パワースマッシュ3
メーカー | セガ |
対応機種 | プレイステーション3ほか |
ジャンル | スポーツ |
目次
最低限ここだけでも読んで頂きたい項目には「★」、出来れば合わせて読んで頂きたい項目には「☆」が付いています。
それらを読んでもなお飽き足らないのであれば、末尾が空欄の項目も是非読んで下さい。
1.「リアル」と「簡単」を両立させるNO.1テニスゲーム!!
パワスマ3の概要について解説します。
現実のテニスと比べ、いかにパワスマ3が簡単にテニス出来るかを解説します。
パワスマ3を、より深く楽しくプレイするために覚えておくべき点を解説します。
パワスマ3にて、現実よりもゲームとして手軽にプレイできるよう工夫された点を解説します。
アーケードからPS3への移植にあたり進化した点を解説します。
360版とPS3版との主な違いを解説します。
これまでの解説を踏まえ、パワスマ3がどんなゲームで、どんな良さがあって、どんな方に向いているかを解説します。
文字通り、パワスマ3に関する、個人的な思い出話です。
本ページと何かしらの関連性や共通点を持つコンテンツを3つ紹介します。あと掲示板もどうぞ。
本ページについての、あとがきです。
1/10 「リアル」と「簡単」を両立させるNO.1テニスゲーム!!
「パワースマッシュ3(以下「パワスマ3」)」は、セガが2006年にアーケード向けに発売したテニスゲームのシリーズ第3弾です。
パワスマならではの分かりやすさと爽快感はそのままに、当時まだ珍しかったICカードによるやり込み要素が加わりました。
さらに、当時としてはずば抜けたグラフィックや、それを映す新型の液晶筐体が新たなファンを引き付けました。
こうして、2015年現在に至ってもなお、ゲーセンの定番テニスゲームとして人気を博すに至ったのです。
翌年に発売されたPS3版には、アーケード版の忠実な移植に加え、世界一のテニスプレイヤーを目指すモードなども加わりました。
↓未だに現役の選手も少なくない。
テニスの試合を観ていると、選手たちはいとも簡単にボールを打っているように見えますが、実際はかなり難しいものです。
それは最も基本的なショットであるストロークであっても例外ではなく、6段階もの手順や心がけが必要です。
第1に、相手が打ったボールの角度やスピードから、最も打ち返しやすい場所を瞬時に判断し、そこへ移動する必要があります。
第2に、ボールを打つ瞬間までボールを良く見ながらラケットを大きく振りかぶり、腕の力を抜いて下から上へスイングします。
第3に、スイングの直前に利き手でない方の手を斜め前に伸ばしておくと、ボールに対する指針となり、空振りしにくくなります。
第4に、グッと片足に体重をかけ、腰の回転と地面を蹴るような体重移動を意識すると、より強いボールを打てるようになります。
第5に、ラケットの向きが上すぎても下すぎてもダメです。ちゃんと真ん中で捉えないと、相手へ打ち返すことすらままなりません。
最後に、ボールを打つタイミングによって、ボールが飛ぶ方向が大きく変わってくるため、これも意識すべきです。
長くなりましたが、ただのストロークですら、これだけの手順や心がけを要求されるのです。
これらを怠ると、ボールがネットに当たってしまったり、必要以上にポーンと飛んで行ってしまってアウトとなったりして終わりです。
↓理想的なストロークを打つ瞬間。
おまけに、上記は利き手で打つフォアハンド時の話です。逆方向のボールには、それ用のバックハンドでないと打ち返し辛いです。
さらに、ノーバウンドで打つボレー、ゲームの合図となるサーブ、そしてテニスの花形スマッシュなど、それぞれが別の打ち方です。
ちなみに、ボレーにもストロークと同じくフォア・バックの2通りの打ち方があるため、それだけ覚える事が増えます。
これまで紹介したショットは、ストローク、ボレー、サーブ、スマッシュの4種類です。
