ダライアス

メーカータイトー
対応機種プレイステーション4ほか
ジャンル横スクロールシューティング

 

 

 

 

1/10 巨大な何かが動き始めた

時は1987年、3Dでないシューティングは数々の名作を輩出する一方、ある悩みを抱えていました。

その悩みとは、前年から台頭した大掛かりな体感ゲームほどの臨場感や没入感を得られない点です。

体感ゲームは大画面、操縦桿やハンドルといった専用の操作デバイス、そして揺れる座席の三拍子を兼ね備えていました。

それはつまり、従来の小さなテーブル筐体とは一線を画す感動の渦にプレイヤーを包んだ事を意味します。

一方で、3Dでないシューティングは原則としてテーブル筐体でしか遊べず、当時のシューティングファンは業を煮やした事でしょう。

そんな中、体感ゲームと3Dでないシューティングのハイブリッドが電撃発表されました。

12:3の超横長画面とボディソニックによる臨場感や没入感で、ようやくシューティングファンも感動の渦に包まれる事となるのです。

そのゲームこそ、タイトーがアーケードで発売した横スクロールシューティングのシリーズ第1弾「ダライアス」です。

↓3画面という超横長画面を活かしたスタイリッシュな機体図。
 

 

目次

最低限ここだけでも読んで頂きたい項目には「★」、出来れば合わせて読んで頂きたい項目には「☆」が付いています。

それらを読んでもなお飽き足らないのであれば、末尾が空欄の項目も是非読んで下さい。

1.巨大な何かが動き始めた

ダライアスの概要、並びに体感ゲームと比べたシューティングの弱点を解説します。

2.3画面の侘び寂び ★

3画面による12:3という規格外な画面比率がダライアスの作風に与えた影響を解説します。

3.奥深さを増すルート分岐 ★

ダライアスのルート分岐による恩恵を解説します。

4.悲喜交々のパワーアップ ★

正攻法にしろ、そうでないにしろ、一長一短なパワーアップの方針について考察します。

5.エキストラバージョンの功罪 ☆

初期バージョンからの変更点、並びに、その意図を考察します。

6.PS4版について ☆

PS4版の特徴を解説します。

7.まとめ ★

これまでの解説から、ダライアスがどんなゲームで、どんな良さがあって、どんな方に向いているかを解説します。

8.思い出話

文字通り、ダライアスに関する、個人的な思い出話です。

9.こちらもあわせてどうぞ

本ページと何かしらの関連性や共通点を持つコンテンツを3つ紹介します。あと掲示板もどうぞ。

10.最後に

本ページについての、あとがきです。

 

2/10 3画面の侘び寂び ★

初代 ダライアスが3画面、つまり12:3という横長の画面比率を採用した点による作風への影響は3種類あります。

第1の影響は、連射と射撃の両立です。

シューティングは1発に命を賭けた精密な射撃から、派手な攻撃による爽快感を追求する作風へと変わりつつありました。

その一方で昔ながらの射的ゲーム、もしくは連射と射撃を両立したシューティングは減少傾向で、マニア化の兆しもあったのです。

そこで、初代ダライアスでは3画面とする事で、昔ながらの連射と射撃を両立した作風を取り戻したのです。

これまでのシューティングのように連射が出来るからと言って、考えもなしに後ろで乱射していては甚大な隙を晒します。

そのため、1発ずつの精密な射撃、遅めの連射で隙の軽減、もしくは最前線で超連射、といった戦術が求められるのです。

場面ごとに的確な場所取りをし、乱射を控え的確な攻撃で敵を倒していく様からは、昔ながらの奥深さを感じられる事でしょう。

↓1面からして正確に撃つか逃げるかの選択を迫られる。
 

第2の影響は、敵の攻撃の激化です。

派手さの追求とは、すなわち自機のみならず敵の攻撃までも激しくなる事を意味します。

ただ、当時の腕前のプレイヤーを篩に掛ける事なく更に敵の攻撃を激化させるには、画面の狭さ故の限界があったはずです。

そこで、初代ダライアスでは3画面とする事で、プレイヤーを篩に掛ける事なく敵の攻撃を激化させるに至ったのです。

放っておくと遠慮なく張られる、当時としては驚異的な量や速さの弾幕は、3画面だからこそ受け入れられた面もあったはずです。

そんな弾幕も、遠くからなら辛うじて避けられるし、先んじて弾幕を潰すための場所取りの戦略性にも繋がっています。

何より、遠くから激しい攻撃を繰り出すボスが徐々に迫ってくる重量感や焦燥感も、3画面であってこそ、なのです。

以後、プレイヤーの腕前の向上に合わせ、3画面でなくなっても激しい攻撃が定着し、プレイヤーを熱くさせる事となるのです。

↓下がれば下がるほど追い詰められる悪循環を脱せよ!
 

