イシターの復活

本レビューで対象とする精通度:★★★★☆

(本作を除く各ゲームに精通)

所要時間:約5分(最低限) or 約32分(たっぷり) or 約44分(全て)

 

注釈の注釈

「専門用語(注1A)」(本文)

本文で↑を押すと注釈を読めます。

注釈を読んでから、もう一度

「専門用語(注1A)」:注釈

↑を押すと、本文に戻れます。では下の本文を、どうぞ。

 

1/10 概要

初代ドラクエが出る数年前より、ゼビウスで名声を得た遠藤雅伸氏はRPGに惹かれていたゲームクリエイターの一人でした。

旧ナムコ社員であった氏は、高価なPCで遊ぶものだったRPGを、何とアーケードゲームとして作り始めたのです。

試作された「The Return of ISHITAR イシターの凱旋」は、後のアタリ製ガントレットや初代ゼルダに似たゲームとされています。

それが上司の目に留まるも、RPGはマニア以外には難解だった点を踏まえて1984年、ドルアーガへと生まれ変わる事となります。

ドルアーガの大ヒットを受けて、よりRPGらしさを格段に高めた続編を再びアーケードゲームとして世に出しました。

そのゲームこそ、「ゲームスタジオ(注1A)」が開発しナムコが1986年に発売したアクションRPG「イシターの復活(注1B)」です。

商業的には苦戦するも、遠い未来に向けてドラクエ等とは一味違ったRPG像を一般に定着させる契機となるのです。

バビロニアンキャッスル エピソード2。
 

注釈一覧(専門用語を押して本文に移動)

(注1A)ゲームスタジオ:2004年設立の同名会社とは無関係。かつて遠藤雅伸が率いたゲーム会社。

(注1B)イシターの復活:本レビューで解説。アーケードゲーム初となるパスワードコンティニューは遠藤雅伸の特許。

 

目次

最低限の文章で済ませたい方には「★」の項目のみ、たっぷり読みたい方には「☆」の項目も追加で読んで頂ければ幸いです。

それらを読んでもなお飽き足らないのであれば、ぜひ末尾が空欄の項目も読んで下さい。

1.概要

目次より先に読んで頂いた項目です。

2.ゲーム内容 ☆

ごく基本的なイシターの内容や進め方を解説します。

3.凝縮されたRPGの楽しさ ☆

如何にアーケードゲームらしくイシターが手軽にRPG的な楽しさを味わえるか考察します。

4.未来への遺産 ☆

如何にイシターが21世紀のアーケードゲームやF2Pの概念を先取りしていたか考察します。

5.PS1版について ☆

PS1ソフト「ナムコミュージアムVOL.4」に収録された、イシターの特徴を解説します。

6.裏イシター ☆

続いて新設された裏イシターの魅力を考察します。

7.まとめ ★

これまでの解説から、本作がどんなゲームで、どんな良さがあって、どんな方に向いているかを解説します。

8.思い出話

文字通り、本作に関する、個人的な思い出話です。

9.こちらもあわせてどうぞ

本ページと何かしらの関連性や共通点を持つコンテンツを3つ紹介します。あと掲示板もどうぞ。

10.最後に

本ページについての、あとがきです。

 

2/10 ゲーム内容 ☆

「イシター(注2Aa)」の目的は「カイ(注2Ba)」「ギル(注2Ca)」を操作して、全部で128ある部屋を行き来して塔から脱出する事です。

しかし、部屋の至る所で敵が徘徊しており、ボーっと突っ立っていると10秒で敵に触れて即ゲームオーバーです。

そう、カイが敵に触れれば即ゲームオーバーなのです。そこで、1Pの方向キーでカイを動かして触れない様にするのです。

しかし、それだけでは不十分です。敵が、うじゃうじゃ居る上に、予期せぬ動きをして翻弄してくるので回避も、ままなりません。

そこで、「Aボタン(注2Da)」でシューティングゲームの様に火の玉を発射し、敵を倒して安全を確保する事が出来るのです。

そうして部屋を探索して任意の扉に合った鍵を取って扉を開け、2人そろって入れば次の部屋へ移る事が出来ます。

これを繰り返して極めて複雑な部屋どうしの繋がりを解明し、最適なルートを開拓していく過程は、まさしくRPGそのものです。

↓火の玉は1度に4発まで連射が可能。
 

しかし、単に火の玉を当てつつ進んでいくだけでは、「ギル(注2Cb)」の扱いを筆頭に余りにも障害が多すぎます。

ギルは2Pの方向キーのみで動かす事が出来、敵に近付くと自動的に剣を構えて攻撃できます。

一応、これで火の玉が効かない敵も倒せますが、その度にギルの体力が減り、0になるとゲームオーバーです。

また、ギルを同行させると魔術師が呪文を放って来る事があります。これをギルが正面以外で受ける事でも体力が減ります。

よって、下手にギルを同行させると、かえって危険なのですが、2人そろわねば次の部屋へ行けません。

それとは別に、敵の動きを予測し辛く火の玉が効かない敵も居る中、「カイ(注2Bb)」が敵に触れたら即死なのは厳し過ぎます。

挙句、部屋に来て120秒で「ウィルオーウィスプ(注2Ea)」まで出てくるのです。こうなれば一巻の終わりで、障害だらけです。

ギルを置いて行きたい。イライラ棒で神経すり減らしたくない。部屋の残り時間を知りたい。こう思わずに居られない事でしょう。

↓でも、お荷物なんて言わせない!力を合わせて鍵を楽々ゲット。
 

そこで、「Bボタン(注2Fa)」を押しながら1Pの方向キーで使う魔法を火の玉から変更でき、少しでも障害を減らせるのです。

具体的には、まず画面外へ置き去りにした「ギル(注2Cc)」を瞬時に右隣へ召喚できるので、気兼ねなくギルを置いて行けます。

続いて、数回は「カイ(注2Bc)」が敵に触れても大丈夫なバリアを張れます。バリアを重ね掛けすれば、より安全です。

バリア切れが不安なら、円盤の発射やギルの強化・回復も合わせれば鬼に金棒で、火の玉が効かない敵とも渡り合えます。

さらに、特に動きが嫌らしい「スライム(注2Ga)」等の敵も、眠らせて動きを止めさえすれば、ただのプルプルした障害物です。

そしてゲームオーバーになるまで、ずっと残り時間を表示させられるので、より計画的な探索が可能となります。

ただしギル召喚を除き、紹介した魔法を使うとマジックポイントを消費します。その上、部屋を移ればバリアや強化が切れます。

限られたリソースを戦略的に使いこなし、並々ならぬ障害を乗り越えていく計画性もまた、RPGならではの面白さなのです。

↓宝箱は青杖で取得。マジックポイント消費ナシで、お得な効果が!?
 

