ダンジョンズ&ドラゴンズ
タワーオブドゥーム

メーカーカプコン
対応機種プレイステーション3ほか
ジャンルアクション

 

 

 

 

1/10 元祖RPGついにアクションゲーム化!

カプコンは黎明期より、中世ファンタジーの世界観や、いわゆる原作モノを題材としたアクションゲームを多数作ってきました。

よって、中世ファンタジーRPGの原点「ダンジョンズ&ドラゴンズ」を原作としたアクションゲームの計画が立つのも、当然の事でした。

ところが、その第1作となるはずだったゲームは版権が下りず、「ザ・キングオブドラゴンズ」としてのリリースを余儀なくされました。

それから3年が経った1994年、遂に正式に版権を得てD&Dのアーケードアクションゲームをリリースするに至ったのです。

そのゲームこそ、ベルトスクロールアクション「ダンジョンズ&ドラゴンズ タワーオブドゥーム(ドゥーム)」です。

↓日米のキャラクター造形の違いで一悶着あったとか。
 

 

目次

最低限ここだけでも読んで頂きたい項目には「★」、出来れば合わせて読んで頂きたい項目には「☆」が付いています。

それらを読んでもなお飽き足らないのであれば、末尾が空欄の項目も是非読んで下さい。

1.元祖RPGついにアクションゲーム化!

タワーオブドゥームの概要を解説します。

2.格ゲー並の多彩なアクション ★

当時のベルトフロアとしては異例の、格ゲー並の多彩なアクションを解説します。

3.アイテムを駆使した戦略性 ★

ベルトフロアとRPGの融合を象徴する、アイテムや魔法、装備品を解説します。

4.良くも悪くもストイックな作風 ★

タワーオブドゥーム特有の、高難易度かつストイックな作風と、その功罪を考察します。

5.こだわり抜いたRPGらしさ ★

続編にない、タワーオブドゥームならではの拘り抜いたRPGらしさを考察します。

6.その他ドゥームならではの良さ ★

RPGらしさを抜きにした、タワーオブドゥームならではの良さを解説します。

7.まとめ ★

これまでの解説を踏まえ、タワーオブドゥームがどんなゲームで、どんな良さがあって、どんな方に向いているかを解説します。

8.思い出話

文字通り、タワーオブドゥームに関する、個人的な思い出話です。

9.こちらもあわせてどうぞ

本ページと何かしらの関連性や共通点を持つコンテンツを3つ紹介します。あと掲示板もどうぞ。

10.最後に

本ページについての、あとがきです。

 