最後に、後ろからの不意打ちの理不尽さの軽減です。

シューティングでは、時に後ろから敵が現れて不意を突かれる事もあります。

これにより、前からばかり敵が現れる単調さにメリハリがつくとは言え、慣れないうちは突然死させられて理不尽な嫌いもありました。

そこで、初代ダライアスでは3画面とする事で、後ろからの不意打ちの理不尽さの軽減を図ったのです。

こちらの攻撃の隙を減らすためにも、前に出ている事が多く、後ろから敵が来ても距離は大きく離れています。

そのため、他のシューティングと比べて冷静に対処しやすい分、理不尽さが無くなり素直にメリハリを楽しむ事が出来るのです。

まして、パワーアップすれば対地ボムを前だけでなく後ろにも上下に撃てるため、鬼に金棒です。

不意打ちの対処にまで奥深さや快感を味わえるシューティングにおいて、初代ダライアスの右に出るものは稀でしょう。

↓無視するも良し、対地ボムで迎撃するも良し。
 

以上より、初代ダライアスは3画面とする事で、連射と射撃の両立を始めとして、奥が深い作風となったのです。

また、広い空間ゆえに敵の激しい攻撃も、後ろからの不意打ちも受け入れられるだけの度量が、初代ダライアスにはあります。

一方で、良さが分かるのに時間が掛かるタイプである点は否めず、地味だの無駄に広いだけだのと言われる事もあります。

事実、ダライアスシリーズは続編リリースを重ねる度に画面数が減り、分かり易い派手な作風を追求する傾向にあります。

その点からも、初代ダライアスの3画面と、それによる作風が必ずしも諸手を挙げて喜ばれた訳では無かった事が伺えます。

それでも、初代ダライアスの奥深さは3画面なくして有り得ず、最も昔ながらの侘び寂びを感じさせる一品でもあるのです。

↓単純な攻撃ながら弾速に驚くこと請け合い。
 

 