そのうちストロークとボレーにはバックもあるので、さらに2種類が加わって、計6種類となります。
極め付けに、これら6種類ものショットのマスターという苦労をして、ようやく初級クラス卒業というのです。
以上より、いかにテニスでボールを打つのが難しいかが、お分かり頂けたでしょうか。
↓サーブを成功させられないと試合にもならない。
しかし、パワスマ3は違います。×(○)ボタン一つで、これら6種類のショットを自動的に使い分けられるのです。
具体的には、初めにサーブを打つ時は×ボタンを押すだけでサーブを打てます。
ボレーを含め、利き手の方にボールが来た時もそうでない時も、×ボタンで勝手にフォアで打ったりバックで打ったりしてくれます。
スマッシュを打つ時だって、ただボールが頭上に来たところで×ボタンを押すだけで出来ます。
サーブを含め、 ボールを任意の方向に打ち分けたい時も、その方向に方向キーを入れながら×ボタンで思うが儘です。
仮にボールから少しくらい離れていても、体勢を崩しながらも打ちに行けるし、最悪ダイビングしてでも強引に打ち返せます。
×ボタンを押して打つ際、腰の回転だとか体重移動だとかラケットの向きだとかを考える必要は全くありません。
さらに、×ボタンで打てるショットは、全て前述した6種類の主要かつ基本的なショットなので、初心者でも馴染みやすいはずです。
ついでに、よほど強いボールを強引に打ち返す場合を除き、アウト等になる事は稀で、簡単にラインぎりぎりを狙えます。
以上より、パワスマ3なら極端な話、ボールが来たら×ボタン、たったこれだけでテニスが出来るような作りとなっているのです。
↓サーブでは、ゲージが満タンになる瞬間を狙って押そう。
前項では、パワスマ3はただボタンを押すだけの簡単操作でテニスが出来るゲームである、と書きました。
その一方で、矛盾するようですがパワスマ3はただボタンを押すだけの単調なゲームではない、とも言えます。
何故なら、上手にプレイするためのコツを知れば知るほど楽しくなるだけの奥深さが、パワスマ3にはあるためです。
例えば、来たボールに対して、ただボタンを押すだけでは「パスッ」という弱いショットしか打つことが出来ません。
弱いショットでは相手に簡単に打ち返されて、おしまい。当然それでは面白みがないですね。
ただし、そんな悩みも、たった2つのコツを意識するだけで解決できます。
(1)ボールがバウンドの頂点に達する位置を見極める上手くいけばあら不思議。一転して「パァァーン!!」というプロさながらの強烈なショットを打つことが出来るのです。
その際、方向キーを斜め上に入れれば、より鋭さの増したショットとなります。
逆に、対角線上に斜め下に入れればアングルショットとなり、鋭さこそやや落ちるものの相手の意表を突くことが可能です。
いずれにしろ、強烈なショットなら相手に打ち返されにくいです。それはつまり、一気に勝利が近付く事を意味します。
強烈なショットを打ち、相手を揺さぶって勝つ!そんな爽快感を味わってこそ、テニスというものではないでしょうか。
↓そのショットは、弾丸の如く鋭い。
逆に相手からそのようなショットを打たれた時、打ち返したところで甘いショットになったり、飛び過ぎてアウトになったりするでしょう。
そこで出番となるのが、□ボタンで打てるスライススピンです。ちなみに×ボタンの方はトップスピンです。
スライスはトップと比べて遅く低く飛ぶため決定打にはなりにくいですが、強烈なショットでも安定して打ち返せる利点があります。
また、その性質のため、相手から強烈なショットを打たれにくくなり、かつ打ち返されるまでに体勢を整えやすくなります。
よって、スライスを覚えるだけでも一段と長くラリーを続けられるようになり、それだけ勝ちやすくなる訳です。
ちなみに、□ボタンはネット際に落とすドロップショットや奥へ高く上げるロブにも使うので、戦術の幅が大きく広がります。
↓耐え続ければ、きっとチャンスは来る!
