だそうです。
それで渋々予約キャンセルをしたものの、やはりグラVが欲しくてたまらなかった僕は、発売直後に中古で買ったのでした。
兄には申し訳ないですが、予約キャンセルした事は今でも後悔しています。やはり反対を押し切ってでも予約して買うべきでした。
↓こんな感じの写真でダブルレーザーを妄想しました。
グラVの画面写真を見て、「PRESS START BUTTON」の文字にもピンと来ていました。つまり、2人で遊べる、と。
前述の兄は何だかんだで2人プレイに付き合ってくれたし、当時の友人らも家に招いてワイワイ楽しんできました。
ある時は、「オプション取るのに、あと何個カプセルが要る?」等と相談を受けたり。
またある時は、3面ボスで調子こいた友人が足の間に居続けたらバーベキューにされて、一同の爆笑を誘ったり。
それだけでなく、攻略面においても、かなりの鋭い指摘を2つも頂きました。
1つは、2面ボスラッシュのビッグコアmk-IIの弾幕の隙間を潜れる点です。それまで大きく上下に避けていたため目から鱗でした。
もう1つは、3面中盤の下の壁は、地面ギリギリまで近付けばオプション等がなくても破壊できる点です。
これまた、2人とも死んでオプションの回収に失敗して死を覚悟したところ、友人が破壊を実践して窮地を乗り越えてくれたのです。
このように、グラVの2人プレイは、楽しさでも攻略でも、決して忘れる事の出来ない思い出を僕にくれたのです。
↓あるいは開発者も、こうなる事を見越して…?
そんなこんなで楽しんできたグラVですが、ソフト自体は4年前に売却しています。
理由は、やはり1周が長すぎて集中力を維持できなかった上に、5面以降が難しくてワンコインクリア出来ず諦めたためです。
また、その時はPS2本体の寿命も考えてPS2ソフトのうち割と高値で売れるゲームを売却しており、グラVもその1本だったのです。
売ってからも、いつかHDリマスターが出るといいな、と待ち続けて4年、PS2アーカイブスで出た時は即購入しました。
PS2アーカイブスなのでHDリマスターではないのですが、11年経っても色褪せないクオリティに再度脱帽しました。
その勢いで今度こそは、と苦手な5面以降の猛練習に励み、遂に難易度ノーマルのワンコインクリアを果たしたのです。
やっぱりグラVは、れっきとしたグラディウスで面白いですよ。それだけに、HDリマスターが出ない点が悔やまれます。
16:9のフルHD、ステージセレクトやロード時間の改善、そして中盤ステージのルート分岐で1周の短縮。
PS2アーカイブスでやり込んでもなお、これらを果たしたHDリマスターの発売を望みます。
↓一の位が0である点が、ワンコインクリアの証なり。
・グラディウスIII&IV
PS2では事実上の前作です。グラVと同じく重厚長大かつ高難易度である一方、グラIVはあらゆる意味でグラVと対極的な作風です。
グラディウスの続編です。ステージの偶数奇数で変化する演出や自機の火力、そして弾幕要素などの影響が随所に見られます。
・ダライアスバースト クロニクルセイバーズ
DBACの移植にして、ダライアスバーストの最終形態です。グラVから12年、シューティングの更なる進化を見せつけます。
検索等で来て頂いたついでに、ご意見ご感想などを残して頂けると嬉しいですが、事前に三か条を一読ください。
9月の段階で既に12月公開と決めており、レビューもグラVの濃さに負けない程の濃さにしようと意気込んでいました。
ところが、それが制作の際に相当なプレッシャーとなって、11月末になるまで全く手を付けられずにいたのです。
いざ手を付けても、自機の性能を細かく書くべきか、項目を1つ使って難点を書くか、等の迷いが制作の妨げとなりました。
つまり、取り掛かりやレビューのコンセプト決め、そして制作の遅れと、GGXrdの時と同じ過ちを繰り返す事となってしまったのです。
ただ、無理やり中旬に公開するのはGGXrdで懲りたため、グラVでは素直に大晦日まで延期させて頂きました。
それでもオプションコントロールや思い出話などを練り込む余裕はありませんでしたが、それ以外は納得いく仕上がりです。
中でもレーザーやオマージュ等を取り上げて「原点回帰」とまとめたレビューは、少なくとも他では見当たらないのですから。
2016/02/29 「PS4版沙羅曼蛇」へのリンクを追加
2016/01/13 「6/10」のうち、サークルコアの挙動について追記
2015/12/31 初公開