以上より、「イシター(注2Ab)」は部屋を探索して鍵を取り、次の部屋を目指すゲームです。

その過程で時にシューティングゲームの様にバッタバッタと敵を倒し、時にイライラ棒の様に慎重に敵を避けるのが基本です。

そんなアーケードゲームとしての楽しさと、戦略的に魔法を使って障害を乗り越えていくRPGらしさのハイブリッドなのです。

そんな野心的な作風は、「カイ(注2Bd)」と異なり方向キーのみで良い「ギル(注2Cd)」の操作方法からも伺えます。

これは難なくダブルプレイ出来る様なマニアに向けた訳でなく、むしろ真逆のカップルを対象とした結果です。

つまり、彼女が方向キーのみで適当にギルを動かし、それを必死に彼氏がカイでフォローするプレイを想定して作られたのです。

結局その狙いは大きく外れましたが、結果的にキャラ2体を同時に操作する独特のプレイ感覚をもたらした点も事実です。

そしてゲームオーバーになったからと言って、そこで終わりではありません。むしろ、そこからが真の始まりなのです。

↓パスワード メモしなければ 水の泡。
 

注釈一覧(専門用語を押して本文に移動)

(注2Aa)イシター:「イシターの復活」の略称。本レビューで解説。

(注2Ab)イシター:上記2Aaを参照。ストーリー上では大きなウエイトを占める愛と戦の女神を指す。

 

(注2Ba)カイ:女性キャラ。女神イシターに仕える巫女。彼女を中心に画面全体がスクロールする。

(注2Bb)カイ:上記2Baを参照。前のエピソードにて単身、敵の本拠地に乗り込むも囚われていたが、ギルに助けられる。

(注2Bc)カイ:上記2Ba,2Bbを参照。疲弊し切った?ギルに代わって魔法の杖を手に彼女がリーダーとなって脱出を図るのだ。

(注2Bd)カイ:上記2Ba〜2Bcを参照。囚われのヒロインが一転して大暴れする構図もまた、時代を先取り?

 

(注2Ca)ギル:男性キャラ。黄金の鎧を纏ったカイの恋人。前作ドルアーガの主人公でもある。

(注2Cb)ギル:上記2Caを参照。前のエピソードにて、敵の親玉を倒し、カイが果たせなかった魔法の杖の奪還を果たす。

(注2Cc)ギル:上記2Ca,2Cbを参照。しかし、前のエピソードの雄姿は何処へやら、ザコ相手にすら手こずる弱さに。

(注2Cd)ギル:上記2Ca〜2Ccを参照。それでも後々かつての輝きを取り戻す様は主役の面目躍如と言えよう。

 

(注2Da)Aボタン:アーケード版では1Pの左側のボタン。魔法を使用。

 

(注2Ea)ウィルオーウィスプ:イシターでは、赤と青の玉の形をした敵。縦横無尽に動き回り、触れれば即死。

 

(注2Fa)Bボタン:アーケード版では1Pの右側のボタン。押すと魔法のアイコンが出現。1Pの方向キー上下でカテゴリ変更。

 

(注2Ga)スライム:説明不要の魔物。イシターではポヨンポヨン跳ねる他、呪文を放つ者も。

 

