沙羅曼蛇
メーカー | コナミ工業 |
対応機種 | プレイステーション4ほか |
ジャンル | 縦横スクロールシューティング |
目次
最低限ここだけでも読んで頂きたい項目には「★」、出来れば合わせて読んで頂きたい項目には「☆」が付いています。
それらを読んでもなお飽き足らないのであれば、末尾が空欄の項目も是非読んで下さい。
沙羅曼蛇の概要を解説します。
沙羅曼蛇を一般層へ売り込むべく、グラディウスから変更されたシステムを解説します。
沙羅曼蛇で初登場し、以後グラディウスシリーズのお約束として定着する事となる要素を解説します。
沙羅曼蛇ならではのサクサク感や爽快感、そしてパターン学習の楽しさに秀でた作風を解説します。
PS4版の特徴や、それにまつわる出来事について解説します。
これまでの解説を踏まえ、沙羅曼蛇がどんなゲームで、どんな良さがあって、どんな方に向いているかを解説します。
PS4版と別にゲームアーカイブスで配信中の、PCE版について解説します。
文字通り、沙羅曼蛇に関する、個人的な思い出話です。
本ページと何かしらの関連性や共通点を持つコンテンツを3つ紹介します。あと掲示板もどうぞ。
本ページについての、あとがきです。
「沙羅曼蛇」は、コナミ工業がグラディウスの続編として1986年に発売した、縦横スクロールシューティングです。
タイトルが違うのにグラディウスの続編扱いである理由は、元々「グラディウスII」という仮題で企画が始まったため、とのことです。
後に改題された点からも分かる通り、ゲームシステムはグラディウスとは大きく異なっています。
具体的には、ゲージ式パワーアップの廃止、2人同時プレイ、そしてステージごとに変化するスクロール方向などが、そうです。
ただ、内容自体はグラディウスの続編に恥じない飛躍的な進歩を遂げており、当時のファンに大きな衝撃を与えました。
また、随時流れる英語音声、テトランを初めとする人気ボス、そして新しい武器など、シリーズに定着する要素がてんこ盛りです。
このように、沙羅曼蛇もまた、れっきとしたグラディウスとして後世に語り継がれていく事となるのです。
↓記念すべきリップルレーザーの初登場作品でもある。
グラディウスは、ゲージ式パワーアップや規格外の火力により、シューティングに戦略性や征服感などの魅力を植え付けました。
一方で、それを味わうには、ややハードルが高く、マニア向けの嫌いは否めませんでした。
そこで、沙羅曼蛇では、グラディウスが掲げたハードルを越えられなかった一般層に向けて、3種類の工夫が凝らされています。
第1の工夫は、ゲージ式パワーアップの廃止です。
シリーズものとしては不可思議かも知れませんが、一般層に売り込むための施策としては、英断と言ってよいです。
何故なら、ゲージ式パワーアップには、ルールの理解や、フルパワーになるまでの過程が苦痛、という問題点があるためです。
具体的には、まず、取ったカプセルの数で変わるパワーアップを、実に6通りも覚えなければなりません。
続いて、カプセルを必要な数だけ集めたら専用のボタンを押す、という煩雑な手順を経る必要があります。
なお、カプセルの過不足は1個たりとも許されません。1個でも余分に取ったり足りなかったりすると、違うパワーアップになります。
例えばミサイルが欲しい時は、きっちりと2個だけ取ってからボタンを押さねばなりません。
それが出来なければ、いつまで経っても満足にパワーアップが出来ないまま死あるのみ、です。
そんなゲージ式パワーアップのルールを理解したところで、ようやくスタートラインに立ったに過ぎません。
バリアも含めてフルパワーになるには実に30個以上ものカプセルが必要です。
つまり、グラディウスでは、短くとも2面の半ばまでの2〜3分間、フルパワーになる事は出来ませんでした。
その間も敵の激しい攻撃を掻い潜りつつカプセルを回収し、適切なパワーアップにまで気を配らねばなりません。
よしんばフルパワーになれたとしても、死んでしまえば、それまでの苦労が一瞬で水の泡です。
確かにゲージ式パワーアップには、アイテムの種類が分かりやすい、パワーアップの順番を好きに選べる、等の利点もあります。
しかし、その利点を享受できるのは慣れてからの話であり、慣れるまでが非常に辛い点もまた事実でした。
↓最初のザコ編隊を倒せず躓いた方も少なくないだろう。
そこで、沙羅曼蛇では、あえてゲージ式パワーアップを廃止し、アイテムを取った瞬間にパワーアップするよう変更したのです。
つまり、カプセルを過不足なく集めてボタンを押す手間が不要となり、ただ単にアイテムを取るだけでパワーアップできます。
これにより、フルパワーに必要なアイテム数が僅か7〜8個で済むほか、30秒もあれば、ほぼフルパワーになれるのです。
さらに、その恩恵を活かして、2人同時プレイの実現も果たしており、一般層への更なる歩み寄りに成功しています。
一方で、ゲージ式パワーアップと比べると、柔軟性に欠ける嫌いは否めません。
例えば、ミサイルが欲しいのに、なかなかミサイルが出てこなくて苦戦を強いられるケースも珍しくないのです。
また、システム上アイテムの種類が6通りに分かれた上に、うち4種類が似たような外見で、慣れないうちは見分け辛いです。
よって、確かに沙羅曼蛇でゲージ式パワーアップを廃止した事は、必ずしも正解とは言えないのかも知れません。
