リアルアーケードPro.V4サイレント隼
本レビューで対象とする精通度:★★★★★
(本サイト、及び、本作を含む各ジョイスティックに精通)
所要時間:約3分(最低限) or 約8分(たっぷり) or 約13分(全て)
「リアルアーケードPro.V4サイレント隼(以下「V4静音」)」は、ホリが2014年に発売したPS4・PS3両対応ジョイスティックです。
当初はamazon専売でしたが、後にミッドナイトブルーに変更した上で一般販売も行われました。
通常モデルのV4隼との違いは、合計14dB分の静音化を果たした独自パーツ、青のカラーリング、そして約4000円高い値段です。
もちろん売りは静音パーツです。従来のスティックは操作音がガチャガチャうるさく、深夜帯に使うなど夢のまた夢でした。
そこで静音パーツの搭載によりキャッチコピー通り、深夜帯でも気兼ねなく使えるようになっています。
一方、静音化により操作感覚もV4隼を初めとする従来のスティックとは大きく異なる点にも注意が必要です。
↓コンセプトに則った、クールなカラーリングが特徴。
目次
最低限の文章で済ませたい方には「★」の項目のみ、たっぷり読みたい方には「☆」の項目も追加で読んで頂ければ幸いです。
それらを読んでもなお飽き足らないのであれば、末尾が空欄の項目も是非読んで下さい。
目次より先に読んで頂いた項目です。
これまでの業務用パーツの、いずれとも異なる操作性について解説します。
RAP V3SAから6年以上も連綿と続く取り回しの楽さについて解説します。
これまでの解説を踏まえ、RAP V4サイレント隼の良さ、及び、どんな方に向いているかを解説します。
文字通り、RAP V4サイレント隼に関する、個人的な思い出話です。
本ページと何かしらの関連性や共通点を持つコンテンツを3つ紹介します。あと掲示板もどうぞ。
本ページについての、あとがきです。
V4隼のレバーの操作性は、店頭で少しだけ触った限りでは、三和とセイミツの中間的な感じであった、と記憶しています。
三和の操作性は「軽い、深い、柔らかい」の三拍子であり、近代的な格闘ゲームと相性が良い、とされています。
セイミツはその逆であり、クラシックな格闘ゲームやシューティング、そしてパズルに向いているそうです。
つまり、V4隼はあらゆるジャンルに対応できるよう、両者の良いとこ取りをした操作性を持っている、と思われます。
↓ちなみに、セイミツ搭載のスティックは超レア(「RAP EX SE」より)。
一方、V4静音は「隼」の静音版と銘打たれているにも関わらず、操作性はV4隼とは全く異なります。
どちらかといえば、三和の特徴をより際立たせたような感じですが、その手触りは三和とも異なる独特なものです。
何故なら、従来のマイクロスイッチから、静音化のためセンサータイプへと変更されているためです。
マイクロスイッチにはレバー入力の度に独特の重みと共にカチカチと音が鳴る、という特徴があります。
そのため、きちんと入力できているかは、その重みや音で簡単に判断できます。
しかしセンサータイプには重みも音もないため、従来と同じ感覚で力強く入力すると、勢い余って誤操作しがちです。
また、それ故に弾くように入力すると、その反動で逆方向へ一瞬入力されてしまう現象も従来以上に多発します。
つまり、V4静音は従来以上に正確なレバー入力を要求されるスティックなのです。
↓どこまで倒せば入力したことになるか、体で覚えるしかない。
このように、V4静音は人によっては馴染めない可能性もあります。現に細かい操作を求められるシューティングには不向きです。
一方で、素早いレバー入力を従来よりも少ない力で簡単に行える、というセンサータイプならではの強みもあります。
とりわけ格闘ゲームはキャンセル技などで、素早いレバー入力を求められるジャンルの筆頭です。
そのため、手に馴染ませられれば、格ゲーでは従来以上に思うが儘に動かせるようになる可能性を秘めているのです。
また、レバーやボタンをガチャガチャ、バチバチと喧しく操作するジャンルの筆頭であるのも格ゲーです。
以上より、V4静音は格ゲーのプレイにおいて真価を発揮するスティックである、といえましょう。
↓尚、ボタンのストロークは極めて浅いが慣れれば問題なし。
パーツを除けば、スティックの外見のベースや特徴などは2009年発売のV3SAを踏襲している、とのことです。
V3SAから続く特徴は3点あります。
第1の特徴は、タイトーの液晶筐体「ビュウリックス」を元にした設計です。
ビュウリックスは手元に傾斜がある点と、左から2列目以降のボタンが平行に並んでいる点が特徴です。