3/10 奥深さを増すルート分岐 ★

初代に限らず ダライアスシリーズの大きな特徴の一つに、2面以降のルート分岐があります。

これは、ボス撃破後に自機を上下のいずれかに移動させる事で、次のステージを2通りから選べるシステムです。

これにより、クリアすべき面数は7ですが、樹形図のように広がる分岐により、実に26ものステージが用意されているのです。

このルート分岐の恩恵は2種類あります。

第1の恩恵は、繰り返しプレイの促進です。

今日に至るまで大半のシューティングには、集中力的に繰り返しのプレイが辛い、という致命的な問題点があります。

何故なら、 毎回1から同じ順番で同じように長々と難易度の高いステージが展開されるためです。

そのため1回のプレイで甚大な集中力を消耗してしまい、その上で繰り返しプレイするには余りに飽きやすく単調な作りでした。

この点はゲーセンにとっても死活問題であり、客が上達する度に1人あたりの消費金額、つまりゲーセンの儲けが減っていくのです。

そこで、ダライアスではルート分岐を導入する事で、繰り返しプレイの促進を図ったのです。

ルートを変えれば風景も音楽も展開も違ったステージを楽しめるし、上達すればするほど通れるルートが増えていきます。

さらに、ステージごとにパワーアップの度合いが異なるため、ルートが異なれば同じステージでも異なった攻略を求められるのです。

それに伴い、目標とする最終ステージに合わせて適切なルートを決めて辿っていく計画性も大事となります。

このように、ルート分岐によって飽きやすさや単調さが改善され、1人あたりの消費金額も倍以上に増えていったのです。

↓ボスを倒すと分岐点に。優柔不断や油断には死あるのみ。
 

第2の恩恵は、幅広い難易度です。

シューティングにおいても難易度の設定は、ゲームとしての品質をも左右し兼ねない重要な要素です。

易し過ぎれば直ぐクリアされ、逆に難し過ぎれば直ぐ諦められます。その結果、共通して短期間で飽きられてしまいます。

それぞれ初心者向け、マニア向け、と評されるかも知れませんが、いずれにしろ客付きが悪く商売にならない点は明白です。

もちろん万人にとって適切な難易度、それも一見クリア出来そうで出来ず、再挑戦したくなる難しさを提供できるのが一番です。

ただ、一人一人の腕前がピンキリである以上、限られたステージ数や順番で、それを実現するには限界がありました。

そこで、ダライアスではルート分岐を導入する事で、万人にとって適切となる幅広い難易度を提供するに至ったのです。

ルートやステージが異なれば難易度も大きく異なるため、自分の腕前に合ったルートを選べば適切な難易度で楽しめます。

難しいと感じたら易しいルートを選べば良いし、逆に易しいルートに飽きたら敢えて難しいルートに挑戦しても良いのです。

このように、ルート分岐によってピンキリの腕前に対応し、驚異的な客付きの良さを見せていったのです。

↓上へ行くと都市地帯へ。初心者にオススメだ。
 

以上より、ダライアスはルート分岐を導入する事で、幅広い難易度で繰り返し楽しめる奥の深い作風となったのです。

それはつまり、大半のシューティングが抱えがちな飽きやすさや単調さ、そして難しさといった問題点を解決した事を意味します。

特に初代ダライアスは導入コストや回転率が悪いにも関わらず、それを跳ね除ける程の利益をゲーセンにもたらしたのです。

以後、ゲーム業界はルート分岐に準じた要素を盛り込み、幅広い難易度で繰り返し楽しめる作風を追求する事となるのです。

↓下へ行くと山岳地帯へ。後々も含めて難しめでマニア向けだ。
 

 