事実、マイナーチェンジ作「ライフフォース」を初めとする後続のグラディウスの大半で、ゲージ式パワーアップが復活しています。
それでも、グラディウスならではの規格外な火力を、より多くの方に味わって頂くためには、まさに英断と言う他ないのです。
続編でありながら、必要とあらばグラディウスの象徴的システムですら廃止する先鋭的な姿勢こそ、沙羅曼蛇の醍醐味なのです。
↓最初のザコ編隊6組を全滅させただけで、この装備だ。
第2の工夫は、2方向に撃てるミサイルの搭載です。
グラディウスでは、パワーアップにより、下記の3種類の武器を獲得できます。
(1)ミサイル:斜め下に発射し、地形を這う
(2)レーザー:真正面へ発射する強力な主力武器
(3)ダブル:連射性能が落ちるが正面と斜め上を攻撃可能
そのうち原則としてレーザーとダブルは併用できず、状況に合わせて使い分けていく必要があります。
そのため、レーザーを選べば上からの攻撃に押され、ダブルを選べば敵の物量に押される、というジレンマが付いて回ったのです。
そこで、沙羅曼蛇では、地形を這う特性はそのままに、何と下だけでなく上にもにミサイルを撃てるようになったのです。
それに加えて連射性能が上がり、かつ一部の敵の衝突判定を消す効果まで付く等、グラディウスから大幅な強化がなされています。
それだけでも超強力なのに、ミサイルとレーザーの併用まで出来るため、鬼に金棒です。
これにより、沙羅曼蛇では上・下・正面すべてを難なく制圧できるだけの、更なる火力を堪能できるのです。
また、ミサイルと役割が被ったダブルが廃止された事で、ほぼレーザー一択となり、分かり易さが増しました。
ジレンマ云々と、細かい事を気にせずガンガン突き進んでいく事を是とする豪快さもまた、沙羅曼蛇の性格なのです。
↓衝突判定が消える敵の代表例。
最後に、その場復活、及び、「残機購入システム(本レビュー独自の命名)」の採用です。
残機購入システムとは、文字通り現実の100円玉などのコインを消費して残機を購入できるシステムを指します。
なお、沙羅曼蛇ではスコアで残機が増える事はないため、残機を増やすには金を払うしかありません。
グラディウスでは、死ぬと全ての装備を剥ぎ取られた上で一定エリアまで戻される、という甚大なペナルティを科せられました。
この場合、復活パターンをマスターしない限り、そのままゲームオーバー一直線となるため、初心者には酷でした。
一応、グラディウスの北米版「ネメシス」では、この点がある程度は改善されています。
具体的には、戻された先でカプセルが多く手に入るほか、コンティニューシステムの導入で、金を払って続けてプレイ出来ます。
ただ、戻される事に変わりないため、結局のところ復活パターンが出来なければ意味がなく、まだまだ不十分でした。
そこで、沙羅曼蛇では、死んでも戻されずに復帰し、かつマルチプルを拾えるよう変更する事で、更なる改善を図ったのです。
マルチプルとは、自機の後を付いて自機と同じ攻撃をする丸い物体であり、グラディウスでいうオプションと同義です。
これにより、マルチプルを拾えさえすれば復活パターンを覚えずとも、ある程度の立て直しが見込めます。
ただ、マルチプルは高速で後ろへ流れていくため、実際には1個も拾えず完全に詰むケースもあります。
仮に全て拾えたとしても、初期のショットが非常に弱い上に無敵時間も短いため、全く安心できません。
そのため、結局は立て続けに死んでゲームオーバー一直線と、これだけではグラディウス以上に酷で、改悪としか思えないでしょう。
↓こんな風にマルチプルを一番後ろに置いて死ぬと絶望的。
ただし、 それはゲーマーにありがちなワンコインでのプレイに拘った場合の話であり、残機購入システムを使えば話は別です。
仮にマルチプルを回収できずボコボコにやられても、事前に多く残機を買っておけば、いずれ難所を抜けて立て直しが図れます。
幸い、ステージの冒頭を初め、割と多めにアイテムが出るため、難所さえ抜けられれば立て直しは比較的簡単です。
このように、立て直しに復活パターンが必須なグラディウスと異なり、沙羅曼蛇では金さえ積めば大きく余裕を持って臨めるのです。
こうしたゴリ押し的なプレイを良く思わない層もいるでしょうが、支持層や遊び方の幅を大きく広げた点は間違いありません。
また、買える残機には限りがあるため、ゴリ押しだけで誰もがクリアできる訳ではなく、結局は相応の実力がモノを言うのです。
↓ボスさえ倒せば立て直しの目途が立つはず。
以上より、ややマニア向けの嫌いがあったグラディウスと比べて、いかに沙羅曼蛇が一般層を大きく意識しているかが伺えます。
まず、ゲージ式パワーアップの廃止やミサイルの強化により、分かり易さや爽快感が大きく増しました。
続いて、その場復活や残機購入システムにより、ゲームが上手くなくても先を見られる余地が生まれました。
一方で、ワンコインに拘ると、復活パターンという逃げ道すらなく、1度のミスも許されない緊張感あふれるゲームへと一変します。
かくして、出費を抑えるゲーマーには厳しく、出費を惜しまない一般層には優しく、という二面性が沙羅曼蛇に生まれたのです。
その二面性はコンティニューシステムの更なる洗練、ひいては今日の課金ゲームにまで連綿と連なっていく事となるのです。
↓残機を買っても減点の類が全くないのは、さすがに不公平か。
このように、沙羅曼蛇はグラディウスの続編でありながら、歴代シリーズの中でも一際異彩を放つゲームです。