ゲームで使うボタンはたったの2つであるにも関わらず、その戦術は多岐に渡ります。
まずストロークの応酬を試みて、押されたらスライスを使ったり打つ方向を変えたりして、反撃のチャンスを伺うとか。
選手の能力的に後ろからのストロークで不利なら、流れを変えるために思い切って前に出てボレーをやってみるとか。
後ろからが強い相手にはドロップショット等で前へおびき寄せたり、逆にボレーヤーをロブで引っ込めさせたりするとか。
あるいは、それらを先読みして強烈なストロークやスマッシュで返り討ちにするとか。
このように、選手の得手不得手も考えたうえで、プレイヤーのスタイルに合った自由な試合展開が可能です。
以上より、パワスマ3は、ただボタンを押すだけの簡単操作でテニスが出来るとっつき易さと、奥深さを兼ね備えたゲームなのです。
コツを知るほどに増していく、強烈なショットの爽快感や多彩なショットを打ち分ける戦略性の奥深さもまた、テニスの醍醐味です。
↓ドロップは軌道や音が目立つのでアングルショットも併用しよう。
テニスの試合を観戦、あるいは実際に選手として行う際に議論の的となりやすい事柄に、試合時間の長さが挙げられます。
テニスのルールについては各自で調べて頂くとして、具体的には、まず1ゲームあたり5〜6分ほど掛かるとされています。
タイブレークありですと6〜7ゲーム先取で1セットとなるので、誤差なども考えると最低でも1セットあたり30〜40分です。
もちろん、相手にゲームを取られると、それだけ1セットあたりのゲーム数が増える事となり、それなりに時間も掛かります。
仮に3セット先取で試合終了とすると、だいたい1時間半から2時間ほど掛かる計算となります。
ただ、テニスにはデュースといって、2ポイント以上離さなければならないルールもあるため、実際には2〜3時間超えはザラです。
これでも相当短縮された方だとされています。何故なら、最も長い試合となると11時間5分、3日間にも及んだ例があるためです。
以上より、いかにテニスの試合が長いかが、お分かり頂けたでしょうか。
これが良いか悪いかは人によって意見が割れるところですが、いくらなんでもビデオゲームとしては余りに長すぎる時間です。
↓ポイント取得後などの短い間も積もれば馬鹿にならない。
そこで、パワスマ3では、何と2ゲーム先取で試合終了、という大胆なルール改正が行われています。
それでも前述の例をそのまま当てはめると1試合10分となるため、まだまだビデオゲームとしては長い部類に入るように見えます。
ところが、結論から言うと、パワスマ3の試合は順調にいけば3分以内にカタが付くほどの短さを誇ります。
何故なら、サーブミス時やインターバルなどの間を極力排除され、かつアウト等のジャッジも瞬時にコンピュータが行うためです。
特に、インターバルは現実では1回あたり20秒または90秒あるのに対し、パワスマ3では僅か数秒という短さです。
その上、リプレイも含めてインターバルのスキップさえも可能である等、劇的なテンポアップがなされています。
また、パワスマ3ではボールのスピードが軒並み速く、試合展開自体が極めてスピーディーである点も大きいです。
それでいてデュースは残されている等、テニスで省くべき所とそうでない所の絶妙なさじ加減も見逃せません。
以上より、パワスマ3は大胆に試合時間の短縮を図ったことで、より多くの方にテニスの楽しさを味わえるようになっているのです。
↓デュースが続けば否が応でも熱くなる。
2007年に発売されたPS3版は、主に4種類の理由により、アーケード版を超えるクオリティでの移植がなされています。
第1の理由は、画面解像度の増加です。
アーケード版は液晶筐体であっても解像度は1366×768しかありません。ブラウン管筐体に至っては恐らく640×480と思われます。
それに対し、PS3版では解像度1920×1080のフルHD画質に対応しています。
そのため、アーケード版よりも美しいグラフィックを堪能できるほか、画面がより広々として見やすくなっているのです。
↓480pまでの画質ではスロー演出が早くなり、よりサクサク。
第2の理由は、サウンド関連の強化です。
アーケード版はゲーセン独自の喧騒もあり、満足にショットの迫力を堪能することは難しいですが、PS3版はそうではありません。
更に、効果音とBGMの音量を個別に上げ下げすることも出来ます。
例えばBGMを無くすことで、ボールの音と人の声が響き渡る、本物さながらの没入感を楽しむことが出来るのです。
ついでに、審判の言語も実に5ヶ国語も用意されており、開催国の雰囲気も味わえます。
そのため、アーケード版を遥かに超える音響環境で、より楽しく試合に臨めるようになっているのです。
↓BGM完全消音ではメニューでも無音なので寂しいかも。
第3の理由は、カメラの固定化です。
アーケード版ではゲームごとに操作する選手の位置が奥か手前かが決まるようになっています。