4/10 悲喜交々のパワーアップ ★

3画面やルート分岐といった特異性こそあれど、初代ダライアスのルール自体は極めてオーソドックスです。

対空ショットと対地ボムで敵を撃ち、3色に分かれたパワーアップアイテムを取り続けて強化しつつ進んでいくのです。

ただし、ダライアスでは3種類の観点により当時としては珍しく、必ずしも死なずに取り続ける正攻法が最善とは限らないのです。

第1の観点は、赤の対地ショットです。

対地ショットは下記の3種類あり、赤を8つ取る度に(1)から(2)、(2)から(3)へと変化し、戻せなくなります。

(1)威力や連射性能に優れる「ミサイル」
(2)敵を貫通する「レーザー」
(3)敵と地形を貫通する広範囲の「ウェーブ」

このうちレーザーだけが威力も攻撃範囲も小さく非常に弱いために、安易にレーザーに育てると泣きを見る羽目となるのです。

なまじ敵を貫通するために道中では敵を撃ち漏らしがちで、ボス戦ではダメージを与え辛く長引きがちで、踏んだり蹴ったりです。

まして、ボス戦で長引くと他の敵の邪魔が入るため、ますます追い詰められます。死ぬと0段階に戻るので泣き面に蜂です。

総じて苦しいボス戦の中でも、際立って4面ボスとの相性が悪く、生半可な腕ではレーザーで倒す事など出来やしません。

そこで、俗に「ミサイル止め」と呼ばれる、赤を7つだけ取った状態のミサイルで進んでいく攻略法が考えられました。

これなら大抵の場面で高い威力や連射性能を活かし、十分に渡り合えます。天敵の4面ボスもミサイルの前ではザコ同然です。

赤が少ないステージは、むしろミサイル止めを維持し易く有利だし、大抵のルートでもクリアを狙える、まさに最強の攻略法…。

↓レーザーで倒すなら、まず連射しない事が大前提。
 

と言いたい所ですが、残念ながらミサイル止めには、地形に隠れた敵に弱く、死ぬと0段階に戻って絶望的、という短所があります。

そのため、入り組んだ地形のステージとの相性が悪く、そのステージを通るルートの制覇は困難です。

そうでなくても、中盤以降で死んではいけないプレッシャーにも襲われるため、ミサイル止めだけでは限界があるのでした。

かと言って、4面ボスをミサイル止めで倒してから赤を取っても、厳しい後半を貧弱なレーザーで戦わねばならず、極めて不利です。

よって、更なるステップアップを目指すなら、死なずにレーザーで4面ボスを倒す茨の道を避けられない訳です。

その上で4面まで赤が多い一番上のルートを通り、最後まで油断しなければ5面で念願のウェーブへと育てられるのです。

ウェーブなら地形に隠れた敵も一方的に広範囲に攻撃でき、0段階の時点で強いため、少なくとも道中では真の最強です。

気になるボス戦も瞬間火力こそミサイルに劣るものの、安全かつ安定してダメージを与えられる点を考えるとウェーブが勝ります。

このように、慣れないうちはミサイル止めが無難ですが、慣れればウェーブ狙いで攻略の幅が広がるのです。

ただ、ウェーブに育てるまでが極めて大変で、ルート次第では最後までウェーブに育てられない、という短所もあります。

よりによってウェーブが欲しいYステージに限って、どのルートでもウェーブが遅れがち、という矛盾もまた決断を難しくしています。

以上を踏まえ、ミサイル止めで行くかウェーブ狙いで行くかの決断もまた、初代ダライアスの奥深さを象徴しているのです。

↓ミサイル止めで入り組んだ地形に挑むと、哀れ蜂の巣に…。
 

第2の観点は、青のアームです。これは、自機の全体を守るバリアです。

8つ取る度に変化するのは赤と同じで、それに加えて下記の通り青1つにつき蓄積される耐久力も増えていくのです。

(1)アーム(緑):1
(2)スーパー(銀):2
(3)ハイパー(金):3

さらに、ふつう地形に激突すると死ぬ所、ハイパーなら弾かれるだけで済むようになるのです。

そのため、一見すると何も考えずに青を取り続けるのが最善かと思われます。事実、大半のルートでは、それが最善です。

ところが、ハイパーには弾かれた瞬間は無防備で、そのまま地形に激突すると即死、という重大な欠陥があるのです。

スーパーまでなら何ともない掠り具合でも、ハイパーでは過敏に弾かれてしまいます。

よって、ごく一部のルートで狭い地形を潜る際は、うかつにハイパーを張っていると即死のリスクが付き纏うのです。

かくしてハイパーが地形への激突死を防止どころか、助長してしまっている様は、何とも皮肉な話です。

そこで、わざとハイパーを剥がすかスーパーまでに抑えて安全に潜る、というミサイル止めさながらの攻略法が考えられました。

ただし、これでは、それなりに耐久力が落ちてしまうため、地形を潜れても激しい弾幕に耐え切れない恐れもあります。

以上を踏まえ、アームにおいても狭い地形に備えるか、それとも激しい弾幕に備えるかの決断を迫られるのです。

↓激突死の瞬間。なお、ここを潜った先にも激しい弾幕が…。
 

最後に、死んだ後の立て直しです。

初代 ダライアスで死ぬと、種類はそのままに0段階まで落ちた上で、一定エリアまで戻されるペナルティを受けます。

つまり、仮にレーザー7段階、あと1つ赤を取ればウェーブという状態で死ぬと、レーザー0段階まで逆戻りなのです。

こうなると立て直しが絶望的であるため、ウェーブに育てるまでは絶対に死んではいけない、というのが定説です。

ただ、戻された先でも、いくつかのパワーアップアイテムが手に入る点を逆手に取り、少しでも赤の成長を早める事も出来るのです。

具体的には、まず一番上もしくは一番下のルートで、レーザーまで育った直後に自爆します。

続いて、死なずに立て直しを成功させる事で、普段よりも赤を1つ多く取った状態で進めるようになるのです。

確かに、たった1つの違いです。5面まで一番上もしくは一番下のルートでなければ、ほとんど意味がありません。

そうでなくても立て直し自体が困難で、成功させてもアームの耐久力がガタ落ちして極めて不利です。

おまけに、一番下のルートで立て直しの途中で死ぬと1つも赤が得られなくなり、安物買いの銭失いの様相を呈す事となります。

それでも、一番上もしくは一番下のルートで何とか成功させれば、思っていた以上のメリットを実感できるはずです。

特に、一番下のルートではウェーブに育つのに6面まで掛かりがちな所、なんと5面で済むのです。

以上を踏まえ、少しでも早くウェーブに育てたいなら、甚大なリスクを負ってでも自爆する選択肢も、無くはないのです。

↓同じくスーパーの維持にも応用が利く。
 

以上より、初代ダライアスのパワーアップは、死なずに取り続けるにしろ取り続けないにしろ、実に一長一短なのです。

ミサイル止めは地形との相性やペナルティの弱点が大きく、ウェーブ狙いには相当の腕前や精神力を求められます。

アームに関しても、スーパーでは弾幕に弱く、ハイパーでは地形に弱く、いずれにしろ障害を避けられません。

他にも、様々な意味で甚大なリスクを負う事となりますが、死なないプレイに限界を感じたら、いっそ自爆する手もあるのです。

時に搦め手を突く戦法が有利とも成り得る奥深い作風は、正攻法ありきのシューティングに大きな衝撃を与える事となるのです。

↓ミサイル止め派よ、これがウェーブだ。
 

 