ただ、演出的にも内容的にも、沙羅曼蛇で初登場し、以後「お約束」として定着していく事となる要素は数知れません。
例えば、シリーズの合言葉「Destroy them all !」を筆頭に、喋る演出を取り入れた初のグラディウスは、沙羅曼蛇です。
また、後に定番武器として愛用される事となる2方向に撃てるミサイルやリップルレーザー(リップル)も、沙羅曼蛇が初出です。
中でも個人的に特筆すべきお約束は3種類あります。
第1のお約束は、印象的なステージ群です。
1面の今にも蠢きそうなピンク色の地形や神経系、そして復活する壁は、後のグラディウスにおける細胞面のイメージそのものです。
3面のプロミネンス、火の鳥や赤龍といった敵は、後の人口太陽や溶岩、そしてマグマ等の炎系ステージの礎となるのです。
そして、最終面にはビッグコアやモアイが立ちはだかる場面、そしてクライマックスの脱出シーン等の重要ポイントがてんこ盛りです。
過去作のボスであるビッグコアが再登場、というアイデアは、グラII以降に欠かせないボスラッシュへと昇華する事となります。
沙羅曼蛇のモアイは跳ねながらイオンリングを吐き出す新技を披露しており、後に多種多様なモアイが登場する契機となるのです。
脱出シーンは、超高速スクロールのなか複雑な道筋を作るシャッターを潜り抜けていく、緊張感あふれる内容です。
これが、グラII以降の高速ステージとして大幅なグレードアップを果たしていく事となった点は、周知の通りです。
このように、沙羅曼蛇はグラディウスとしてはアナーキーな存在でありながら、初代と並ぶ事実上の原点でもあるのです。
↓グアッと飛び出すプロミネンスは「格好良い」の一言。
第2のお約束は、これまた印象的なボス群です。
初代グラディウスでは、全7ステージ中5ステージのボスが、同じビッグコアであったため、良くも悪くも単調さが目立ちました。
そこで、沙羅曼蛇では、6ステージ全てに、それぞれ全く異なる印象的なボスが配置されたのです。
目と両腕が付いた脳みそ「ゴーレム」、画面中をうねる赤龍「イントルーダ」、そしてゼロスフォースは、生物系ボスの幅を広げました。
ビッグコアの流れを汲む機械系ボスもまた、テトランや空母デス、そして要塞ヴァリス(ヴァリス)と、個性派ぞろいです。
当然、それぞれが個性的な攻撃を仕掛けるため、ゲームのメリハリや奥深さが大幅に強化されたのです。
沙羅曼蛇のボスの大半は、グラII以降のボスラッシュの常連となり、プレイヤーを沸かせる事となるのです。
中でも注目すべきは、4面ボスのヴァリスです。
奴はスクリーンセーバーよろしく青玉を無限に発射・反射し続けて地獄絵図を作り、世のプレイヤーにトラウマを植え付けました。
当然、そんな攻撃は、まともに避けられません。青玉を反射されるだけでも避け辛い上に、それが無限に湧いて出るのですから。
そこで出番となるのが、安全地帯です。ヴァリスの青玉が全く当たらない、文字通り安全な地帯が存在するのです。
そこへ上手く自機を置くことが出来れば、一転してヴァリスは只のザコと化すのです。
このように、ヴァリスは回避不能な猛攻と、それを無力化する安全地帯を併せ持つ、要塞型ボスです。
グラII以降、最終面にはヴァリスの後継となる中間要塞がほぼ毎回立ちはだかり、プレイヤーの知恵を試す事となるのです。
↓安全地帯は主に2通りあるが、どちらに置くのも大変。
余談ですが、バグが原因かヴァリスには、下記2種類の条件を両方満たすと、青玉を全く発射しなくなる性質があります。
(1)電源投入後、1度でもヴァリスを撃破済み
(2)地面の真ん中の上のハッチを破壊
4面と6面では、ミサイルは左右だけでなく地面にも発射されます。これで、地面のハッチを破壊できるのです。
ただ、地形を這っても地面を這う事はない上に、照準も一切出てこないので、狙って当てるのは難しいです。
条件に関わるハッチに限って言えば、真ん中の下のハッチに重なってからミサイルを撃つのがコツです。
また、2周目以降は自動的に(1)を満たした事となるので、青玉に怯えるのは最初だけで良いのです。
もしくは、ゲームセンターにおいては、誰かがヴァリスを倒したのを見てからプレイを始める手もあります。
このように、切り込み隊長の活躍により、後に続くパイロットの進撃に弾みが付く、という熱い構図が出来上がったのです。
プレイヤーの戦果が店舗内で共有される様は、まさにDBACのクロニクルモードの源流ではないでしょうか。
↓青玉の代わりに、ハッチから延々と雑魚が特攻してくる点には注意。
最後に、前述した安全地帯です。
沙羅曼蛇における安全地帯はヴァリスだけではありません。一時的なものも含め、他にもいくつかの安全地帯が存在します。
場所にもよりますが、安全地帯を知っていなければ難しいが、知っていれば楽勝、という性質があります。
このように、見方によっては大味とも取れる安全地帯ですが、商売的な観点では欠かす事の出来ない要素である、と考えられます。
まず、安全地帯を知らないプレイヤーを一斉にゲームオーバーに追い込めるので、回転率が大きく上がります。
続いて、どうしても先を見たければ残機を買ってね、と何気なく促す事で、短時間での更なる収入アップが見込めます。
あるいは、何度も頑張るか雑誌買うかして安全地帯を見つけてね、とゲーマーを突き放せば、やはり収入増は間違いなしです。