ところが、奥の選手はプレイヤーとは真逆の方向を向いているため、手前と比べると若干やり辛い嫌い傾向にあります。
そこで、PS3版では1人プレイ時に限り、どのゲームでも必ず手前でプレイ出来るよう改善されました。
もちろん設定を変更すればアーケード版と同じに出来るので、より多くの方に納得のいく環境が用意されたのです。
↓奥だとレバー操作も上下反転させねばならない。
最後に、ダブルスの4人同時プレイです。
アーケード版ではプレイ可能な人数が2人までのため、ダブルスはCPU戦のみ、という制約がありました。
おまけにゲーセンでは対戦台ばかりで相方とのコミュニケーションを取り辛く、恵まれた環境とは言い難いものでした。
ですが、PS3版なら4人集まって、横並びでワイワイとダブルスが出来ます。
ついでに、独自のミニゲームも4人までのプレイに対応しているため、よりパーティーゲーム的な側面が強化された、と言えます。
↓CPUと組む時はL・Rボタンで指示を出せる。
他にも、使える選手の増加や、やり込み要素抜群のワールドツアーの搭載なども大きいです。
特にワールドツアーでは、アーケード版のチャレンジモードが、より腕前アップに繋がるよう再構築された点も見逃せません。
具体的には、厳しい時間制限が撤廃され、かつ簡単なものから段階的にこなせるように変更されています。
以上より、PS3版はアーケード版よりも映像や音が進化し、さらに長く遊びやすく改良された一品といえます。
一方で、ボタンコンフィグ「だけ」保存されない不備、ロード時間の長さ、トロフィーに非対応といった問題点もあります。
これらの問題点を多かれ少なかれ解消したパワスマ3を家でプレイする手段は、海外のみで発売されたXbox 360版を買うのみです。
↓もちろん他のトレーニングでも楽しく腕前アップに臨めるぞ。
6/10 Xbox 360版「Virtua Tennis 3」
前述した通り、パワスマ3は海外でのみPS3版だけでなく360版も発売されています。
海外向けであるため全編英語ですが日本の360本体でも起動するほか、中古価格も国内PS3版より安い傾向にあります。
また、 360版の大まかな仕様こそPS3版とほぼ同じですが、ロード時間をはじめ、良くも悪くもPS3版との違いが多数あります。
本項ではPS3版より優れる箇所を「良い点」、劣る箇所を「悪い点」、どちらともいえない箇所を「好き好き」として計10つ紹介します。
なお、PS3版はキャッシュを2221MB使用、360版はHDDにインストール済み、という条件での比較なので参考までに。
また、都合によりPS3版はD2出力、360版はコンポジット出力でキャプチャしています。
そのため本ページでの画質はPS3>360となっていますが、実際はアンチエイリアスなどを除けば同等の画質なので、ご注意を。
↓バーチャ5は日本でも出たが、こちらは…。
良い点1.ゲームの起動時間
PS3:約38秒
360:約25秒
上記は、本体のダッシュボード画面でゲームを選択した瞬間からメニュー画面へ移るまでに要する時間を示しています。
PS3版はメーカーロゴが2つで、かつオープニングでスタートボタンを1回押すだけでメニューへ移ります。
一方、360版はロゴが3つに増えた上に、メニューへ移るのにスタートを最低でも3回も押さなければなりません。
そのため一見するとPS3版の方が早いように見えますが、実際は何と10秒以上も360版が早いのです。
また、360版は本体の設定を変更すれば、電源を入れて即ゲームを起動させる事も出来ます。
そちらの場合、手動でサインインする手間を考慮しても更に4秒ほど縮むため、そちらと比べると実に20秒近くもの差があります。
以上より、ゲームの起動時間は360版の方が格段に早い点が、お分かり頂けたでしょうか。
↓360版は完全オートセーブなので、体感的にはさらに早い。
良い点2.試合間のロード時間
PS3:約12秒
360:約9秒
上記は、選手を選んだ瞬間や試合終了した瞬間から次の試合に移るまでに要する時間を示しています。
ご覧の通り、360版の方が約3秒早く、アーケード版に迫るロード時間を実現しています。
さらに、360版のトーナメントモードではアーケード版やPS3版と異なり試合終了直後のリプレイが流れない仕様となっています。
他のモードでは普通に流れるため単なるバグかも知れませんが、おかげで更にサクサク進む点は間違いありません。
以上より、試合間のロード時間も360の方が格段に早い点が、お分かり頂けたでしょうか。
↓両者とも共通してアーケード版と演出が異なる。
良い点3.セーブ時間
PS3:約11秒
360:約3秒
上記は、オプション画面を抜けた瞬間からメニューへ移るまでに要する時間を示しています。
PS3版は設定の変更などセーブするタイミングでは毎回手動でセーブするか選ぶ必要があり、決して短くない待ち時間があります。
それに対して360版は初期設定では完全オートセーブであり、待ち時間も実に4分の1にまで短縮されているのです。