5/10 エキストラバージョンの功罪 ☆

初代 ダライアスには3つのバージョンがあります。

初期出荷版のOLD、後期出荷版のNEW、そして本項で紹介するエキストラが、そうです。

これまでの解説は全てNEWの話であり、OLDではボス戦におけるレーザーやウェーブの威力が非常に低い、との事です。

それはマズい、という事で調整を加えたNEWが作られましたが、まだまだウェーブに育てるには心細かったのでした。

そこで、アーケードゲーム雑誌「ゲーメスト」元編集長「石井ぜんじ」氏の意見を元に、更なる調整を加えたのがエキストラです。

↓氏は当時、全国一位のスコアを記録した強者だそうな。
 

調整箇所は多岐に渡りますが、特に作風に影響する調整が3種類あります。

第1の調整は、赤の出現数の増加です。

NEWまでは安定して5面でウェーブに育てるには、4面までは一番上のルートを通るしか選択肢がありませんでした。

ただし、そこからでは5つある最終ステージのうちYステージだけは、通る事が出来ないのです。

ならミサイル止めで、と言いたい所ですが、皮肉にもYステージは入り組んだ地形で最もミサイルとの相性が悪いのです。

よって、Yステージにこそ最もウェーブが欲しいのですが、その過程で5面でウェーブに育てるのは困難で、かなり苦労します。

その割には、ふざけた内容のエンディングで、かつNEWで一枚絵が表示されないチグハグぶりに、首を傾げざるを得ませんでした。

そこで、エキストラでは赤の出現数の増加により、Yステージを通るルートでもウェーブに育てられるよう改善するに至ったのです。

赤が少なかったステージでも多少は赤が増えたため、Yステージに限らず5面でウェーブに育てられるルートが増えています。

ついでに、Yステージのエンディングの一枚絵も表示されるため、安定してYステージを制覇したいならエキストラで決まりです。

↓腕やルート次第で、なんと4面でウェーブに!?
 