後者はともかく、前者によって使いやすさを損なうことなく、旧RAPよりも一回りサイズを小さくする事に成功している点は見事です。
↓V4静音の箱に乗せれば高さもビュウリックス以上にフィットするはず。
第2の特徴は、左右の取っ手の追加と軽量化です。
旧RAPには取っ手がない上に2.6kgもあるため持ち運びが非常に辛いものでした。
しかし、V3SAからは取っ手が加わり、かつ400g軽くなったため、旧RAPと比較にならないほど楽々と持ち運びが出来ます。
もちろん、軽くなったからといって、安定性が落ちている、等ということは全くありません。
余談ですが、箱にも手提げがあるため、別の部屋へ移すのも楽ちんです。
↓この快適さを知ったら、もう旧RAPには戻れない。
最後に、コード収納スペースの追加です。
旧RAPでは新品に付いてくる、コードを結ぶ紐のようなものがないと、コードが鬱陶しくて仕方ありません。
それに対してV3SAからは紐がなくてもコードを収納してスッキリさせられるため、より片付けが楽になりました。
↓使う時でも必要な長さだけ出せばスッキリ。
以上より、V3SAからは程良くサイズが軽く小さくなり、格段に取り回しが楽になりました。
それでいて、RAPの売りであるアーケード感覚は損なわれていないのです。
その分、値段は旧RAPから3000円以上も高くなりましたが、取り回しの楽さを考えれば十分納得でしょう。
ちなみに、最近発売された新型の「V隼」は更なる改良がされた一方で、サブボタン等が側面という押し辛そうな位置になりました。
なので型落ちといえどV4の利点はまだありますが、プレミアが付いているので無理してV4を買うほどでもないでしょう。
↓サブボタンと各種スイッチ。PS3への切り替えは右端のスイッチで行う。
V4静音は従来のスティックが抱えていた難点である、操作音の煩さを大きく解消したスティックです。
ただ、その代償としてV4隼より4000円も高い上に、V4隼を初めとする従来のスティックとは操作性が大きく変化してしまっています。
具体的にはレバーが極端に軽く、深く、柔らかくなり、カチカチ音もなくなったため、シューティングには向かないスティックです。
一方で、素早いレバー入力を求められる格ゲーとの相性は抜群です。
何故なら、慣れれば従来より扱いやすくなる可能性がある他、最も静音化の恩恵にあずかるジャンルの筆頭であるためです。
静音化を抜きにしても、V3SAから受け継がれてきた取り回しの楽さは健在です。
また、プレミアこそ付いているものの、サブボタン等が押しやすい位置にある等、新型のV隼にない利点もあります。
以上より、V4静音はPS3とPS4の格ゲーを静かにプレイしたい、側面のサブは絶対イヤ、という方にオススメのスティックです。
↓V4隼が売ってないから、という理由で買うのは要注意。
僕は長年RAPのVシリーズには、あまり興味はありませんでした。
何故なら、1万円以上もする上に、既に360用のRAPを持っている手前、2台もデカブツを抱える余裕がなかったためです。
さらに、PS3用としてもVSHGで間に合っていたため、あえてVシリーズを買う必要性を感じずにいました。
↓さすがに、このサイズを2台持つのは抵抗があった…。
ただし、それは「アーケード版」のグラディウスがPS4で出る、という第一報を聞くまでの話です。
ちょうどVSHGのボタンの効きが本格的に悪くなってきたため、グラディウスが出てからPS4本体と一緒に買う、と決めました。
どれくらい決めていたかというと、わざわざ親に宣言したほどです。ちなみに親はそれを聞いて呆れていました。
なお、買うつもりだったのはV4隼です。V4静音は高いし、静音化したから何だ、という感じでアウトオブ眼中でした。
ただ、グラディウスが出るのは何時か分からなかった上に、訳あって何時でも買いに行ける状況ではありませんでした。
そのため、結局買いに出掛けるには、グラディウスが出てから3日も待たなければならなかったのです。
余談ですが、ブレイブルー対応スティックが出るまで待つことも考えました。しかし、やはり3か月も待つことは無理でした。
で、そちらは1万円もする割に中身は安物、と評判が悪いので、やっぱり待たなくてよかった、と胸を撫で下ろしたものです。
↓ビュウリックス配置には右端2ボタンをもう少し下げて欲しかった。
閑話休題。親から車を借りて意気揚々といまじんへ出掛けましたが、そこで改めて決して甘くない現実を直視したのです。
PS4やV4静音は売っているものの、肝心のV4隼が売っていません。ほんの数日前まで普通に売っていたのに!