3/10 凝縮されたRPGの楽しさ ☆

長く遊べるボリュームが求められるRPGと、3分で満足できる直感的な楽しさが求められるアーケードゲーム。

相容れない両者のハイブリッドを果たすべく、「イシター(注3Aa)」にて実に3種類もの工夫が施されています。

第1の工夫は、パスワードコンティニューです。

決してイシターが最初という訳ではありませんが、概ね数十字単位と字数が膨大で、それだけ複写ミスも多く悩みの種でした。

そこで、イシターでは名前、性別、成長度、部屋にパスワードを分ける事で、1種類ごとの字数を3〜6字までに減らしたのです。

うち名前と性別は最初のプレイで入力した物と同じで、場合によっては部屋の入力も不要なので、入力のし易さは段違いです。

ゲームオーバー直後に至っては、パスワードの入力すら省いて即座に再開できる点も、負担軽減に一役買っているのです。

↓最後の文字以外は「<」で修正可だが、間違えると悲惨。
 

第2の工夫は、実感し易い成長です。

「イシター(注3Ab)」ではゲームオーバー後、パスワードコンティニュー等で初めて全快し、かつ「経験値(注3Ba)」が反映されます。

その結果、「カイ(注3Ca)」のマジックポイントと「ギル(注3Da)」の体力が増えます。逆に言えば、その2つ以外は全く変わりません。

それだけシンプルにも関わらず、成長した事を強く実感できる程、成長の仕方が秀逸なのです。

具体的には、カイのマジックポイントが増えると、新しい魔法を覚えたり既存の魔法を多く使えたりします。

既存の魔法の強化版のみならず残り時間の増加、扉や鍵の着色、そして隠れた敵や鍵の可視化など重要な物も多いです。

続いてギルの体力が増えると、より長く敵と交戦でき、結果的に強い敵を倒せる様になる訳です。

かくして、ありったけの魔法やギルでゴリ押しするRPGならではの魅力を、いち早く味わえるのがイシターなのです。

↓なお、使えない魔法も多いので注意。
 

最後に、多彩な部屋や敵です。

「イシター(注3Ac)」ではゲーム中において全くストーリーが語られないにも関わらず、RPGとしての充実感は他と負けず劣らずです。

何故なら、部屋が128もあり、色違いも含めて敵が65種類も存在している為です。

全ての部屋を辿る必要が無い代わりに部屋どうしの繋がりが極めて複雑であり、自力で解明するには多大な労力が必要です。

中には、通常の方法では出られず、出る方法が全くのノーヒントな部屋もあり一筋縄では、いきません。

敵も色違いこそ多いですが、それでも効く魔法や移動速度、そして放たれる呪文が大きく異なる事もザラです。

よって、色違いと言えど全く印象が異なり、新しい部屋へ行く度に新鮮な感覚を味わえて常に飽きさせません。

本筋とは別に、寄り道できる余地や質もまたRPGとしての面白さを左右します。その点でもイシターは抜きん出た存在なのです。

↓殺風景な部屋を彩るオブジェを見て回るのも楽しい。
 

以上より、「イシター(注3Ad)」はパスワードコンティニュー、成長、そして部屋や敵における工夫が光る画期的なゲームです。

つまり、時間を掛けて探索や成長、そして新たな発見を繰り返していくRPGならではの魅力を、より身近な物としたのです。

何より欠かせないのが映像美と音楽です。それらは当時の家庭用ゲーム機やPCの一歩も二歩も先を行っていました。

進んでも進んでも似たような風景が続けど、キャラや壁の陰影によるリアルな立体感は、当時としては画期的でした。

また、「スライム(注3Ea)」のプルプルとした質感や、ローパーの凄まじい触手の動き等は、まさにアーケードゲームならではでした。

音楽も負けじと前作ドルアーガからの曲も含めて、爽やかさと厳かさを両立したアレンジの名曲ぞろいです。

特に、ローパー出現時の音楽は、某映画さながら爽やかな曲調とローパーの恐ろしさのギャップにより深い印象を残しました。

このような先進的な工夫と演出は、後のアーケードゲームやRPGの発展に大きな影響を与える事となるのです。

↓ローパーからの決死の逃亡劇は、まるで映画のワンシーン。
 

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(注3Aa)イシター:「イシターの復活」の略称。本レビューで解説。

(注3Ab)イシター:上記3Aaを参照。課金して全快や成長しているとも解釈できる点は、むしろ近代F2P的か。

(注3Ac)イシター:上記3Aa,3Abを参照。昨今のコンシューマーRPGほどストーリーを重視されない点も、F2Pに近い。

(注3Ad)イシター:上記3Aa〜3Acを参照。結論としてイシターは、いま流行りのF2Pの原型と言っても過言でない。

 

(注3Ba)経験値:説明不要の概念。イシターでは多少、成長すると弱い敵を倒しても全く経験値が入らなくなるので注意。

 

(注3Ca)カイ:黒髪ロングの女性キャラ。なお、どれだけ成長しても魔法を使わなければ全くの無意味。

 

(注3Da)ギル:男性キャラ。黄金の鎧を纏ったカイの恋人。こちらも直接的に、敵に与えるダメージが増えたりする訳では無い。

 

(注3Ea)スライム:説明不要の魔物。イシターではポヨンポヨン跳ねる他、呪文を放つ者も。

 