一方、オートセーブをOFFにも出来ますが、オプションを抜ける度に面倒な警告が入ってくるので、基本的にはONを推奨します。
その辺を考えても、360版のセーブ時間の短さや快適さは魅力的です。
↓なお、PS3版には完全オートセーブの設定はない。
良い点4.ボタンコンフィグ
PS3:保存されない、どのパターンでもロブをスライスの右隣へ配置できない
360:保存される、ロブをスライスの右隣へ配置できる
PS3版には、オプションの設定のうちボタンコンフィグだけ保存されない、という不具合があります。
そのため、ゲームを立ち上げてから一度は試合開始後にポーズをかけて変更する作業が必要です。
更に、ロブが必ず△ボタンで固定であるため、理想的なボタン配置にするにはジョイスティック側の改造などが求められます。
このように、アーケード発のゲームにも関わらず、ジョイスティック愛好家には辛い仕様でした。
それに対して360版では、きちんとボタンコンフィグも保存されます。
その上、タイプBでは「B:トップ、X:スライス、Y:ロブ」という、実に理想的なボタン配置が改造なしで実現できるのです。
ジョイスティックでのプレイに拘るなら、360版を選ばない手はありません。
↓※ただし無印RAP EX以外のスティックに限るので注意(写真はRAP EX SE)。
良い点5.その他
PS3:トロフィー(=実績)、クイックプレイ、オンライン対戦、戦績閲覧いずれも非対応
360:上記全てに対応
PS3版が出た頃はまだ本体自体がトロフィーに非対応で、オンライン対戦も主流ではなかった、という事情もあります。
2008年7月に本体がトロフィーに対応した後も、残念ながらパワスマ3にトロフィーが盛り込まれる事はありませんでした。
ですが、360は発売当初より実績やオンラインに力を入れられていた関係上、360版は漏れなくそれらに対応しています。
さらに、メニュー画面からXボタン一つで即エキシビジョンが出来るクイックプレイや、戦績の記録まで追加されています。
クイックプレイは選手、ラウンド、ステージいずれもランダムで選ばれるため、正直なところ実用性は疑わしいです。
また、オンラインも今となっては対戦相手にありつける事はまずなく、あまり意味のない機能となってしまっています。
それでも、少しでも遊びの選択肢が追加されているのは良い事ではないでしょうか。
上記は別にあってもなくても大差ない機能ですが、こうしたサービス精神に溢れている点も360版の長所です。
↓戦績では、ありとあらゆる記録が残されてゆく。
悪い点1.ダブルス初めインターバルでの処理落ち
PS3:開始まで約7秒、インターバルもサクサク早い
360:開始まで約10秒、インターバルでガクガク遅い
これまで360版の良さを挙げてきましたが、ダブルスに関してはPS3版と比べると厳しい出来です。
ロード時間はシングルスと真逆で3秒長く、ポイント取得直後からサーブに移るまでのインターバルで激しい処理落ちがかかります。
処理落ちは進行の遅れにも繋がるし、見た目的にも不自然なので、少なからずストレスの原因となることでしょう。
ちなみに、インターバルでの処理落ちはシングルスでもわずかながら発生することがあります。
幸い、プレイヤーが操作できるシーンでの処理落ちはなく、操作性が損なわれる、というような事はありません。
それでも、ダブルス目当てでパワスマ3を買うなら断然PS3版です。
↓ワールドツアーでもダブルスがあるので注意。
悪い点2.ボールの見え辛さ
PS3:影が濃く、ボールの遠近感を掴みやすい
360:その逆
どういう訳か、360版はPS3版よりも選手やボールの影が薄くなっており、ボールの遠近感を掴みにくくなってしまっています。
中でも特にトーナメントの4面や6面の見辛さはプレイに大きな支障をきたす程であり、360版最大の欠点です。
下の比較写真からも一目瞭然です。もちろんキャプチャ環境によっても、影の濃さに多少の違いが生じる可能性も考えられます。
しかし経験上、同じHDMIでも360版の方がボールが見辛かったです。
当然、目も疲れてしまうので、視力に自信がなければPS3版しか選択肢はありません。
↓こちらはPS3版。よく見なくても十分認識できる程の影の濃さ。
↓問題の360版。よく目を凝らすと辛うじて影が見える程度の薄さ。
悪い点3.トーナメント5面の演出
PS3:選手入場や歓声に合わせて画面がホワイトアウト
360:ホワイトアウト演出の省略
PS3版はアーケード版と同じ演出ですが360版ではホワイトアウトせずに、何故かパッと画面が切り替わるので違和感があります。
さらに、よく見ると選手が向かっている先の光景が丸見えで、しかもミスマッチな絵画調なので、見た目の格好悪さは否めません。
この程度の演出の再現でロード時間が大きく延びるとは考えにくいですし、何故このような仕様としたのか理解に苦しむところです。