2/10 格ゲー並の多彩なアクション ★

ベルトフロアの例に漏れず、ドゥームにおいても主なアクションを「A:攻撃、B:ジャンプ」で行います。

ところが、それまでのベルトフロアと同じ感覚でプレイしていると、恐らく最初の場面でゲームオーバーとなる事でしょう。

何故なら、プレイヤーキャラは移動速度が遅く、攻撃のリーチも短い割に、敵が非常に強いためです。

概ね、真正面から近付くと、こちらの攻撃が届かない間合いから簡単にザクザク斬られてしまいます。

よしんば攻撃を当てても、うっかり連打をしてしまうと、途中でガードされて、その隙にザクザク斬られてしまいます。

おまけに敵をドミノ倒しに出来る投げ技も、緊急回避のメガクラッシュもないため、猪突猛進では全く持って話にならないのです。

他にも、お金やアイテムを1つずつ拾うのに時間が掛かる事もあり、基本操作だけでは極めてストレスフルと言わざるを得ません。

↓とりあえず、奥や手前から近付く癖を付けよう。
 

そこで、ドゥームには、当時としては極めて多彩なアクションが用意されています。

ダッシュ、ガード、カウンター攻撃、大振りな強斬り、振り向きざまの攻撃、しゃがみスライディング立ち上がり斬り等々。

これらを使いこなせれば、ある程度はプレイヤーキャラの弱さを補う事が可能となるのです。

中でも、これだけは覚えておきたい、というアクションが4種類あります。

第1のアクションは、ガードです。これは、A押し続け+←(後ろ側)で、文字通り物理攻撃をガードして無力化する行動です。

ドゥームにおいても「軸ずらし(注1A)」は重要ですが、移動の遅さにより、回避が間に合わず喰らってしまう事があります。

(注1A)奥か手前に動いて敵との縦軸をずらす、基本かつ重要なテクニック。

そこで、ガードの出番です。無理に軸ずらしをせずとも、ガードできれば、喰らう事なく物理攻撃をやり過ごせるのです。

また、攻撃をガードすると僅かな無敵時間が発生するので、より安全に仕切り直したり、反撃に転じたり出来るようになるのです。

さらに、ガードの瞬間に→(前側)で、リーチが短いものの、即座に反撃を繰り出すカウンター攻撃も可能です。

ただ、ジャンプ攻撃などを筆頭に、ガードできない物理攻撃もあるため、単にガードしていれば良いとは限りません。

それでも、体力に余裕のないドゥームにおいて、ガードは少しでもダメージを減らすための最重要アクションなのです。

↓ガード中、方向キーを上下に入れると解除されがちなので注意。
 

第2のアクションは、しゃがみです。これは、↓+B押し続けで、文字通りしゃがむ行動です。

立ったままでは、倒れた敵への追い打ちを掛けるのに、わざわざ近付いて奥へ回り込む必要があり、とても不便です。

また、たくさんのアイテムやお金を拾うのに時間が掛かったり、一部の罠を回避できなかったりします。

そこで、しゃがみの出番です。しゃがみ中は、移動や攻撃に大きな制限が掛かりますが、数多くのメリットがあります。

具体的には、正面から追い打ち出来、アイテム拾いが速くなり、一部の罠も回避できるのです。

さらに、後述するスライディングや立ち上がり斬り等も、しゃがみを経由するため、地味ながら欠かせないアクションです。

↓うっかりジャンプしないよう注意して入力しよう。
 

第3のアクションは、スライディングです。これは、\(前側)+B連打で確実に、一定距離を素早く前方へ移動する行動です。

いかに軸ずらしやガードをマスターしたとしても、囲まれてしまえば、どうしようもありません。

軸ずらしをしても、しつこく付きまとって来るし、ましてガード等で止まれば後ろからタコ殴りで、脱出するのも一苦労です。

そこで、スライディングの出番です。囲まれたとしても、敵をすり抜けて簡単に脱出できます。

他にも、いったん敵から離れる時にも役立ちます。横軸だけでも移動の遅さを補い、安全に勝利を掴むための重要なアクションです。

↓スライディング中に\+B連打で、続けてスライディングも可能。
 

最後に、立ち上がり斬りです。これは、↓+B、Aで、素早く踏み込みつつ斬りつける大技です。

軸ずらしやガードを持ってしても、普通の攻撃やカウンター攻撃ではリーチが短すぎるため、あまりに分が悪いです。

また、 敵を転ばせた時、追い打ちをしようにも、しゃがみや回り込みが間に合わず、返り討ちにされるケースもザラです。

そこで、立ち上がり斬りの出番です。少し離れた距離からでも、一気に近付いて奇襲を掛ける事が出来るのです。

倒れた敵にも当たるため、立ち上がり斬りで追い打ちしつつ距離を詰め、更なる追い打ちが出来て一石二鳥です。

さらに、カウンター攻撃が届かなくても、ガード後すぐの立ち上がり斬りならば、無敵時間の間に攻撃を届かせられます。

このように、リーチの短さを補い、一気にラッシュを掛けるための切り札、それが立ち上がり斬りなのです。

↓隙は大き目なので、転ばせられなかったら要注意。
 

以上より、ドゥームのプレイヤーキャラは非常に弱いのですが、それを補うべく多彩なアクションが用意されています。

ガードやスライディング、しゃがみ、そして立ち上がり斬りと、格ゲー並のアクションは、当時のベルトフロアとしては異例でした。

これ以外にも、宝箱を持ち上げて投げつけたり、岩や像を押したりスイッチを弄ったり、といった動作もあるのです。

確かに、これらの使いこなしを前提としている以上、歴代のベルトフロアと比べてもハードルは極めて高い部類に入ります。

また、多彩なアクションの割にボタンが2つしかない以上、操作が煩雑で別のアクションが暴発しがち、といった問題点もあります。

それでも、それなりのメリハリや奥深さをもたらしている点も、また事実です。

以後、ボタン数の増加と合わせて、アクションゲームは、より多彩なアクションを自由自在に駆使する方向へと進む事となるのです。

↓宝箱の投げつけは、意外と大ダメージ。
 

 