4/10 未来への遺産 ☆

このように「イシター(注4Aa)」は実に野心的なゲームであるが故に、至らない点が非常に多く粗削りと言わざるを得ません。

まず、正確な残りマジックポイントを筆頭に隠された情報が多すぎて、自力でゲームを進めるのは極めて困難です。

中盤からは火の玉が効かない敵ばかりで、おいそれと敵を倒しに行けなくなるフラストレーションも、人を選ぶ原因でした。

続いて、正しい効果や消費マジックポイントが隠されている割に、魔法の大半が実用性に乏しく存在自体が邪魔です。

何より、極端な例では開始2秒で100円が消える事もある苛烈な難易度は、理不尽を通り越して最早ボッタクリの域です。

逆に稼働から、しばらくして強い「パスワード(注4Ba)」が広まり、今度は100円で2時間も遊ばれ、全く稼げなくなったと言われます。

かくしてゲームとしても商品としても厳しい結果を受け、このままアーケードゲームとRPGは別の道を歩むかに見えました。

↓使えない魔法のせいで、1秒で7回もカーソルを動かす羽目に。
 

しかし、当時の情勢を考えると、一概に「イシター(注4Ab)」を責め立てる訳にも行かない点も事実です。

まず、画面の情報量が多いと面倒臭いゲームと敬遠される風潮があり、あえて多くの情報を隠していたのです。

続いて、使えない魔法が多い理由は最初に64種類と決めていた点が大きいですが、バブル直前ゆえに色々と察しが付きます。

そして、開始2秒で死ぬ苛烈さは、まだ「ループゲーム(注4Ca)」が主流であった時代背景の名残と考えられます。

逆にパスワードコンティニューで2時間も遊べるゲーセン泣かせぶりは、外部の記憶装置が高価であった以上、仕方ありません。

21世紀を過ぎる頃には、これらの情勢は過去の物となり、水と油であった筈のアーケードゲームとRPGが再び歩み寄ったのです。

量より質、情報を隠さない公平さが求められ、かつ記憶装置が安くなって程よいプレイ時間でも受け入れられて来た為です。

かくしてゲーセンの新たな主役となり、満を持してドルアーガオンラインとなって復活した点が記憶に新しい方も居る事でしょう。

↓あるいは空回りだった2人同時プレイも、オンライン化の源流かも。
 

そしてドルアーガオンラインが終了してもなお、その熱はゲーセンに留まらずソシャゲ、ひいてはF2Pにまで広がって今に至ります。

いま改めて「イシター(注4Ac)」を振り返ると、むしろF2Pの概念を先取りしていると感じられるのでは無いでしょうか。

具体的には、短時間で満足できる山あり谷ありの展開、払った金額の多さと反比例して下がる難易度が、そうです。

少ない金額で次の部屋へ移るには、並々ならぬスキルや発想、そして計画性が欠かせません。

ある時は敵を引き付けつつ一気に避け、またある時は「ギル(注4Da)」や魔法をフル活用して活路を見出していくのです。

2分ごとに、こうして最適解を考え実践していく忙しなさと、上手く行ってホッと一息つける安堵感の繰り返しが、たまりません。

一方、お金を惜しまなければ、何も考えずマジックポイントを注ぎ込んで強引に突き進んでいく征服感を得られるのです。

自らの力量や予算に合った楽しさを提供するF2Pのサービスを、いち早く実現した未来への遺産、それがイシターなのです。

↓極めれば200円で最初から始めてエンディング―――神の領域へ行ける。
 

注釈一覧(専門用語を押して本文に移動)

(注4Aa)イシター:「イシターの復活」の略称。本レビューで解説。

(注4Ab)イシター:上記4Aaを参照。当時も雑誌に攻略記事を載せたりメモ用紙を配布したりした、とされる。

(注4Ac)イシター:上記4Aa,4Abを参照。なお、いくら金を出しても経験値を稼げねば無意味なのは言うまでも無い。

 

(注4Ba)パスワード:稼いだ経験値や進行度を引き継ぎ、続きからプレイする為に必要なアルファベットや数字の羅列。

 

(注4Ca)ループゲーム:死ぬまで100円で最大12時間ほど続けられるゲーム。当時のゲーセンの悩みのタネであった。

 

(注4Da)ギル:黄金の鎧を纏った男性キャラ。大半の敵はギルを無視するので、鍵を取りに行かせ易い。

 

5/10 PS1版について ☆

これまで述べた通り、「イシター(注5Aa)」は今日のF2Pの概念を先取りした画期的なゲームです。

しかし、当時としては膨大なボリュームや、方向キーを2つ使う特異な操作方法のせいか移植や復刻には恵まれませんでした。

当時のPCには、いくつか移植されましたが、性能的にアーケード版のクオリティには及ばず、また高価でマニア向けでした。

結局、忠実な復刻は10年以上後のPS1ソフト「ナムコミュージアムVOL.4」への収録、Windows版、そしてWii版の3本に限られます。

しかし、いずれの版にも問題が残ります。PS1版はアナコン発売前につき「ギル(注5Ba)」の操作に大きな制限がありました。

Windows版は最も高品質とされる反面プレミア化し、かつWindows8.1で不具合が報告される等、いま遊ぶには不安定です。

Wii版に至っては、2019年1月31日を持って販売終了する等、時代を経る度にイシターを遊び辛くなるかに見えました。

↓PS1版のディスクを起動できる本体も全て生産終了済み。
 

しかし、とっくの昔に希望の光は差していたのです。何故なら2013年、アーカイブスでPS1版が配信された為です。

それまでPS1版で「ギル(注5Bb)」を動かす方法は、下記の3通りに限られていました。

(1)〇×△□ボタンを押す
(2)Lボタンを押しながら方向キー
(3)2P側の方向キー

(1)は言わずもがな、(2)は「カイ(注5Ca)」を止めねばならない、もしくは同じ方向にしか2人同時に動かせない欠点があります。

残った(3)なら、コストやスペースの問題を乗り越えジョイスティックを2つ用意する事で、アーケード版に近い感覚で操作できます。

ただし2018年現在、主流のPS3用ジョイスティックは非常に大きく、物理的に両手が離れてプレイし辛い恐れがあるのです。

そこで、Vita本体のボタンコンフィグで〇×△□を「右スティック(注5Da)」に割り振れば、極めて快適にギルを動かせるのです。

読み込みの設定を変えない限りPS3よりも速く起動する点もあり、Vitaでのプレイが最も現実的である、と考えられます。

↓合わせてLRボタンを□や×などにも割り振れば鬼に金棒。
 

他にもPS1版には、「メモリーカード(注5Ea)」を使ったセーブ機能が搭載されており、慣れないうちの進行をサポートしてくれます。

まず「NEW GAME(注5Fa)」で始め、ゲームオーバーになってからメニューを開き、ゲームを閉じます。

するとデータが保存され、次に「LAST GAME CONTINUE(注5Ga)」を選ぶと、そのまま続きから遊べるのです。

確かに「イシター(注5Ab)」はパスワードコンティニューに工夫がなされていますが、それでも、ややこしさは否めませんでした。

何故ならNEW GAMEで入力した名前と性別を忘れてしまうとパスワードが通らず、それまでの成果がパアとなる為です。

そこで、PS1版ではセーブ機能を搭載する事で、名前と性別を忘れても続きから遊べるよう改善を図ったのです。

進めていくと、次第にパスワードの方が都合よくなるのですが、それでも初心者向けとしては申し分ないサービスと言えましょう。

そして、これで終わりではありません。もう一つ、「裏イシター(注5Ha)」なるPS1版だけの目玉が用意されているのです。

↓1度でもパスワードコンティニューすると、以降セーブされなくなる。
 

注釈一覧(専門用語を押して本文に移動)

(注5Aa)イシター:「イシターの復活」の略称。本レビューで解説。

(注5Ab)イシター:上記5Aaを参照。都合よい例としては、敵の呪文などで経験値を減らされた、変な部屋で死んだ等。

 

(注5Ba)ギル:黄金の鎧を纏った男性キャラ。ちなみにPS1でアナコンが標準化されるのはPS1版の発売から1年後の話である。

(注5Bb)ギル:上記5Baを参照。なお、企画の意図どおりカップルで遊べば全く問題なし。

 