細かい点ですが、アーケード版でこの演出が気に入っていた方にはPS3版の方が良いでしょう。
↓いよいよ決勝戦、という緊張感を煽る演出が台無し。
好き好き1.グラフィック初め演出
PS3:はっきりくっきり、ジャギ―多、エンディング短
360:ピンボケ気味、ジャギ―少、エンディング長
プレイ中はほとんど違いが分からない程度の差ですが、360版は全体的にアンチエイリアスが強めにかけられています。
そのためPS3版と比べて、良く言えばCGのギザギザが少なく滑らかな映像、悪く言えばピンボケ気味な映像となっています。
恐らく前述の影の薄さは、このアンチエイリアスが原因ではないかと思われます。
リプレイのカメラ割りもズームインなど、アーケード版やPS3版とは一部異なるものとなっており、これはこれで新鮮です。
ところで、トーナメントモードのエンディングもアーケード版やPS3版との違いが目立ちます。
具体的には、エンディング曲をフルで聴けてしまうほど間延びしてしまっています。
また、トロフィーを手にするシーンからは「ニカッ」と口が半開きになった不気味な表情となり、シュールさが目立つようになります。
その表情でカメラマンのいないコートでトロフィーを誇示したり、トロフィーに口づけしたりする様は、ある意味必見です。
↓こちらはPS3版。プロのスポーツマンらしい爽やかさ。
↓問題の360版。カメラマンも思わず逃げ出す不気味さ。
好き好き2.ワールドツアー
PS3:再開まで約11秒、セーブは手動、データのロード可
360:再開まで約3秒、完全オートセーブ、データのロード不可
360版はロード時間もそうですが、直接どのデータをロードするか選べるよう改良されている点も時間短縮に繋がっています。
それを抜きにしても全体的に360版の方がロード時間などの面で快適です。
さらに、1週進むたびに自動でセーブされる仕様であるため、セーブし忘れでそれまでの成果がパア、という悲劇もありません。
それなのに何故「好き好き」に分類したかというと、自動でセーブされるが故に、やり直しが効きにくくなってしまっているためです。
プレイヤーの中には、理想的な結果が出るまでリセットを繰り返すスタンスの方もいらっしゃる事でしょう。
そういった方にとって、360版のセーブ仕様は有難迷惑でしかないのではないでしょうか。
一応、オプションでオートセーブをOFFにしてゲームを再起動させれば、360版でもやり直しは出来ますが、とても時間が掛かります。
確かに、それは正しい遊び方でない、との反論もあるでしょう。僕自身も、やり直さない方がリアルで面白い、と考えています。
ただ、オンラインでない以上、誰に迷惑が掛かる訳でもないので、各々が好きな遊び方をして然るべきはずです。
是非はどうあれ、その遊び方を一つ奪ってしまっているのも事実なので、せめてPS3版と同じ仕様も選べると良かったと思います。
また、やり直し云々を抜きにしても、前述の通りダブルスの試合でロード時間や処理がもたつく点も残念です。
↓Xボタンで手動セーブも出来るが、ほとんど意味はない。
結論
長々と両機種の違いを述べてきましたが、ではどちらを選べば良いのか、という疑問が湧いてくる事でしょう。
ダブルスの快適さやボールの見やすさ、そして日本語表記を重視するならPS3版がオススメです。
そうでないなら、全体的にロード時間が短く、ボタンコンフィグなど改良点が多い360版に軍配が上がります。
それでも360版のボールの見辛さは致命的であるため、やはりPS3版が無難な選択肢でしょう。
惜しいことにPS3版は未だに中古でも2000円ほどと、10年くらい前のスポーツゲームにしては高めの値段です。
360版は少なくとも僕の場合、540円で買えたほど安いですが、今度は買うチャンスが極めて限定的、という難点があります。
なので、結局はお手持ちのゲーム機や中古の入荷具合、そして財布と相談して選ぶのがベストではないでしょうか。
↓英語の勉強として、あえて360版を選ぶ手もアリ。
パワスマ3の魅力は3点あります。
1つ目は、ボタン1〜2つの簡単操作です。第2に、爽快感と奥深さの両立です。最後に、試合時間の大胆な短縮です。
これらの魅力により、パワスマ3は現実のテニスが苦手な方でも、簡単にテニスの醍醐味を味わえるゲームとなっています。
また、家庭用はやり込み要素抜群のワールドツアーの追加など、よりパワスマ3の魅力が高まった完全版なみのクオリティです。
以上より、パワスマ3は簡単操作で長く遊べるゲームをしたい、手軽にテニスの醍醐味を味わいたい、という方にオススメです。
↓ワールドツアーはチュートリアルも兼ねているので安心。
去年まで僕自身のテニスの経験は、小さい頃に家族でダブルスで遊びのテニスをした事があるのみでした。
それから10年、ゲーセンでパワスマ3が出た時は、その思い出が懐かしくなってプレイしましたが、1回だけで辞めてしまいました。
理由は、噂のリンドバーグ筐体でなかった上に、当時は知らない外国人選手ばかりで、しかも2面であっさり負けたためです。