第2の調整は、ボス戦におけるレーザーやウェーブの威力の上昇です。

いくらウェーブに育て易くなったと言っても、天敵の4面ボスをレーザーまたはウェーブで倒せねば意味がありません。

そこで、ボス戦におけるレーザーやウェーブの威力の上昇により、4面ボスを倒し易くしたのです。

攻略法そのものは変わりませんが、NEWまでで求められた多大なる集中力や精神力が無くとも短時間で倒せるのです。

もちろん、他のボスに関しても同様で、大抵は邪魔が入る前に倒す事が出来ます。

よって、ウェーブに育てるまでの苦労の軽減、並びに、育てた後の見返りの向上という悲願を、エキストラで果たしたのです。

↓意外と苦しかった3面ボスも楽々。
 

最後に、敵の強化、及び、敵や敵弾を消滅させる「金アイテム」の激減による難化です。

赤の増加やウェーブ等の強化といった改善がされたエキストラですが、これだけでは易し過ぎるゲームと化してしまいます。

それとは別に、撃ち方によってはボス戦の前座部分の敵が直ぐ全滅してしまい、退屈さを感じる事もありました。

さらに、最終ボスを含む一部のボスには、ずっと俺のターンで秒殺できる盲点があり、知ってしまうと拍子抜けモノでした。

そこで、敵の強化、及び、敵や敵弾を消滅させる金アイテムの激減により、改善に対するバランスの維持を図ったのです。

具体的には、一部の地上兵器がガトリング砲さながら超連射し、かつ耐久力まで付いています。

加えてLステージを除き金アイテムまで激減したため、NEWまでとは異なりミサイル止めでは太刀打ち出来なくなってしまったのです。

ボス戦においても前座で殺され兼ねないほどアグレッシブとなり、かつ後半のボスほど攻撃が激化し、盲点も対策されています。

確かにウェーブ等で倒し易くなりましたが、だからと言ってNEWまでと同じ感覚で戦うと返り討ちに遭う危険性を孕んでいるのです。

この点は意見が分かれるかと思われますが、ダラダラせず歯応えが増したと好意的に捉えられる点もまた事実です。

↓近付かなくて良くなった…というか近付き様がない。
 

以上より、エキストラは良くも悪くもウェーブありきの分かり易いゲームへと変貌を遂げています。

NEWまでよりも最強のウェーブを堪能し易い反面、ウェーブに育てるしか選択肢が無くなり若干大味となった一面もあります。

それどころか、レーザーの性能そのものは変わらぬ点や敵の強化が災いして、序盤は難しくなっています。

4面ボスも倒し易くなったと言ってもNEWまでと比べての話であり、コツを掴むまでは難しい点に変わりはありません。

ハイパーの欠陥に関しても未改善なので、特にミサイル止めに拘る初心者には向かない嫌いは否めません。

それでも深く考えずにウェーブに育てたい、サクサク歯応えを堪能したい、という方には、エキストラはNEW以上にオススメなのです。

ともあれ、エキストラの反響を受けて各社は、同一タイトルの別バージョンを盛んにリリースして延命を試みる事となるのです。

↓一番下のルートでの自爆も、よりハイリスクハイリターンに。
 

 