3/10 アイテムを駆使した戦略性 ★

このように、ドゥームには多彩なアクションが用意されており、使いこなせば、ある程度は敵と渡り合えるようになります。

しかし、それでも全然足りない程、ドゥームのプレイヤーキャラは弱く、敵は強いのです。

そこで、ドゥームには豊富なアイテムや魔法、装備品があり、プレイヤーキャラの弱さを補ってくれるのです。

例えば、飛び道具のダガーやアロー、マジックミサイルを使えば、立ち上がり斬りでも届かない遠距離からでも攻撃が出来ます。

斜め上に投げるハンマーを使えば、隙だらけのジャンプ斬りよりもローリスクで対空攻撃が可能となります。

さらに、数こそ少ないものの魔法を使えば、敵を一掃したり気絶させられたりして、一発逆転を狙えます。

前述したアイテムはDボタンで選び、Cボタンで使う類の消費アイテムで、なくなると使えなくなります。

それとは別に、拾うだけで一時的にプレイヤーキャラを強化する装備品もあります。

↓なお、たまにダガーやアロー、ハンマーはガードされるので過信は禁物。
 

しかし、これは序の口です。使いこなしで難易度が激変するアイテムが3種類あります。

第1のアイテムは、オイルです。これは、火炎瓶を地面に放り投げ、炎で敵味方関係なくダメージを与えるアイテムです。

タコ殴りにされないよう、前項で述べたアクションを駆使してもなお、敵は平気で遠距離から攻撃したり、再び囲もうとしたりします。

よしんば敵を転ばせたとしても、他の敵が複数いては追い打ちどころではなく、ジリ貧は避けられません。

そこで、オイルの出番です。囲まれたとしても、オイルで片方を封じ込められるため、もう片方への攻撃や脱出に集中できます。

また、転ばせた敵にもオイルが効くし、燃えている敵に攻撃を加えて、再び転ばせる事だって出来ます。

この、俗に「オイルハメ」と呼ばれる一連の作業を繰り返せば、あれほど強い敵を完封する事も夢ではないのです。

なお、オイルハメには注意点があります。普通にオイルを重ねて追いかけようとすると、今度は自分が燃える事となる点です。

そこで、オイルを投げた直後に後ろを向けば、敵がこちら側に吹っ飛ぶため、自分まで燃える事なくハメを継続しやすいのです。

念のため、オイルハメの手順を以下に、まとめます。

(1)転ばせた敵に、オイルを投げる
(2)すぐ後ろを向く
(3)燃えた敵を攻撃し、転ばせて(1)へ

長くなりましたが、オイルは諸刃の剣ながらも、包囲網の突破や更なるラッシュに欠かせない、命綱のような存在なのです。

↓オイル後の攻撃は、→(前側)+Aで出せる強斬りがオススメ。
 

第2のアイテムは、キュアシリアスワンズです。これは、体力を回復させるアイテムです。

とにかくドゥームは、体力に余裕のないゲームです。

敵が強い割に、体力を回復できる機会は、たまにポーションが出る時と、ステージクリアしてショップに入った時のみに限られます。

にも関わらず、回復量は少な目であるため、とにかく余計なダメージを受けないよう慎重な戦い方を求められます。

そこで、キュアシリアスワンズの出番です。これさえ持っていれば、いつでも体力を回復できるのです。

といっても、やはり回復量は少な目であるため過信は出来ませんが、プレッシャーを格段に抑える心の支えに違いないのです。

↓これを残したまま死ぬ事だけは避けたい。
 

最後に、スピードブーツです。これは、移動速度を上げる装備品です。

これまで述べてきた通り、プレイヤーキャラの移動速度は遅く、素早いスライディングで動けるのは横軸のみです。

一応、→→(前方)でダッシュすれば、縦軸にも速く動けますが、小回りが利かないため、あまりアテになりません。

そこで、スピードブーツの出番です。これを取れば、小回りを利かせつつ縦軸にも速く動けるようになるのです。

中には、スピードブーツが無ければ回避が困難な攻撃もあるので、いかにスピードブーツを残すかが命運を左右するのです。

↓この羽の付いた長靴で軸ずらしも楽ちん。
 