その狙い通りに大儲けしたか、はたまた前述の性質がゲーマーの探究心に火をつけたか、グラIIでは安全地帯が急増しました。
安全地帯の中には、意図せず出来てしまったものも少なくない、とのことですが、いずれにしろ好評を博しました。
以後、初心者から上級者、果ては経営者サイドまでも満足させるための手段として、安全地帯は重宝される事となるのです。
↓スコア、地形の模様。安全地帯には、何かしらの目印がある。
以上より、沙羅曼蛇はグラディウスの魅力である、多彩なステージ構成に更なる磨きをかけています。
より独創的なステージにボス、そして安全地帯は後のシリーズ、ひいてはシューティングに大きな影響を与える事となるのです。
↓このような弾幕が、ケイブのIKD氏を弾幕系へと駆り立てた。
これまで、沙羅曼蛇が一般向けに凝らした工夫や、グラディウスとしての進化ポイントを解説してきました。
本項では、沙羅曼蛇というゲームそのものの面白さを、3つの観点から解説します。
第1の面白さは、テンポの良さです。
1周にかかる時間こそ、初代グラディウスと大差ない約15分ですが、体感的には初代グラディウスをも上回るテンポです。
理由は速いスクロール、縦横交互に変わるスクロール方向、より進化した面構成、そして、その場復活の4点です。
全編通して、グラディウスの倍以上に速いスクロールで、初代グラディウス以上に多彩なギミックが次々と襲いかかるのです。
また、ステージクリアの度に自機が方向転換する点も、ダラダラした感じを無くしてメリハリを付けています。
さらに、その場復活なので死んでも進行が止まる事なく、最悪そのまま瞬殺されます。戻り復活の間延び感とは無縁です。
このように、沙羅曼蛇は初代グラディウスが持つスピーディーさに、更なる磨きを掛けているのです。
↓Go up ! 必殺パンチのようなエコーがたまらない。
第2の面白さは、爽快感の高さです。
前述した通り、沙羅曼蛇の自機はレーザーと2方向に撃てるミサイルを両立できるため、歴代シリーズでもトップクラスの火力です。
そのレーザーも、初代グラディウスと比べて、至近距離での連射性能が改善され、苦手とする敵もいなくなりました。
速度こそ若干落ちた代わりに、総合的には、より安定した性能へと強化されたと言えます。
そのような火力ゆえに、パターン化さえ出来れば、どんな敵であろうと一瞬で塵にする爽快感もまた、大きく強化されたのです。
↓連打しても細切れにならない点も、地味ながら便利。
最後に、パターン性の強さです。
沙羅曼蛇は一般層向けに工夫を凝らしているとはいえ、慣れないうちは、とても難しいゲームに思えるかも知れません。
のっけから目まぐるしく展開するギミック、無数の隕石、いきなり飛び出すプロミネンス等々。
これらを初見のアドリブで切り抜けるのは、ほぼ無理です。おまけに、ワンコインに拘るなら1度死ねば、ほぼ終わりです。
しかし、一旦からくりを頭に叩き込み、動き方をパターン化してしまえば、一転して簡単になるのです。
例えば、隕石はミサイルを当てれば只の石と化すし、プロミネンスも当たらない場所にいれば燃えるドーナツに過ぎません。
他にも、安全地帯の在り処など、攻略法を覚えれば覚えるほど楽になります。
このように、沙羅曼蛇はパターン性が強く、シューティングの上手い下手に関係なく、努力を裏切らないゲームなのです。
一方、パターンをなぞるだけ、とも取れそうですが、失敗すれば詰む緊張感、2周目以降の超高難度は、その偏見を無にします。
↓初見殺しのザブIIも、パターン化で楽々クリアー。
以上より、沙羅曼蛇はサクサク感や爽快感、そしてパターン学習の楽しさに大きく秀でた作風となっています。
また、見た目や音などの演出、ステージ構成の進化により、初代グラディウスにあった古めかしさや単調さも多少緩和されています。
一方で、パターン性の強さは初見殺しの多さを意味している他、ミス後のペナルティがより深刻となってしまった一面もあります。
よって、残機購入システムを拒んでワンコインに拘るゲーマーには、初代グラディウス以上に過酷なゲームと取られる事もあります。
しかし、そんな過酷さが1度のミスで終わる緊張感や潔さに直結し、沙羅曼蛇ならではの魅力を高めた点もまた事実なのです。
↓ラストまでノーミスなら、もうエンディングを迎えたも同然。
このように、沙羅曼蛇は初代グラディウスと並び、グラディウスシリーズはおろか近代シューティングの礎となったタイトルです。
にも関わらず、ここ20年ほどは、据え置き機でのアーケード版準拠の移植には恵まれていませんでした。
沙羅曼蛇のアーケード版を初めて家庭用で忠実に移植したのは、1997年のPS版とセガサターン(SS)版とされています。
いずれも細かい違いはあれど、当時としては極めてアーケード版に近い移植として、ファンの間で語り継がれています。
しかし、2016年現在、PS・SS版ともに中古でも5000円ほど掛かる上に入手困難であるため、とても気軽には買えません。
一応、PSP版はダウンロード販売もされているため、そちらならVitaTVで遊ぶことは出来る、とのことです。
ただ、残念ながらジョイスティックは公式には非対応のため、据え置き機に拘るファンの期待には応えられませんでした。
このように、PS・SS版から実に20年近くもの間、それらに代わる据え置き機でのアーケード版準拠の移植が求められたのです。
↓上上下下…後は分かるな?