で、リンドバーグ筐体にはバーチャ5が入る事となり、5台くらい並んで大々的にアピールされたため、そちらに釘付けでした。
また、当時はジャンルごとの寿命差など全く考えず、普通にゲーセン好みで長生きの格ゲーや大型筐体ゲーもプレイしていました。
そんな中、あえてブラウン管筐体のパワスマ3をやり込む理由は見当たらず、あまり良い思い出がないまま、長年それっきりでした。
↓このとき選んだ選手はマリオ・アンチッチ。理由は言わずもがな。
そんな僕がパワスマ3にハマったきっかけは4年後、今は亡き「LOOP春日井店」にリンドバーグ筐体で置かれていた事です。
この頃には既にジャンルごとの寿命差をシビアに考えており、なるべくゲーセン好みのゲームを避ける傾向にありました。
経験上、スポーツゲームは格ゲー等より短命なイメージがあるため、少しでも寿命を延ばそうと積極的にプレイしていました。
それでも2面を越せないのは相変わらずでした。相手からポンポンとスマッシュを打たれ、必ずアウトとなってしまっていたのです。
挙句、ゲーセンでは最早お約束の無断乱入にも悩まされましたが、ここでボロ負けでなく意外と戦えたことで、ある変化が生じました。
そう、相手をよく見ると、スマッシュにはコートの一番後ろに下がってからのスライスで対応しているではありませんか。
こうしてCPU戦や対戦を重ねるうちに、強いショットの打ち方やスライスの重要さ等のコツを少しずつ理解していくのを感じました。
その甲斐あってか、この1年の間に壁だった2面をクリアでき、後にワンコインクリアできるまでに成長し、自信もついたのです。
余談ですが、この頃はゲーセン好みのゲームをやってもいいかな、と思い始めており、音ゲーなどに再び大ハマりでした。
また、気兼ねなく遊べるレトロなビデオゲームも沢山置いてあって、それらも並行してプレイし続けていました。
今思えば、パワスマ3を初め、色々なゲームを遊べていたこの頃が、ゲーセンを素晴らしい空間と思えていた最後の時期でした。
ところで、パワスマ3を機に少しだけ本物のテニスを始めたい、と思っていましたが、金銭的にも部活的にも無理な話でした。
↓何度負け続けても諦めない!
パワスマ3を通して短い間ですが、ある方――「パワスマお兄さん」と呼びましょうか――との交流が出来たこともありました。
ゲーセンでは無言・無断で乱入するのが当たり前、という常識に疑問を抱いていた僕は、パワスマお兄さんに声を掛けたのです。
「こんにちは!勝負しませんか?」と。するとパワスマお兄さんも快く応じてくれました。
そして2回ほど試合をしました。2回ともデュースやタイブレークの嵐、という互角の勝負を繰り広げた末に、2回とも辛勝しました。
試合後はお互いの健闘を称え合い、再戦を誓い合ってクールに去ったものです。
それは、ゲーセンでは滅多に味わえない充実感でした。声を掛けて本当に良かった、と思った瞬間でした。
また驚くべきことに、これは1回限りの交流ではなく、後日ゲーセンで顔を合わせた時は向こうから声を掛けて下さったのです。
そうして毎回のように互角の勝負をしただけではなく、ある時には「この前の○○対××戦みました?」等といった雑談もしました。
またある時にはダブルスで互いにグダグダの醜態を晒して苦笑し合ったりと、毎回が楽しいひと時でした。
そう、それはゲームの枠を越えた、掛け替えのない経験でした。いつまでもパワスマお兄さんと交流したいな、と思っていました。
↓対戦台でダブルスは本当にキツイ。
その交流は突然終わりを告げました。パワスマ3の撤去、という非情な現実によって。
好きなゲームが突然なくなる悲しみは今まで何度も味わってきましたが、今回の悲しみは今までとは比較になりませんでした。
なにしろ、パワスマ3がなくなる事は、つまりパワスマお兄さんとの交流もなくなる事を意味するのですから。
同時期にはパワスマ3と並んで心の拠り所にしていたビデオゲーム群も根こそぎ撤去される事となり、泣きっ面に蜂でした。
挙句の果てに、代わりに入ってきたのが全て格ゲー、つまりゲーセン好みのゲームであった、という三段オチです。
ゲームを奪われ交流を奪われ、にっくき格ゲーにデカい面をされた事で、ゲーセンへの不信感がピークに達した瞬間でした。
こう溢すと、「それが商売だ、ボランティアじゃねェんだよ」、との反論をしたい方もいらっしゃるかも知れません。
確かにパワスマ3は当時としても古い上に、格ゲーより1試合が長くなりがちで、対戦ゲームとしては回転率が悪いとは思います。
ただ、現実問題として入ってきた格ゲーは全て数か月で撤去されました。パッと見たところ人付きはパワスマ3以下だったはずです。
時系列が飛びますが、終いにはLOOP春日井店そのものが撤去、という体を張った茶番劇を見せてくれていました。
果たして、こんなザマを見せつけられてもなお「商売」とでも言えましょうか?これがプロの商売なのでしょうか?