以上より、ドゥームのプレイヤーキャラが抱える弱点を補うべく、豊富なアイテムや魔法、装備品が用意されています。

数に限りのあるアイテム等を戦略的に使いこなしたり、道中で装備品を取って強化したりする様は、さながらRPGです。

そのRPG的な作風と、格ゲー並の多彩なアクションのハイブリッドは、当時としては実に画期的でした。

それ故、要求される知識や技術が半端でなく、とても一般人が気軽に手を出せるゲームではありません。

一方で、全世界の熱心なゲーマーからの熱烈な支持を得るには、十分すぎるほど重厚長大かつ高度なゲームである点も事実です。

以後、ゲーム業界は熱心なゲーマーを対象に、RPGとアクションゲームのハイブリッド的な作風を突き詰めていく事となるのです。

↓多人数プレイでの役割分担も魅力的。
 

 

4/10 良くも悪くもストイックな作風 ★

同じD&Dのアクションゲームなのに、続編シャドーオーバーミスタラ(ミスタラ)とは全く異なる作風が、よく取り沙汰されます。

端的に言えば、ドゥームの作風は良く言えばストイック、悪く言えば地味で苦痛です。

それを最も象徴するのが、A連打による連続技が、ほとんど役に立たない点です。

前々項で述べた通り、ドゥームで連続技を出しても途中でガードされたり空振りしたりして、返り討ちにされる場合がほとんどです。

一応、至近距離で敵が固まっている時など、そこそこ役立つ場面もあるのですが、やはり返り討ちのリスクが付いて回ります。

そこで大事なのが、歩き斬りです。これは、文字通り前に歩きながら一定のリズムで通常攻撃の1段目を出し続けるテクニックです。

連続技よりも続けて攻撃しやすく、ガードされたとしても、すぐ攻撃を止めて仕切り直せるため、返り討ちにされにくいです。

よって、敵の懐に潜り込んだら歩き斬り、これが基本かつ重要なのです。

これまでの解説をまとめると、まず軸ずらしやガード、そしてスライディングを駆使して、相手の様子を伺うのが第一です。

チャンスと見たら歩き斬りで斬れるだけ斬ったり、立ち上がり斬りで奇襲をかけたりして、無理せず慎重に攻撃を当てて行きます。

落ちたお金やアイテムは、時間が経てば消えてしまうので、余裕があれば、しゃがんで早めに拾います。

苦しいならオイルなどの強力なアイテムを駆使して活路を見出す、これがドゥームの作風なのです。

↓連続技は、ゾンビになら若干決まり易い。
 

これはこれで面白いのですが、従来のベルトフロアのように、派手な連続技で敵をバッタバッタと倒していく爽快感とは程遠いです。

とにかく慎重に動き周り、歩き斬りでチマチマと斬っていく戦闘を、地味で苦痛と感じ取られたとしても、仕方がないかも知れません。

他にも、ダメージ量や回復量が完全にランダムで、運が悪いと数回喰らっただけで致命傷で、あまり回復できなかったり。

また、喰らって装備品が壊れるか否かもランダムで、スピードブーツが壊れた時点で難易度が急上昇したり。

スライディングや立ち上がり斬りが出し辛く、出すのがワンテンポ遅れたり、お金やポーションを拾うのに時間が掛かったり。

スタンバイのアイテムも文字と色だけの表示で分かり辛く、散らかりがちで目当てのアイテムを探すのが大変だったり。

このように、D&Dとしてはともかく、いちベルトフロアとしては理不尽で不便な点が、ドゥームに数多く存在しているのです。

その上でドゥームならではのストイックな作風に魅了されたファンも多いですが、それ以上に挫折した層が数多く出てしまいました。

その反省からミスタラでは、ほぼ別のゲームと化すほど爽快感、操作性、そして快適さを格段に高める事となるのです。

↓特に魔法系キャラはアイテム探しが大変。
 

 

5/10 こだわり抜いたRPGらしさ ★

2016年現在、知名度、人気、ゲーセンでの設置台数、いずれもドゥームよりミスタラの方が上、とされています。

では、ミスタラがある今となっては、ドゥームに遊ぶ価値は無くなってしまったのでしょうか?