6/10 PS4版の特徴 ☆

このように、初代ダライアスは連射と射撃の両立、繰り返し遊べるルート分岐、そして奥深いパワーアップが魅力です。

その上、15〜19インチのモニターが3つ並び、かつボディソニックやヘッドホン端子つきという、当時としては規格外な環境でした。

モニター1つ分の巨大な海洋生物ボス、素晴らしい音響にBGMがファンを虜とし、横STG御三家に数えられる存在となったのです。

そんな規格外な初代ダライアスであるが故に、長らく家庭用ゲーム機への完全な復刻は困難を極めていました。

何しろ、横の画素数が288×3=864もあり、プログレッシブ方式で横864を超えるゲーム機の発売はダライアスの約20年後なのです。

それでも、その時点ではシューティング冬の時代で、セールス面での懸念から初代ダライアスが出る事はありませんでした。

転機が訪れたのは更に10年後、くしくもダライアス30周年を目前に控えた2016年の事です。

同時期に復刻プロジェクト「アーケードアーカイブス」やダライアスシリーズ最新作が一定のセールスを記録していました。

その実績により初代ダライアスにも一定のセールスを見込まれ、晴れてアケアカとしてPS4で完全な復刻に至ったのです。

↓42インチ以上の液晶で筐体に迫る大きさに。
 

アケアカおなじみの中断セーブにランキング、スキャンラインに加え、筐体の雰囲気を再現する更なる設定が盛り込まれています。

具体的には、画面の位置や色味を任意にずらしたり、対応したアンプを接続してボディソニックを実現したり出来るのです。

アンプが無くとも、2Pコントローラの振動をONにして、お尻に添えれば、お手軽ボディソニックを堪能できる凝り様です。

これにより、筐体あっての初代ダライアスだ、という拘り派にも納得の環境を用意する事が出来る訳です。

それでいて、お値段据え置きの823円というサービスぶりの、正に初代ダライアスの決定版なのです。

↓アップデート後、それまでのアケアカ通り、ここでボタンごとにON・OFFに出来る様に。
 

一方、アップデートされる迄の1年間、2種類の課題を残していました。

ボタン押しっぱなしで連射できる「連射装置」の制約、及び、OLDの未収録が、そうでした。

前者について、ボタン毎に連射の設定が出来ず、全てのボタンに適用されてしまっていました。

連射装置をONにするとショットの隙を抑え辛く不利で、かといってOFFにすると自力での連射が辛く、やはり不利です。

それはつまり従来のアケアカから劣化し、実質的に連射装置つきコントローラが必須であった点を意味していたのです。

後者について、後にNEWが作られる程、OLDには問題のあるバージョンなので、あえて収録を見送ったと思われます。

それでも、それまでのアケアカでは需要はともかく、そうしたバージョンであっても可能な限りの収録をされてきました。

それを差し引いても、最初のバージョンで作風にも影響する違いのあるOLDが、長らく収録されなかった点は残念でした。

↓アップデート前は、エキストラでない方がNEWであった。
 

このように、PS4版は筐体の再現に注力する余り、それまでのアケアカで出来ていた事が疎かであった時期もありました。

個人的には、家庭用ゲームたるアケアカとして考えると、まず連射装置やOLDの方が先ではないのか、と感じずには居られません。

とは言え仮に、そちらを優先して筐体がらみの設定を省いた場合、「奴らは何も分かってない!」といった批判が続出したはずです。

また、アケアカファンの多くが連射装置つきコントローラを買っているであろう点を考えると、連射装置に拘っても仕方ありません。

そこで、連射装置やOLDを省いてでも筐体の再現を優先する英断に踏み切った結果、ファンから賞賛されるに至ったのです。

筐体への拘りやアンプが無くても、連射装置つきコントローラがあれば、まず初代ダライアスとして申し分ない決定版なのです。

余談ですが、連射装置やOLDは半年後に出たダライアス30周年BOXのディスク版には搭載され、細かな追加要素もあります。

更に半年後、ダウンロード版にも搭載され、より初代ダライアスの決定版としての位置付けを明確化する事となるのです。

↓画面のズレは、何通りものパターンから選択も可能。
 

 

7/10 まとめ ★

初代 ダライアスは、3種類の点において侘び寂びや奥深さを感じさせる作風が魅力的です。

第1に、3画面すなわち12:3という規格外な画面比率です。

これにより昔ながらの連射と射撃の両立に加え、理不尽さを感じさせず激しい弾幕や後方からの不意打ちを実現しました。

また、激しい攻撃を繰り出しつつ迫りくる海洋生物ボスは、プレイヤーにカリスマ性を植え付けました。

第2に、繰り返し楽しめるルート分岐です。

幅広い難易度にプレイの目標、そして目的地に合わせたルート選びの計画性などが、広く人気を博しました。

最後に、一長一短のパワーアップです。

程々に抑えるにもフルパワーを狙うにも一長一短であるため、ルートに合わせて様々な方針で楽しむ事が出来ます。

不完全で高難度化したとは言え深く考えずフルパワーを狙いたい、という方のためのエキストラバージョンも用意されています。

一方で作風には、無駄に広いだけで地味、との酷評も目立ち、続編以降は分かり易い派手さを追求されていった点は否めません。

それでも迫力ある筐体を抜きにしても、3画面ならではの場所取りの戦略性には、続編とはまた違った良さがある点も事実です。

PS4版は筐体の雰囲気を再現する設定が充実し、かつ連射装置に関する不備を直しOLDも収録した決定版です。

以上より、ダライアスは古風なシューティングをしたい色々な遊び方が出来る奥深いゲームをしたい、という方にオススメです。

↓筐体だけの凡作などと誰が決めたのか。
 

 