(注5Ca)カイ:黒髪ロングの女性キャラ。ちなみに魔法を選択している間、カイは動けないがギルは動ける。

 

(注5Da)右スティック:本体の右側にある360度まわせる方向キー。なおPS3やVitaTVではボタンコンフィグ不可。

 

(注5Ea)メモリーカード:外部の記憶装置の総称。Vita等なら本体に仮想メモリーカードを作れるので、別に買う必要なし。

 

(注5Fa)NEW GAME:名前と性別を入力して最初から遊ぶ為のモード。

 

(注5Ga)LAST GAME CONTINUE:本来はゲームオーバー後、パスワードを入力せず続きから遊ぶ為のモード。

 

(注5Ha)裏イシター:これまで解説してきた「表」と異なるイシター。あくまでオマケである為か一切セーブできない。

 

6/10 裏イシター ☆

「裏イシター(注6Aa)」をプレイするには、まずナムコミュージアムVOL.4タイトル画面で「ミュージアムモード(注6Ba)」を選びます。

続いて「表イシター(注6Ca)」の展示室に入り、素早く「→、←、↑、↓+〇ボタン」と入力します。成功すると展示室が青くなります。

そして奥の扉に入り、さらに奥のゲーム機に近付いて〇ボタンを押せば、晴れて裏イシターを起動できます。

ミュージアムモードの選択から起動までの作業に1分ほど掛かる上に、ゲーム内のボタンコンフィグすら一切セーブできません。

更に、表イシター最大の特徴であったパスワードコンティニューが廃止されました。よって死ねば全てが水の泡です。

それでも、そんな面倒臭い思いをしてでも、裏イシターを遊ぶ価値があるのです。

ほぼ解明され尽くした表イシターから大きく生まれ変わった新たなるイシターは、再び探求心を掻き立てる事でしょう。

↓これに近付いて〇ボタンで、裏イシターの概要を読める。
 

そんな「裏イシター(注6Ab)」の魅力は3種類あります。

第1の魅力は、マジックポイントの表示です。

前々項で述べた通り、面倒臭いゲームと敬遠されない様に、あえて「表イシター(注6Cb)」ではマジックポイントを隠していました。

序盤だけはシューティングゲームに近くマジックポイントを、ほぼ使わなかった点を考えると、一概に間違いとは断じられません。

ところが皮肉にも、その配慮が表を著しく難解としてしまい、序盤から中盤へ移る上で大きな障害となったのです。

そこで、裏イシターでは残りマジックポイントを常に表示する事で、難解さの軽減を図ったのです。

特に、使う魔法の消費マジックポイントの倍以上、マジックポイントを残していないと使えないルールが明確となる点は大きいです。

かくして先を見据えてマジックポイントを配分し、計画的に進めていくRPGらしさが、より強まったのです。

↓なお、相変わらず残り時間は魔法で表示。
 

第2の魅力は、敵を倒していく爽快感です。

「表イシター(注6Cc)」では中盤に入った辺りから、敵と戦わず逃げ続ける展開がメインとなりました。

積極的に戦うにはマジックポイントや体力が心許なく、エンディングまでのプレイ意欲を削ぐには十分すぎました。

一応、エンディングを迎えられるほど成長させれば積極的に戦っても大丈夫ですが、その過程が苦痛な点は変わりませんでした。

そこで、「裏イシター(注6Ac)」では気兼ねなく戦える余地を残す事で、中盤以降のプレイ意欲の持続を図ったのです。

具体的には、最初のマジックポイントと体力が50と大幅に増やされ、それなりに多くの魔法を使えます。

続いて、宝箱を開けて敵を全滅させられる機会が増え、それだけ大量の敵を画面内に集めて一掃する爽快感を味わえるのです。

古来よりRPGと戦闘は切っても切れない関係です。裏イシターは、表イシターに欠けていた戦闘の楽しさを盛り込んだのです。

↓敵の一掃で大量の経験値も稼げて一石二鳥。
 

最後に、悲願のノーコンクリアです。

「表イシター(注6Cd)」では、最初から始めてエンディングを迎えるには、最低でも1回のパスワードコンティニューが必要でした。

何故なら、パスワードコンティニューしなければ全快や成長が出来ず、最後の部屋をクリア出来ない為です。

そのクリアも、特定の魔法を使ったバグ技でしか不可能と、アーケードゲームとしてモヤモヤ感を残していたのです。

そこで「裏イシター(注6Ad)」では、特定の宝箱を取って全快や回復、成長が出来る様にし、ノーコンクリアを可能としたのです。

部屋を出入りすれば何度でも宝箱を取れる為、気兼ねなく魔法を使う事が出来、前述した爽快感にも繋がっています。

もちろんバグ技も使えなくなった上に、使おうとすると敵が強くなる為、正攻法でクリアする達成感が格段に高まっています。

アーケードゲームはノーコンクリアでスッキリ終われてナンボです。裏イシターで、10年ごしの悲願を達成されたのです。

↓回復できる値はマジックポイント、体力、そして残り時間。
 

以上より、「裏イシター(注6Ae)」はアーケードゲーム、及び、RPGとしての魅力を更に高めたバージョンです。

他にも、一部を除き開始2秒で死んだり、敵や鍵が壁で見えなかったりする理不尽さは鳴りを潜め、より公平さが増しています。

その一方、見方を変えればアーケードゲームとしてもRPGとしても中途半端となってしまった、とも考えられる点も事実です。

まず、ほぼ障害なく延々と部屋を周回できる点は、アーケードゲームらしくないです。実際アーケードゲームでは無いのですが。

続いて、パスワードコンティニューの廃止により、 うっかりミスで数十分〜数時間の努力がパーなのもRPGとしては痛いです。

時間を掛けて経験値を稼がされる作りとの相性も悪く、せっかく変わった部屋も気軽に辿れない点が実に惜しいです。

しかし、その様なマイナス面を考えても、裏イシターは「表イシター(注6Ce)」と違った魅力に溢れている点に変わりは無いのです。

気兼ねなく敵を倒したい、正攻法でノーコンクリア出来てナンボ、という方には、むしろ裏イシターの方がオススメなのです。

↓あなたは何分でクリア出来るか!?
 