結論から言うと、答えはNOです。

確かにドゥームは色々な意味で人を選ぶ作風ですが、一方でミスタラに無いドゥームならではの美点がある点も事実です。

その美点とは、3種類の観点からベルトフロアに落とし込まれたD&D、ひいてはRPGらしさが大きいです。

第1のRPGらしさは、分岐のあるストーリー展開です。

単にストーリー性だけなら、従来のベルトフロアにもありますが、選択肢によるステージの分岐は珍しかったと思います。

ステージだけでなく、選ばなかった方の顛末―――もっと言えば、ある人物の生死までもが分岐される事があるのです。

さらに、選んだステージによっては、助けてくれたお礼にと、武器や防具をもらえる等、RPGらしいイベントが豊富です。

筋書き自体に変化はありませんが、こうした微妙な変化により、色々な分岐の顛末を知りたくて、繰り返し遊びたくなる事でしょう。

こうしたストーリーの分岐がミスタラでは、ほとんど省かれてしまったため、結果的にドゥームならではの美点となっているのです。

↓序盤にして、顛末の違いがハッキリと現れる分岐。
 

第2のRPGらしさは、古典RPGらしい戦闘の再現です。

これまでに述べたドゥームのストイックな作風は、古典RPGのターン制の戦闘を忠実に再現した結果、とも取れます。

敵が現れた!プレイヤーの攻撃!敵に2のダメージ!敵の攻撃!プレイヤーは、ひらりと身をかわした!

時に、このようなターン制にツッコミを入れられる事もあります。敵味方を問わず、律儀に1回だけ行動するのはシュールだ、と。

ドゥームをプレイすると、その実これほどまでに凄まじい睨み合いが繰り広げられているのか、と驚愕する事うけ合いです。

逆に言えば、その睨み合いの結果、ドゥームのように慎重に戦っている様子がターン制なのだ、と再認識できる事でしょう。

再現ぶりは戦闘の様子だけでなく、原作のD&Dのモンスターにまで及びます。

中でも、炎でなければ倒せないトロルや、一定条件で魔法を無力化するビホルダーには、かなりのインパクトがあったものです。

その結果、確かにベルトフロアとしてはハードルが高くなりましたが、こだわり抜いたRPGらしさは、ミスタラに無い美点なのです。

↓敵との遭遇時に音楽が切り替わる点もRPGらしい。
 

最後に、探索要素です。

RPGの楽しさの一つに、ダンジョンを探索して謎を解き、お宝をゲットする点もあると思います。

もちろん、ドゥームにおいても、その楽しさが詰め込まれています。

単に寄り道をするだけでなく、隠された部屋を見つけたり、看板をヒントに謎を解いたりする事が求められるのです。

中には、とんちを利かせなければ正解できない謎解きや、知らなければ発見できない隠し部屋もあり、一筋縄ではいきません。

もちろん、お宝の中身も、それに見合った強力なアイテムばかりなので、ゲットできるか否かで難易度が大きく変わります。

ついでに、ステージ内のルート分岐も存在しているため、より楽しくダンジョンの探索に臨めます。

良くも悪くもミスタラでは探索要素が減少したため、ドゥームの豊富な探索要素は探索好きには、たまらない美点なのです。

↓ボタン連打で隠し扉を開くのだ!最後までキッチリと!
 

以上より、ドゥームの美点とは、ストーリー分岐、ターン制の戦闘の再現、そして探索要素から来るRPGらしさにあります。

それがベルトフロアとして難点を抱える作りであるとしても、D&Dのアクションゲームとして唯一無二の輝きを放っているのです。

↓毎回問題が異なり、間違えたら泣きたくなる鬼の謎解き。
 

 