急きょ、もう一つ扱っていた店であるゲオへすっ飛んで行きました。
そこへ行く前後、駐車場への道を間違えたり、交差点でUターンして事故りかけたりと、ヒヤリとさせられる場面にも遭遇しました。
しかし、V4隼はそんな苦労を嘲笑うかのように、とっくにゲオからも姿を消していたのです。
時計を見ると、もう21:30。あと30分で、いまじんも店じまいで、このままではグラディウスを遊ぶチャンスがパーです。
ちょっと高くつくがV4静音で妥協するか?PS4だけ買って後でV4隼を探すか?いっそ諦めるか?
悩んだ末、V4静音で妥協することにして、再びいまじんへ車を飛ばして、実に6万円超えもの大金をレジへ渡しました。
覚悟はしていましたが、これだけの金額を一度に支払った経験はなかったため、かなりの「やっちまった」感がありました。
こうして帰路に着くと、親が出迎えてくれました。「ホントに買ってきたんだ…」と言わんばかりの涙目を浮かべながら。
↓思ったより小さいとはいえ、両手に持つとやはり重いツーショット。
親が寝静まってからV4静音でグラディウスをプレイすると、画面に映るビックバイパーは酔っ払いのようにフラフラしていました。
レバーがふにゃふにゃで、まともに動かせないのです。ここで、改めて「やっちまった」と思いました。
それでも一番安いファイティングスティックmini3とは違って、慣れで何とか出来るレベルであったのは救いでしたが。
何より、鉄拳などの格ゲーなら違和感は殆どなかったので、そういうスティックなんだ、と納得することにしました。
後にGGXrdを買ってきたこともあり、翌日が休みの時に夜な夜な格ゲーをプレイする習慣が付いたものです。
今までは深夜に格ゲーなどプレイすると怒られたものですが、V4静音なら格ゲーに熱中しても1度も怒られませんでした。
それでV4静音の静音パワーの凄さを知って、ようやく元が取れたかな、と思いました。
2回も「やっちまった」と書きましたが、今後もPS4はもちろんPS3でもメインで使っていく予定です。
↓箱に仕舞う時も、こんな感じで良いので楽ちん。
PS4初の2D格ゲーです。もちろんV4静音との相性は言わずもがな、です。
・Mr.五右衛門
グラディウスに先んじて配信中の古典アクションゲームです。レバーをガチャガチャする必要があるため、V4静音に向いています。
セイミツ工業製のレバーとボタンを搭載したXbox360専用スティックです。V4静音と真逆の操作性が特徴です。
検索等で来て頂いたついでに、ご意見ご感想などを残して頂けると嬉しいですが、事前に三か条を一読ください。
必殺2捕獲術から実に10か月ぶりの「その他レビュー」です。ゲー募録が追い付いてから初めて作ったコンテンツでもあります。
今までと違ってゲー募録で時間稼ぎが出来ない不安材料はありましたが、結局1週間ほどでスムーズに書き上げられました。
初めは、一時話題になっていたであろう、「PS4でPS3コントローラを使えるパッチの構想」を元にした文章を盛り込む予定でした。
具体的には、V4静音を買う値段でアーケードアーカイブスを20本以上買える、だからパッチを実現して欲しい、等といった感じで。
ところが、レビュー制作時には、その記事を見つけられなかった上に、V4静音とも無関係なので断念しました。
また、V4静音の略称も「V4S」としていましたが、V3SAと似ていて紛らわしい上に、検索にヒットしないので全て書き直しました。
その際、スペースの都合で1文だけ文章を少し削る必要がありましたが、お蔭でより分かりやすくなったかと思われます。
数日遅れで RAP EX SEのリンク追加に合わせて、冒頭の配置を変え縦画面デバイスで画像サイズが拡大するよう更新しました。
2020/12/17 「リアルアーケードPro.EX SE」へのリンクを追加
2015/06/18 「PS4版ギルティギアイグザード サイン」へのリンクを追加
2015/05/13 初公開