しかも、格ゲーがなくなったところで、パワスマ3は戻ってきません。なのでパワスマお兄さんも戻ってくる事はありませんでした。
この悲劇は僕のネット人生にまで大きな影響を与え、その後2〜3年にも渡ってトラウマとなって苦しめられる事となったのです。
↓もう何が何だか…。はは…。
そのトラウマから僕を立ち直らせたのもパワスマ3です。
もうゲーセンではやってられない、と思って家庭用を買って、のめり込む内に、ある思いがこみ上げてきました。
自分を変えたい。そのために、本格的に本物のテニスを始めたい―――。
幸い、ちょうどキャンペーンでテニススクールの入会金などが激安だったことで金銭面の問題も緩和されています。
やるなら今しかない、という思いでテニススクールに入会して、今に至ります。
そこにはゲーセンと比較にならないレベルで様々な人たちとの交流があります。勝っても負けても分かち合える度量があります。
それはまるで、かつてパワスマお兄さんと楽しく交流していた頃のようです。
また、テニスを始めた事で、むしろパワスマ3における選手のフォームのリアルさに気付く等、新たな発見もありました。
長くなりましたが、パワスマ3はゲーセン、ひいては従来のネット人生との決別、そしてテニスを始める切っ掛けとなりました。
そして、未だ自分を成長させてくれるゲームなのです。
↓ゲームクリアしても、俺たちの戦いは終わらない。
・パワースマッシュ チャレンジ
スマホ向けのパワスマです。4をベース、つまりシビアさや戦略性が売りの作風であり、3とはまた違った面白さを手軽に楽しめます。
・モンスターファーム
お手持ちのCDからモンスターを誕生させるシミュレーションゲームです。育成・休暇・大会と、本作のワールドツアーさながらです。
PS3版でも理想的なボタン配置でプレイしたい!という方に、少しでも参考になれば、と思います。
検索等で来て頂いたついでに、ご意見ご感想などを残して頂けると嬉しいですが、事前に三か条を一読ください。
本レビューの作成にあたり、最も苦労した点は6/10の360版との比較です。
特に、ボールが見え辛い原因が影の濃さだと気付いたのが公開前日であったこともあり、急ピッチで検証する羽目になりました。
他にも、ロード時間の比較などでも、電源を付けたり切ったりを繰り返さなければならず、実に面倒でした。
また、公開直後まではエンディングの比較はサイズを4分の1に縮小して2枚ずつ横並びにしていました。
ところが、分かり辛い上にスマホの縦持ちでは横並びにならないことが判明したため、急きょ今の形に修正しました。
ただ、お蔭で漠然としたイメージでなく、具体的な画像や数値を出すことが出来、格段に説得力を生むことに成功したと思います。
初めは360版との比較は軽く済ませて、アーケード版にまつわる持論、あるいはワールドツアーの解説に重点を置く予定でした。
しかし、それでは独自性を出せないし、少しでも先人の背中を追いかけたいと思ったため、今の形となりました。
正直、長くなり過ぎた感はありますが、星がない項目なので、気になる人だけが読んで満足して頂ければ、と思います。
その他は僕自身のテニスの経験や、ネット上に転がるアーカイブなどにより、さほど苦労することなく書き上げることが出来ました。
思い出話は途中でムッと来た方もいらっしゃるでしょう。あれは僕自身もギリギリまで外すかどうか迷っていました。
ですが、後の展開を考えても、外すという選択肢は有り得ない、との意思を固め、完成に至った訳です。
2015/04/17 初公開