8/10 思い出話

僕がダライアスを知ったのは10年以上前、某サイトが切っ掛けです。それを機にダライアスに関する情報を仕入れてきました。

それとDBACの甲斐あって、5年前に土方のバイトをしていた際、先輩とダライアスの話で意気投合できた事もありました。

ただ、アーケード版をプレイする機会には恵まれず、実際に触れるのはPS4版まで待つ事となりました。

名高いブランドと裏腹に、初代ダライアスは凡作、との評判も少なくなかっただけに、PS4版から入るのは不安でした。

まあ仮にアーケード版に触れていたとしても、DBACを体験している以上あまり変わらなかったと思いますが。

事実、最初のうちは淡々としているわ難しいわ、あと仕方ないけど画面が小さいわで、あまり良い印象がありませんでした。

↓下手に退くと、長引いて逆に苦しい2面ボス。
 

大きく印象が変わったのは、ふと何気ないミサイル止めプレイで最終ボス「グレートシング」に出会えてしまった時からです。

何気なく一番上のルートを辿っていただけなので心の準備が出来ず、あえなく撃沈。ただ、これを機に大きな手応えを感じました。

今度は、ひとつ下のVステージを難なくクリアした事で、ようやく初代ダライアスの良さが分かったのです。

その後、どうしてもウェーブに育てたくなった僕は、中断セーブを駆使してレーザーで4面ボスの猛練習に励みました。

コツを知ってもなお苦戦しました。こんなの出来る訳ないだろう、と弱音を吐く事もありました。視界を遮るお日様にも苛立ちました。

困った所、あえて目押しでなく常にショットボタン押し続けで遅めの連射をし、家のカーテンを閉める事で、やっと倒せたのです。

↓ウェーブに育てるまでが遠足ですよ。
 

ウェーブの暴力的な強さに虜となった僕は、更なる攻略に邁進しましたが、Yステージ行きのルートの赤の少なさに参っていました。

3面のFステージ最後の赤2つを取れれば問題ないのですが、何度やっても安定せず、参っていました。

ついでに、某サイトのアイテム数にも間違いや、上記のような実質とれない分も含まれている不備に、より参っていました。

そこで、救いの手となったのがエキストラで、やっとYステージもクリア出来ましたが、それはそれで敵が強く参っていました。

更に、エキストラの「赤増やしたよ!いっぱい取ってね!でもFステージの赤2つは、あ〜げない(^^♪」という矛盾には降参です。

まあ、根性でNEWでもYステージをクリアしましたがね。せ、せめてXとYが逆であれば…。

↓Xステージはミサイル止めでも十分いけるので尚更。
 

まあ、その辺の障害を腕や頭で乗り越えるのもシューティングの楽しみの一つなので、一概に悪く言うのも間違いなのですがね。

ともあれ、何かと叩かれる事もあるし、その意見も一理ある初代ダライアスですが、僕は好きですよ。

ところで某所での、初代ダライアスはコナミの古典横シュー「スクランブル」に似ている、との指摘にはハッとさせられました。

言われてみれば制限のある移動範囲、連射と射撃の両立、そして嫌らしいロケットは、確かにスクランブル譲りです。

その作風を違和感なく実現させるために3画面としたのか、逆に3画面ありきで結果的にスクランブルっぽくなっただけなのか。

いずれにせよ、同じく横STG御三家の一角グラディウスの御先祖様がスクランブルである点を考えると、感慨深い物があります。

↓ただ、ロケット地帯で地面スレスレを飛ぶのは危険。
 

 

9/10 こちらもあわせてどうぞ

・ダライアスバースト アナザークロニクル

アーケードのダライアス最新作ながら、初代に次ぐ32:9の超横長画面で、初代を模した性能の機体が登場します。

・スクランブル

思い出話で述べた横シューです。初代ダライアスと同じくPS4向けに823円で配信中です。

・バトルガレッガRev.2016

自爆で有名な90年代縦シューです。初代ダライアスの一長一短なパワーアップの影響を大きく受けたと思しき奥深い作風です。

・VGF掲示板

検索等で来て頂いたついでに、ご意見ご感想などを残して頂けると嬉しいですが、事前に三か条を一読ください。

 

10/10 最後に

同時期にダライアス30周年ボックスとPS4版DBCSのパッケージの発売が重なったため、それに合わせて作りました。

ちょうど僕の初代ダライアス熱とも重なったため、特に苦労する事もなく書き上げられました。

ただ、5/10のタイトル画面の切り抜きは、ピッタリと画像のサイズを合わせるのが大変でした。あとFステージで赤2つ取るのも。

3画面だから弾幕や後ろからの不意打ちが許された旨や、自爆も一つの選択肢となる旨は、他所にない着眼点かと思われます。

また、本レビューでVGF初となる試みも2つ行いました。

1つは、本に則って目次よりも先に1/10を持ってきた事です。

いくつか本を読んだ所、先に前書きを持ってきて掴みを上手くしている本が多い事に気付いたのでVGFでも、やってみました。

もう1つは、思い出話で試験的に6文ごとに話を区切って画像を1枚のせた事です。

これまでは、ときどき文章がダラダラと続く事があって、読む気が失せた方も居たのかも知れません。

そこで、手持ちのスマホを基準に、出来るだけ画面内で文章や画像に区切りがつくよう意識しました。これも本に多いですよね。

都合により今回は思い出話だけですし、やってみて5文以内がベストで長くても7〜8文までかな、という感じです。

正直かなり厳しい制約で、かなりの枚数の画像を撮らなきゃいけないですが、上手いこと区切っていけたら良いな、と考えています。

なお、4月15日公開とありますが、都合により実際は0時60分前に公開しました。

 

初公開から半年後、バトルガレッガRev.2016のレビュー公開に合わせ、アップデート周りの内容を反映しました。

当初はアケアカの開発会社の変遷に関する持論を書く予定でしたが、上手く書けず時間も無いので微修正に留めました。

2017/10/29 「バトルガレッガRev.2016」へのリンクを追加

2017/04/15 初公開

 

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