注釈一覧(専門用語を押して本文に移動)

(注6Aa)裏イシター:これまで解説してきた「イシターの復活」と異なるイシター。あくまでオマケである為か一切セーブできない。

(注6Ab)裏イシター:上記6Aaを参照。敵を倒すとマジックポイントの最大値が上がる。

(注6Ac)裏イシター:上記6Aa,6Abを参照。ある程度、成長すると弱い敵を倒してもマジックポイントの最大値が上がらなくなる。

(注6Ad)裏イシター:上記6Aa〜6Acを参照。全快できる部屋を拠点に、時間を掛けて経験値を稼がねばクリア不可。

(注6Ae)裏イシター:上記6Aa〜6Adを参照。結論として表がF2Pに近いなら、裏はコンシューマーRPGに近い作風と言える。

 

(注6Ba)ミュージアムモード:ポリゴンで作られた博物館を見学するモード。方向キーで移動、〇ボタンで調べる。

 

(注6Ca)表イシター:便宜上、本項ではオリジナルのイシターを「表」と呼称する。

(注6Cb)表イシター:上記6Caを参照。基本的に、一番右の魔法を1〜3回は使えるとされる。

(注6Cc)表イシター:上記6Ca,6Cbを参照。ちなみに表は最初のマジックポイントが7、体力が15なので3〜7倍。

(注6Cd)表イシター:上記6Ca〜6Ccを参照。最初から始めてエンディングとは、運にも大きく左右される過酷な試練。

(注6Ce)表イシター:上記6Ca〜6Cdを参照。最も、表からして100円で2時間も遊べたので大差ないのだが。

 

7/10 まとめ ★

「イシター(注7Aa)」は、水と油であったアーケードゲームとRPGのハイブリッドという、遠い未来を先取りした野心的なゲームです。

2つの方向キーで2体のキャラを操り、部屋を探索して鍵を取り、2分以内に次の部屋へ移る事が、ゲームの目的です。

邪魔な敵をシューティングゲームの様に火の玉で倒して経験値を稼いだり、多彩な魔法を駆使して、やり過ごしたりするのです。

ゲームオーバー後、短いパスワードコンティニューで全快し、かつ経験値を稼いだ分だけ成長します。

すると新しい魔法を覚えたり既存の魔法を多く使えたり、長く敵と交戦できる様になったりする等、単純ながら効果は絶大です。

全部で128ある部屋どうしの繋がりは極めて複雑であり、新しい部屋へ行く度に新鮮な感覚を味わえて常に飽きさせません。

つまり時間を掛けて探索や成長、そして新たな発見を繰り返していくRPGならではの魅力を、より身近な物としたのです。

↓まずはシューティングゲームさながら倒しまくって育てよう。
 

それほど野心的であるが故に、「イシター(注7Ab)」はゲーム的にも商業的にも多くの課題を残した点も事実です。

自力で進めるには余りにも難解で、かつ中盤からは敵を倒しに行き辛くなるフラストレーションが、プレイヤーを篩に掛けました。

何より100円で遊べる時間が2秒にも2時間にも変わり得る極端さは、アーケードゲームとして致命的と言わざるを得ません。

それでも短時間で満足できる山あり谷ありの展開、払った金額の多さと反比例して下がる難易度は未来への遺産となりました。

21世紀を過ぎた頃から今日に至るまで、イシターの魅力や課題が今日のアーケードゲームやF2Pへと活きる事となるのです。

2018年現在、イシターを遊ぶ最も現実的な手段は、VitaでPS1アーカイブスの「ナムコミュージアムVOL.4」を購入する事です。

忠実な復刻のみならず「裏イシター(注7Ba)」も追加され、かつVita本体のボタンコンフィグで快適に遊べる決定版なのです。

以上より、イシターは昔ながらのアーケードゲームとRPGが好きF2Pの原型を知りたい、という方にオススメです。

↓扉や鍵へ着色する魔法を覚えると、がぜん楽しくなる。
 

注釈一覧(専門用語を押して本文に移動)

(注7Aa)イシター:「イシターの復活」の略称。1986年稼働。本レビューで解説。

(注7Ab)イシター:上記7Aaを参照。先進的かつ美しい音楽や映像美もまた、未だファンの心を掴んで離さない。

 

(注7Ba)裏イシター:PS1版だけの新たなるイシター。オリジナルと比べ難解さを減らし、かつ敵を倒す爽快感を高めた。

 

8/10 思い出話

幼少期よりPS1のナムコミュージアムVOL.4で触れましたが、その時点の僕にとってイシターとは、ただのシューティングでした。

倒して死ぬ度に成長するのは分かっていましたが、当時の僕には全く持って猫に小判だったのです。

火の玉以外の魔法の効果など知らず、仮に知っても使い所が分からず、何よりマジックポイントを使いたくありませんでした。

挙句、火の玉が効かない敵ばかりとなり、同じ部屋をグルグル回らされて、あっさりとプレイを止めてしまいました。

一応、少しだけ付属のカンニングペーパーに部屋の繋がりをメモした事もありましたが、結局すぐ飽きました。

1度だけ僕がギル役で兄と遊んだ事もありますが、成長しないで下手に戦うと、すぐ死ぬので窮屈だった記憶があります。

始めては止め、始めては止め、の繰り返しを経て、まともにRPGとしてプレイするには実に22年もの年月が必要だったのです。

↓当時はギルでトドメを刺すのが、お得と思っていた。
 

22年後、すなわち今年になってプレイしようと思い立った切っ掛けは、皮肉にもWii版の販売終了です。

既に本体へのチャージが出来なくなった以上、Wiiバーチャルコンソールで買うゲームを慎重に考えざるを得なくなりました。

せっかく家にはV4静音と、売らずに取っておいたVSHGがあるので、PS3でもアーケード版に近い感覚でプレイ出来ます。

よって、Wii版を買わなくて良い様に、という邪な考えで本格的にイシターを始める事となったのです。

まずは攻略サイトで情報収集した結果、あまりの情報量の多さに僕はカルチャーショックを受けました。

シーステータスで残り時間を表示すべし、スライム等をスリープで眠らせるべし、プロテクションを使いまくるべし、その他もろもろ。

これら最初の魔法が、こんなに大事だったとは。もちろんギルが、お留守番となった点は、わざわざ言うまでもありませんね。

オススメのルートも確認しながらレッツスタート♪先に攻略なんか見て楽しいかって?すっごく楽しいですとも!