そんな状況に変化が見られたのは、PSP版から8年が経った2015年の話です。
同年、初代グラディウスがPS4のアーケードアーカイブスで配信されて以来、沙羅曼蛇の配信を望む声が日に日に増していきました。
ただ、同時期に物議を醸すほど激変したコナミの経営方針を受け、ファンの間では諦めムードが漂っていました。
それでも11月のプレキャスにて沙羅曼蛇(とツインビー)の配信が電撃発表され、27日に晴れて配信されるに至ったのです。
ちなみに、発表の際には、コナミ宛てに謝辞のパネルまで作られていた点からも、いかに配信に一悶着あったかが伺えます。
そんな紆余曲折を経た待望の配信故に、初登場で売上2位を記録する等、初代グラディウス以上に好調なセールスとなりました。
それを受けて、沙羅曼蛇から何と2か月足らず、という超スピードで、2つのコナミ作品の新たな配信が発表されました。
それらは、フラックアタックとグラIIです。この発表に、場内が大きく沸いた事は、言うまでもありません。
このように、沙羅曼蛇の配信難航が嘘のように、コナミはアケアカでの配信に大きな意欲を見せる事となるのです。
↓サウンドの調整次第で、耳に馴染んだ音響の再現も?
前置きが長くなりました。PS4版はアケアカなので、当然ながらPS・SS版はおろかPSP版をも上回るとされる出来です。
御馴染みの中断セーブにオンライン上のランキング、そしてスキャンライン機能も完備です。
スターフォース以降のアケアカ作品に実装されている、ハイスコアモードとキャラバンモードは、もちろん沙羅曼蛇にもあります。
これらは、一部を除き初期設定かつ連射ボタン使用不可でスコアを競うモードで、うちキャラバンは5分間の時間制限つきです。
特に、キャラバンは処理落ちを抑えるべく、いかに攻撃を最小限に抑えるかがミソであり、普段と違った楽しさがあります。
恒例のバージョン違いも健在です。何と、ライフフォースを日本版、北米版ともに同時収録して、お値段据え置きなのです。
さすがに激レアな賞品版は未収録ですが、北米版は実に29年越しの初移植なので、資料的価値は申し分ありません。
沙羅曼蛇と北米版との違いはWikipediaに書いてある事の他にも、ボイスの追加やスタッフロールの削除などがあります。
マルチプルとレーザーを除き、アイテムのボイスも新録されていますが、沙羅曼蛇よりも声が高いため若干の違和感があります。
なお、追加・新録されたボイスの大半は日本版ライフフォースに流用されましたが、ゼロスフォースの断末魔は沙羅曼蛇のままです。
ゲーム内容自体は沙羅曼蛇と全く同じですが、背景とボイスの違いにより、一味違った感覚で楽しめる事でしょう。
↓北米版だけのストーリー解説デモ。
また、PS4版沙羅曼蛇ならではの機能として、「こだわり設定」があります。
これは、アーケード版に存在したバグやスプライト欠けを再現するか否かの設定が出来る機能です。
そんなこだわり設定のうち、ゲームの進行に影響する設定は3種類あります。
第1の設定は、「画面表示限界の特性の再現」です。
普通にノーミスでイントルーダと戦うと、ほぼ必ずスコアや自機などのスプライト欠けが起き、視認性が著しく落ちてしまいます。
そのため、イントルーダ戦では、スプライト欠けを抑えるべく場所取りを考えたり、攻撃を最小限に抑えたりする必要がありました。
そこで、この項目をOFFにすればスプライト欠けがなくなるので、より自由な戦闘が可能となるのです。
↓スプライト欠けで自機が消えた瞬間。幸い、他に問題となる場面はない。
第2の設定は、「フォースフィールドの性能の再現」です。
フォースフィールドとは、いわゆるバリアです。バリアなので敵弾や、ザコ敵の特攻から身を守るのが主な役目です。
ところが、Wikipediaの通り、実際に敵弾を防ぐのは1周回中に初めて取った物のみ、という致命的なバグが存在します。
ゲーム内では「偶数回目に〜」との解説がありますが、それは間違いであり、Wikipediaの解説が正解なので、ご注意を。
つまり、仮に1面でフォースフィールドを取ってしまうと、4面や6面のフォースフィールドが敵弾を防がなくなってしまう訳です。
なお、フォースフィールドを取ると敵の攻撃が激しくなりますが、それは敵弾を防がない方でも例外ではありません。
よって、下手に取ってしまうと余計難しくなるため、時に取らずに無視する方が楽、という体たらくでした。
このようなバグにより、沙羅曼蛇は実質バリアの類が存在しないゲーム、というイメージが良くも悪くも定着してしまったのです。
そこで、この項目をOFFにすれば、2回目以降に取ったフォースフィールドでも敵弾を防いでくれるようになるのです。
といっても、アイテムや破壊不能の敵に削られるのは相変わらずなので、結局すぐ消えてしまうのですが。
↓使えないイメージが強いが、ミス直後は盾らしく心強い。
最後に、「4面 要塞の攻撃の再現」です。
「3/10 初登場の「お約束」」で紹介した通り、ヴァリスは特定の条件を満たさない限り、正攻法では手が付けられませんでした。
その条件には、一度でもヴァリスを倒している事が含まれるため、初回プレイでは青玉の脅威は避けられなかったのです。
そこで、この項目をOFFにすれば、初回プレイでもヴァリスを倒した、という条件を満たした事になります。
つまり、地面の真ん中の上のハッチを壊しさえすれば、初回プレイでも青玉を撃たなくなるため、楽々倒せる通過点と化すのです。
↓ただ、青玉が出るつもりでいると、泣きを見る羽目に。
このように、PS4版沙羅曼蛇は、原作の忠実な復刻と、原作にあった不備の補完を両立した決定版です。
操作遅延も初めからなく、画面サイズも目いっぱい拡大できる等、初代グラディウスから改善された箇所も多くあります。
さらに、初移植の北米版、別ゲーム扱いの日本版ライフフォースを同時収録して、お値段なんと823円です。
一方、ゲーセンみたく連射と手動には分けられないボタンコンフィグ、非搭載のステージセレクト等は未改善です。
また、2面と5面の点滅表現がマイルド化された点が、取り沙汰される事もあります。