↓ちょうど横の取っ手部分がミラクルフィット。
 

常にスマホを手元に置いてプレイした所、ちゃんと部屋を進んでいる事に感動した物です。それまで延々と彷徨いましたからねぇ。

ただ、物凄く丁寧な攻略ゆえに、あまり経験値を稼がぬまま先へ先へと進む事が出来てしまっていたのです。

それで80部屋め辺りから泣きを見始める様になり、1回のコンティニューで1部屋でも進めば上出来、という体たらくとなりました。

中でも最も辛かったのは121部屋めです。ただでさえローパーが、うじゃうじゃ居て苦しいのに扉も行き先もランダムと来た。

経験値が足りず攻略で紹介された魔法を使えず、死ぬ思いで入った部屋がハズレ、というのが何度も続き心が折れかけました。

挙句、攻略でも121部屋めは避けよう、と書いてあるのです。オイオイ勧めたのは、そっちじゃあないかよォオオオ〜〜〜〜〜ッ!!

辛くも運よく当たりの部屋へ移れてからは、バグ技でクリアしましたが、それでも脱出と同時に死んでしまったのでした。

結局、イシター様も同伴のエンディングを迎える事となりました。100回くらいコンティニューしたので感動しましたねぇ。

↓必要な魔法さえ揃っていれば楽、という点を買われての選出か。
 

お次は強くてニューゲームみたく最短ルートのクリアを目指し、30回くらいのコンティニューで達成しました。

最短ルートは難しい点や、まだ全ての魔法すら覚えていなかった点を考えると、最初の3割なので健闘した方だと思っています。

このルートで最も辛かったのは125部屋めです。ここがレビューで触れた、1秒で7回もカーソルを動かされる部屋です。

具体的には、Bボタン押しながらギルを右に向けると同時に1P側で7回右に入力しAボタン、これを1秒で行えねば即死です。

前の部屋で魔法をスタンバイすれば良いのですが、コンティニュー時は、それすら出来ないのです。

躊躇したまま死、右を入力し過ぎて別の魔法が暴発して死、ギルを右へ動かし過ぎて死と、冒頭で15回くらい死にましたね。

ほんと、スペランカーもビックリの死にゲー、格ゲーもビックリの回転率ですよ。よく、こんなのを業務用の製品として出せたな、と。

とは言え純正パッドやVitaなら比較的ラクですし、慣れれば1秒で勝負が決まる刹那的な緊張感が心地よい点も事実ですがね。

↓冒頭を抜けても難しく、ヒートボディする度にギルが弱くなって泣きっ面に蜂。
 

それからもプレイを重ねて必要な魔法を2つ覚え、116部屋めで、ひたすら経験値稼ぎに興じました。

やればやる程、カイが魔法を覚えまくり、ギルの体力が増えまくりで、今まで感じた事の無い手ごたえがあって楽しく感じました。

加えて、「魔法を覚える=マジックポイントが増える」なので成長する度に、どんどん効率よく成長しまくれる好循環が最高です。

攻略によると、1回の作業でマジックポイントが300、体力が70増えるそうです。数字は、ともかく体感的には凄いですよ。

マジックポイントが16000を超えて全ての魔法を覚えてからは経験値稼ぎにも飽き、桁あふれを利用したバグ技で最強にしました。

なお、2つあるらしいバグ技のうちPS1版で成功したのは、46部屋めの方だけでした。何にせよ疑問も解けて晴れ晴れです。

これで遂に、噂のゲーセン泣かせのプレイが出来る…と思いきや、変に魔法をケチって数分で死にがちでした。

全ての部屋を巡る動画を観て、大きなバリアを張る事を意識してから、1時間くらいは粘れる様になって噂を実感しました。

↓ついでに正攻法でも127部屋めをクリアしたった。
 

表イシターが一段落ついた頃に、いよいよ裏イシターに挑戦しましたが、パスワードコンティニューが無いのが辛かったです。

それと前後してVitaならボタンコンフィグで快適に操作できる事を知り、Vita本体とアーカイブスのPS1版を新たに購入しました。

初めこそ小さすぎる左右のスティックに苦戦しましたが、徐々に慣れてくるとジョイスティック並に快適となりました。

例によって別の攻略サイトを参照し、10回くらい挑戦してクリアしました。初回はマジックポイント10000超えで1時間かかりました。

後に動画で、より効率的な進め方を知った事もあり、マジックポイント4500くらいで31分まで縮めるに至りました。

その上で書きますが、やっぱりパスワードコンティニューが欲しかったですね。ゲームオーバーに怯えながらの探索は辛いです。

それと、わざわざ特定の部屋まで戻らねばマジックポイントを回復できない点も、探索の大きな足かせとなっているのです。

特に引き返せなくなる序盤の部屋の探索が輪を掛けて困難なのが頂けません。裏イシターを探索し切った方は居るのでしょうか。

↓表と違って部屋ロックしてねェじゃん!?
 