さらに、残機購入システムの利用には、下記2種類の通りに設定を変更する必要がある点も不親切です。
(1)コインスロットの数を「2」に設定
(2)残機として使用できるクレジット数を「3」以上に設定(上限は9)
それでも、PS4版は移植の出来栄え、+αの充実度、そしてコスパにおいて、実に理想的なバランスが取れた沙羅曼蛇なのです。
↓マイルド化された点滅表現により、演出と目への優しさを両立。
沙羅曼蛇は、3つの点においてグラディウスの続編という枠に囚われない、先鋭的なタイトルです。
第1に、グラディウスに馴染めなかった一般層へのアプローチです。
具体的には、ゲージ式パワーアップの廃止でフルパワーまでを易しくし、残機購入システムの導入でゴリ押しの余地を与えました。
第2に、印象的なステージ構成です。
細胞や炎、そして要塞といった独創的なステージやギミックは、グラディウス、ひいてはシューティングの世界観を大きく広げました。
最後に、これまた印象的なボスです。
各ステージを象徴するボスは、更なる奥深さをもたらし、グラIIから定番となるボスラッシュの礎となりました。
また、一つのゲームとして見ても、沙羅曼蛇はサクサク感や爽快感、そしてパターン学習の楽しさに大きく秀でたゲームです。
一方で、残機購入システムに頼らない場合、一度のミスで総崩れとなりがちの厳しさ、プレッシャーに襲われる一面もあります。
それでも、その一面すらも緊張感や潔さといった、沙羅曼蛇ならではの魅力へと昇華されている点もまた事実です。
PS4版は823円でありながら、こだわり設定や2つのライフフォースを同時収録した、一つの決定版といえる出来です。
以上より、沙羅曼蛇は古風なシューティングをしたい、サクサク濃密なゲームをしたい、という方にオススメです。
↓このようにかせぐのだ。※ただし1周目に限る
沙羅曼蛇は1991年にPCEにも移植されています。2010年からゲームアーカイブスとして配信されているのはPCE版です。
↓タイトルロゴの炎がアニメーションする数少ない移植の一つ。
PS4版とは無関係ですが、PS3を初めとするPS系のハードで遊べる、もう一つの沙羅曼蛇、ということで解説いたします。
既にあちこちで語られているように、PCE版はアーケード版とは似て非なるどころか、ほとんど別物のゲームと化しています。
中でも、沙羅曼蛇としては痛い違いに、レーザーやミサイルの弱体化や戻り復活、そして一部のステージの長大化があります。
これにより、確かに沙羅曼蛇ならではのサクサク感や爽快感が、大きく損なわれてしまっている点は否めません。
だからといって、PCE版は何の価値もないクソゲー、と断定するのは、いささか早計です。
一旦買えばタダで好きなだけ遊べる家庭用ゲームの性質を考えると、ある意味では戻り復活は英断とも取れます。
戻り復活といってもアイテムが多く出るので立て直しは比較的容易で、かつスコアで残機がモリモリ増えるようになっています。
そのため、安易なゴリ押しが出来ない代わりに、ミスしてもペナルティが小さく、繰り返し挑戦しやすい作りとなっているのです。
また、弱体化も後述の通り、一概に悪い点ばかりでもなく、また違った面白さに作用している事もあるのです。
↓当然、ミサイルで衝突判定を消す事も不可能に。
それとは別に、アーケード版とほとんど別物と化したが故に、結果的に3種類の改善がなされている点も見逃せません。
第1の改善は、ゲームバランスです。
いくらパターン学習に重きを置き、ミスのペナルティが大きいと言えど、アーケード版は若干大味な嫌いがありました。
具体的には、3面道中やヴァリスを筆頭に、攻略法を知らないと理不尽に殺されるし、知ったら知ったで退屈となりがちでした。
そこで、まず3面道中はミサイルの弱体化と合わせて退屈さを感じさせない、多彩かつ厄介なギミックが満載の構成となったのです。
また、ヴァリスは安全地帯を事実上撤廃する代わりに、正攻法で問題なく戦えるよう攻撃パターンを変更されたのです。
他にも似たような変更点が数多くあり、そこからPCE版のゲームバランスの方向性が伺えます。
それは、アーケード版で理不尽な箇所を易しく、逆に退屈な箇所を厳しく練り直す、という方向性です。
その練り具合も絶妙です。易しくなっても退屈さは感じられず、厳しくなっても決して理不尽ではなく、適度に緊張感があります。
確かにアーケード版とは、ほぼ別物のPCE版ですが、パターン学習の楽しさは決してアーケード版に引けを取る事はないのです。
↓正攻法で戦えるが、当然それなりの地力が必要。
第2の改善は、アイテム関連です。
アーケード版は出るアイテムの種類が偏りがちで、それほど練られてはいませんでした。
特に、ただでさえリップルやフォースフィールドは弱い上に出現数も少ないため、極めて地味な存在でした。
PCE版では、その点が改善されています。
リップルの出現数の増加とレーザーの弱体化により、相対的にリップルにも主力武器としての活躍が見込めるようになったのです。
もちろんアーケード版通りレーザーで行くも良し、気分に合わせて付け替えるも良しと、遊びの幅が広がりました。
また、アーケード版と比べると、フォースフィールドもまた十分に頼れるアイテムとなりました。
何故なら、前方にしか付かない代わりに、出現数が増えた上にアイテムで削られなくなり、取ると全回復するためです。
スピードが2速ないと遅くて困る点は厳しいですが、代わりにマルチプルの挙動が素直となったため、操作性も上がっています。
このように、アイテム関連の改善もまた、PCE版のゲームバランス向上に貢献しているのです。
↓レーザーでも、連射しないと使い物にならない。
最後に、見た目や音といった演出です。
確かに全体的に見れば、PCE版はアーケード版と比べて演出のクオリティが多少落ちていると言わざるを得ません。
それでも、部分的には、むしろアーケード版よりも洗練されている点もまた事実です。
アーケード版の演出は、全体的に高クオリティである一方、まれに違和感のある描写も見受けられました。
具体的には、拡大するほどドットの粗が目立った1面の肉塊、絶えず不自然にガクガクと震えるイントルーダ等が、そうです。
PCE版では、これらの描写が違和感なく修正されています。イントルーダ戦のスプライト欠けも起こりません。
さらに、タイトルやデモ、そして6面後半には、音楽面でPCE版ならではのパンチが効いており、アーケード版と違った良さがあります。
このように、ハードの性能差をアイデアで補わんとする演出は、アーケードの完全移植が夢物語だった頃の妙と言えましょう。
↓肉塊は、拡大のパターンごとに異なる絵を用意する凝りよう。
このように、アーケード版と比べて、PCE版はゲームバランスやアイテム関連の改善、そして一部演出の洗練がされています。
また、アーケード版で強いられる緊張に辟易していた方にとって、PCE版の戻り復活は、むしろプラスとなる事でしょう。
これで、もう少しサクサク感や爽快感が保たれていれば、アーケード版と肩を並べる出来になっていたかも知れません。
ただ、残念ながらサクサク感や爽快感の乏しさが響き、PCE版だけでは面白さを感じ辛い、と言わざるを得ないのが現実です。
そのため、PCE版を沙羅曼蛇の別バージョンと解釈して、アーケード版とやり比べて違いを嗜むが吉ではないでしょうか。
↓最終面は最終面らしく、アーケード版より遥かに難しい。
初代グラディウスやグラIIに次いで、沙羅曼蛇の据え置き機での再復刻も希望し続けて、およそ10年の月日が流れました。
VitaTVの発売を聞き付けた僕は、遂に沙羅曼蛇をジョイスティックで遊べる日が来るのか、とワクワクしていました。
…が、よく調べてみると、PS3用だろうとVitaTVではジョイスティックを使えない、という非情な現実を突きつけられたのです。
どこのメーカーからもVitaTV対応のジョイスティックが出なかったため、ワクワクは落胆へと変わってしまったのでした。
その心の傷を埋めるべく、上記のPCE版を買ったものの、むしろ傷口をさらに広げただけでした。
仕方ないとはいえ、同じPCEソフトのグラIIと比べてインパクトがないし、ボスが硬くてテンポ悪いし、爽快感ないし、難しいし…。
何とか1周はしましたが、当時アーケード版を未経験だった僕には、PCE版はただの古臭い凡作にしか映らなかったのです。
余談ですが、「沙羅曼蛇はグラディウスシリーズ」等と力説されても、長いことピンとは来ていませんでした。
名前からして違うし、システムも違うし、そもそもグラディウスシリーズって何ぞや?と謎が謎を呼ぶばかりでした。
まず、初代グラディウスの続編は?と問うと、沙羅曼蛇だったりグラ2だったりグラIIだったり、解釈次第で違う答えが出そうです。
続いて、本編のグラディウスは?との問いをすると、下記3通りの意見に割れそうで仕方ありません。
(1)沙羅曼蛇なども含むアーケード発
(2)あくまで「グラディウス」のナンバリングタイトル
(3)ローマ数字の(2)
ただ、いずれの意見においても、反論の余地が残ってしまっていると思います。
(1)ではグラVを省かざるを得ないし、逆にソーラーアサルトも入れるべきか、入れざるべきか。
(2)ではグラIIより先に出たグラ2や、それを初めとするMSX三部作をどう扱えば良いのでしょうか。
(3)では同名タイトルの移植版、例えばグラIIのFC版やGB版、グラIIIのSFC版などは別物扱いされがちですが、その扱いや如何に。
結局、誰もが納得のいく答えを出せないまま、不毛な言い争いになってしまう光景が、容易に想像つきます。
大体、沙羅曼蛇がグラディウスで、サンダークロスはグラディウスでない点や、復刻モノで別々にされる点の釈明もないですねぇ。
さらにはグラディウスのご先祖様のような存在の「スクランブル」の事まで考えると、もう何が何だか、といった感じです。
スクランブルといえば、その続編として「スーパーコブラ」が出たのに、初代グラディウスの仮題は「スクランブル2」でしたね。
その割には、沙羅曼蛇と違って「グラディウスはスクランブルシリーズ」とは、まず言われないのも疑問です。
こんな体たらくなので、コナミマガジンだけを根拠に「沙羅曼蛇はグラディウスシリーズ」等と言われても、説得力など感じませんよ。
↓ライフフォースとLIFE FORCEも別物ですしね。
閑話休題。VitaTVやPCE版の落胆から1年ほどが経った2015年、ようやく沙羅曼蛇の再復刻に希望が見えてきたのです。
初代グラディウスが1月、グラVが4月に配信されたため、7月に沙羅曼蛇が出るだろう、と。
ところが、7月には出なかったので、相当ヤキモキさせられたものです。
同時期にはプレキャスで、「めくれなかった」配信予定タイトルが3つほどありましたが、その中に沙羅曼蛇も入っていただろう、と。
コナミ騒動の余波が、こんな所にまで及んでいるのか、と。ハムスターの社長も意味深なコメントを残していたそうですしね。
版元から突如ストップをかけられ再交渉中だの、沙羅曼蛇は出したいと思っているだの。
そんな状況で、僕も諦めかけていただけに、11月4日のプレキャスを観た時は、思わず唸ったものです。
なにせ、10年ごしの願い事が、ようやく叶ったのですから。
↓こだわり設定と、点滅表現の変更が告知されていた。
そうして起動すると、PCE版とはまるで違う世界に、脱帽したものです。
きめ細やかなグラフィック、長く爽快なレーザー、そして驚異的なテンポの良さ…。これが本物の沙羅曼蛇なのか、と。
ゲームの進行については、例に漏れずヴァリスで1か月近く足止めを食っていました。
安全地帯は予習済みでしたが、いざ合わせるとなると、全く上手くいかなかったのです。
目印の模様を間違えたり、ズレまくったり、移動が早すぎてザコと心中したりと、ここで何度ビックバイパーを燃えカスにした事やら。
あまりにも上手くいかなかったので、ミス後の無敵時間で無理にでも倒しに行くしかなく、それで残機を減らしつつ倒していました。
その後も何度となく動画を見返して正しい目印を覚え、かつ事前にレーザーでの座標確認で、格段に成功率を高めるに至りました。
あとは5面のベルベルム編隊、6面後半で骨が折れたぐらいで、さほど苦労せず1周クリアを達成しました。
6面といえば、ゼロスフォースをミサイルなし、かつ死なずに倒せるんですかね?