本格的に始めてから特定ルートのクリア、経験値稼ぎ、そして裏イシターと、実に濃密な1ヵ月を過ごしてきました。

わざわざVitaまで買った上で思った事は、M2STGとしてイシターを復刻して欲しい!これに尽きます。

個人的には、イシターほどM2STGとの相性が抜群なゲームも珍しいんじゃないか、と思います。弾を撃つゲームですし。

もともとイシターは遠い未来を先取りした偉大なゲームですが、その魅力を理解するには余りにも難解でした。

一方、攻略サイトを見ながらでは、ながらプレイが辛く探索の楽しみが少しだけ削がれてしまいます。

それでも正確な情報が分からない点や、使えない魔法が多すぎて必要な魔法を使うのに時間が掛かる点は改善できません。

加えて、Windows版はプレミア化し、Vita本体は末期で先行きが暗い等、イシターをプレイする事が徐々に難しくなってきています。

ある意味、一周回って現代的となったと言えなくもないイシターを現代に蘇らせる事は、大いに意義のある事だと思うのですよ。

↓たまには適当に、さまようのも楽しい。
 

そこで僕は、M2STGとして2018年版のイシターを作って頂く事を望みます。無論いつもの3996円で構いません。

まずマジックポイントやバリアの耐久力、敵の体力、そしてギルの状態変化など、隠された情報の明示を行うのは当然ですね。

続いてマップが欲しいです。スクロールさせた箇所から塗り潰されていくタイプなら、快適さと探索の楽しみを両立できるかと。

加えてクリアを助けるナビもあると良いですね。例えば、オススメ部屋の鍵を取った時や扉を開けた時に、目印が出るとか。

入った部屋で使うべき魔法を教えるとか、そんなナビがあれば、順調にイシターへの理解が進むのでは無いでしょうか。

そして1ボタンで任意の魔法を使いたいです。例えば、L1でコールギル、R1でプロテクション、L2でスリープ、R2でヒートボディとか。

そんな風に登録して即座に使えたら、例の125部屋めも使えない魔法に悩まされず簡単にクリアできて最高じゃあないですか。

他にも初心者向けモードや裏イシターのリメイク、そして豊富な、やり込み要素など、考える度にワクワクしませんか?

↓参考までに過去のM2ショットトリガーズを。余白にM2ガジェットで超快適。
 

実に20年くらいぶりに2人で遊ぶ機会にも恵まれました。当然ながら、今度は僕がカイ役です。

お相手は、ぐわんげのレビューで世話になった、全然ゲームしない人ですが、ぐわんげの時よりかは好印象だったと思います。

当然ながら2人とも最強でスタートし、必死のアシストの甲斐あって最短ルートで終盤まで辿り着けました。

特に2回目はルートを見直し、かつ積極的にヒートボディで敵を倒してもらうよう意識した事で、より楽しんで頂けた様子でした。

僕自身も、1人で黙々とプレイしていた時では決して味わえなかった充実感があって、とても良い経験をさせて頂いた物です。

2人とも最強という条件つきですが、やはり遠藤雅伸さんの狙い通り2人で遊ぶのが楽しいゲームでもある、と実感しました。

それで思ったのですが、2人で遊ぶ時はカイ役の性格がモロに出るプレイになりそうな気がします。

具体的には、なるだけギル役を立てるか、それとも1人と同じ様に遊ぶか、ですね。果たして貴方は、どちらでしょうか?

↓ヒートボディで倒しまくるギルが頼もしく感じた。
 

 

9/10 こちらもあわせてどうぞ

・ナムコミュージアムVOL.4

イシターを始め、未だ復刻に恵まれない80年代半ばから後半のナムコのアーケードゲームを収録したPS1ソフトです。

・ドルアーガの塔

イシターの前作です。RPGの様に謎を解いて宝箱を取り、成長して進んでいく野心的なスタイルは、この頃より健在でした。

・トバルNo.1

鳥山明がキャラを描いたスクウェアの3D格ゲーです。本編と別に、戦闘が格ゲーで裏イシターと似通った作風のモードもあります。

・VGF掲示板

検索等で来て頂いたついでに、ご意見ご感想などを残して頂けると嬉しいですが、事前に三か条を一読ください。

 

10/10 最後に

今回より、星4つの精通度の表記を、より頭の中で考えていた意図に沿った内容へと変更しました。

以前の通り「本作以外のARPGに精通」では、ARPG以外のゲームに詳しくない人も対象と誤解される恐れがある為です。

それで注釈も可能な限り絞り込んだつもりでしたが、思いのほか検索して一発で意味が理解できない単語が多く苦労しました。

基本的に知名度より検索結果を優先して注釈すべき単語を決めましたが、時期によって結果が変化した物もあって困りました。

ただRPGやゲーム等、キリが無さ過ぎて例外的に注釈しなかった物もあり、未だ注釈を巡る悩みは尽きません。

それでも、もし対象とする精通度に満たない方でも付いて来られる余地を残すのが、ウチのポリシーなので仕方ないですね。

それらを除けば個人的に納得の出来です。特に、ここまで裏イシターをレビューしたのはウチくらいでしょう。

ある意味M2STGとして復刻して、と書く為だけに、このレビューを作った様なものですが、さすがに思い出話に留めました。

 

第1回ロケテストもどき後、残った2つの課題に大きく手を加えて一応の解決を試みました。

まずイシターはRPGを身近にしたのか難解なのか、という点は、前提となる1/10の一文を書き換える事で対処しました。

そもそも身近にしたのはRPGの楽しさであって、自力で進められるかは別と考えれば矛盾しない、との結論に至りました。

文章量が足りずクオリティに不満の残った7/10に至っては、思い切って文章を倍増させて納得のいくクオリティを実現しました。

余談ですが、当初は先に7/10を書く予定でしたが無理でした。ましてイシターなら、なおさら何時も通り順番に書くべきでしたね。

トバルへのリンク追加は当日に行った筈が、肝心のアップロードを忘れておりました。申し訳ございません。

2019/10/07 「トバルNo.1」へのリンクを追加

2018/08/15 正式公開

2018/07/30〜31 第1回ロケテストもどき実施

 

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