↓ピンクに気を取られ過ぎて、このモアイに激突したものだ。
その勢いで2周クリアも果たしています。1面、5面、6面で手こずりましたが、ヴァリスが通過点なので、それほど苦労しませんでした。
ところで、僕は残機購入システムを、じゃんじゃん使っていました。
怒る人もいるでしょうが、そうでないと途中で死んだ時に苦手な場面まで辿りつけず、余計上達が遅れるだけですからね。
おかげで沙羅曼蛇はゲー募でも実に好調でした。短時間で、じゃんじゃんカウントが加算される訳ですからね。
もしアーケード版の時点で残機購入システムが広く受け入れられていたら、今とはシューティング界は全く違っていたでしょうね。
そんなこんなで、PS4版で本物の沙羅曼蛇を堪能できた訳ですが、同時に大味な部分がある点も気になっていました。
その大味さを何とかしようと努力した結果がPCE版であったと、PS4版のお蔭で気付く事が出来たのです。
そして、以前と打って変わって、PCE版も楽しくプレイできるようになったのです。
様々な角度から物事を見る事が大事だと、よく言われます。沙羅曼蛇は、僕にその教訓を改めて教えてくれたのです。
↓さすがに、残機購入システムで出したスコアは登録していませんよ?
沙羅曼蛇のバージョン違いです。ゲージ式パワーアップの再導入を初め、よりゲーマー向けの作りに方向転換しています。
一応、グラディウスの正統なパート2です。それまでのグラディウスシリーズの集大成とでも言うべきクオリティを誇ります。
・ダライアスバースト アナザークロニクル
21世紀のダライアスです。残機購入システムや店舗間で戦績を共有するクロニクルモードは、沙羅曼蛇を思い起こさせます。
検索等で来て頂いたついでに、ご意見ご感想などを残して頂けると嬉しいですが、事前に三か条を一読ください。
DBCSが出ると分かった時から、曲がりなりにも、それに合わせてSTG御三家と関わりのあるコンテンツを作ってきました。
具体的には、8月の初代グラディウス、9月と11月のGダラ攻略、10月のスクランブルなどが、そうです。
そして、12月のグラVで流れを最高潮へと持っていき、アンコールとばかりに今年1月のR-Type Dimensionsで締めくくる予定でした。
ところが、11月に沙羅曼蛇が電撃発表されたため、急きょDBCSの発売に合わせて2月に沙羅曼蛇を公開する事となりました。
グラVの時の反省を活かして1か月以上の期間を取りましたが、実質3か月しかプレイする期間がなかったので、ヒヤヒヤしました。
作業自体は順調に進んだと思いますが、グラVの公開のズレもあり、さすがに中旬の公開は無理でした。
沙羅曼蛇は一般層向け、との主張を軸としたレビューは、他ではあまり見られないかと思われます。
ヴァリスの呼称は、今のヴァリスか、それとも「4面ボス」か、どちらで統一すべきか迷いました。
ただ、イントルーダを「3面ボス」と紹介するスペースがなかったので、それに合わせてヴァリスで統一する運びとなりました。
あと、3/10の最後の画像に関しても、そこに至るまでに並々ならぬ苦労がありました。
あのショットはテイク2ぐらいで撮れたものの、もっと弾幕がブワッと飛び交う感じのショットを撮れるはずだ、と思っていました。
ある時はリップルで一番後ろから攻撃したり、またある時は少しずつ前に避けたりと、十数回はリテイクを重ねましたかね。
ただ、何度やってもピンと来るショットを撮れず、行き詰まってしまう事となります。
そこで、初心に帰って最初の方のショットを見返すと、テイク2が一番ピンと来たため、めでたく採用となったのです。
画像といえば、6/10の画像は、当初は初代グラディウスのレビューに倣い、北米版のタイトル画面でした。
ただ、せっかくタイトルより絵になる画像を撮ったのに、お蔵入りにするのも勿体なかったので、差し替えました。
当初、7/10は未使用曲について書くつもりでしたが、それは既に語られているので、PCE版のレビューへと転換しました。
アーケード版との違いをまとめたサイトは数あれど、PCE版そのもののゲームとしての質に触れたサイトはなかったはずです。
また、VGFの性質上、単独でPCE版を扱うのは難しかった事もあり、本レビューで便宜的に扱わせて頂きました。
2016/06/17 「PS4版グラディウスII GOFERの野望」へのリンクを追加
2016/05/18 「PS4版ライフフォース」へのリンクを追加
2016/02/29 初公開