6/10 その他ドゥームならではの良さ ★

ドゥームの良い点は前項で述べたRPGらしさだけでなく、もう3種類あります。

第1の良さは、シリアスな雰囲気です。

ストイックな作風に違わぬ、音楽、美術、そして文章のいずれもシリアスな雰囲気で統一された世界観は、ドゥームならではです。

クラシック調の物悲しい音楽をバックに、おびえた男が助けを求める冒頭の時点で、それを十分に感じ取る事が出来ます。

また、モンスターの恐ろしさを強調する表現や演出の多さも、ゲーム中の敵の強さとマッチしており、より雰囲気が出ているのです。

一方、ミスタラでは作風の変化と共に、敵がコントしたり、ラスボスが金髪美女だったりと、若干ライトな雰囲気となりました。

どちらが良いかは人それぞれですが、ファンタジーはシリアスでナンボ、という方にはドゥームが打ってつけでしょう。

↓もちろん、ヒロイックファンタジーの王道たるシーンもあり。
 

第2の良さは、丁寧な描写です。

それは緻密に描き込まれた重厚かつ滑らかなドット絵もさることながら、場面ごとの演出からも伺えます。

暗い洞窟では明かりを灯したり、エリア内の照らしによってキャラの色が変化したりする描写は、当時としては画期的でした。

また、炎でトドメを刺されたキャラは燃えカスとなる等、拘りのある描写もまた、シリアスな雰囲気作りに貢献しているのです。

さらに音楽面においても、ミスタラと違って使い回しは殆どなく、場面や敵ごとの雰囲気を丁寧に彩っているのです。

確かに、ミスタラほどの派手な演出はありませんが、拘りを感じさせる丁寧な描写を好むのであれば、ドゥームで決まりです。

↓コウモリの飛翔が、不安と恐怖を煽る。
 

最後に、シビアながらも整ったゲームバランスです。

プレイヤーキャラの弱さに不釣り合いな敵の強さ、煩雑な操作性に不便なアイテム管理、そして運任せな要素の数々。

これらが合わさって、ドゥームの難易度はミスタラと比べるまでもなく、極めて高い部類に入ります。

それでも、ドゥームとて歩き斬りさえ覚えれば、カプコン伝統の2面殺しまでは、それほど突き放す難易度でもないのです。

2面ボスを筆頭とした難所であっても、やり込みや各アクション、アイテム、そしてパターンの習熟により、クリアは見えてくるはずです。

また、序盤から終盤にかけての難易度上昇も絶妙で、運任せの要素もあって、常に適度な緊張感を持ってゲームに臨めるのです。

この整ったゲームバランスは、序盤が激ムズで中盤以降が楽、という傾向にあるミスタラの大味さとは対極的と言えます。

確かにシビアで難しいですが、それ故に歯ごたえのある難易度を求める層に応えられるだけの器が、ドゥームにはあるのです。

↓格ゲー的な操作が苦手な方にも向いているであろう。
 

以上より、ドゥームの良さはRPGらしさに留まらず、シリアスな雰囲気、丁寧な描写、そして整ったゲームバランスにまで及びます。

総じて丁寧さを感じられる作りは、ミスタラとはまた違った良さであり、そこに惹かれる根強いファンを数多く生み出しているのです。

↓ボス達のカリスマ性も段違いだ。
 

 

7/10 まとめ ★

ドゥームは、D&Dのベルトフロアという名目で、実に3つの新たな試みを取り入れた、野心的なゲームです。

第1に、格ゲー並の多彩なアクションです。

ガードやスライディング、しゃがみ、そして立ち上がり斬りと、格ゲー並のアクションは、当時のベルトフロアとしては異例でした。

これらの駆使を前提とした作風はハードルこそ高く、操作も煩雑であるものの、それなりのメリハリや奥深さをもたらしました。

第2に、アイテムや魔法、そして装備品を駆使した戦略性です。

飛び道具を投げたり、炎で敵を焼き払ったり、その場で回復したりといった規格外な行動も、アイテムさえあれば可能となるのです。

そうしたアイテムを戦略的に使いこなしたり、道中で装備品を取って強化したりする様は、さながらRPGです。

最後に、探索要素です。

ダンジョンを隅々まで探索し、ヒントを元に謎を解き、強力なアイテムをゲット。

こうしたRPGならではの楽しみは、もちろんドゥームでも健在であり、探索好きの探究心に火を付けます。

このように、ドゥームは今日主流である、RPGとアクションゲームのハイブリッド的なゲームの先駆けなのです。

一方で、続編のミスタラと比べると、良くも悪くもストイックで、人を選ぶ作風である嫌いは否めません。

強すぎる敵や大きすぎる運任せの要素による、慎重さ第一の戦闘は、従来のベルトフロアらしい爽快感とは程遠いです。

また、煩雑でレスポンス性に劣る操作性、時間の掛かるアイテム拾い、そして散らかりがちで探し辛いアイテム管理など。

後にミスタラで爽快感と共に、大きく改善される事となる点が数多く存在する等、ベルトフロアとして難ありと言わざるを得ません。

それでも、数多いルート分岐、シリアスな雰囲気を象徴する丁寧な描写に豊富な音楽など、ミスタラよりも優れる点も多くあります。

作風に関してもD&D、ひいては古典RPGの戦闘の再現ぶりや、整ったゲームバランスにこそ、惹かれる層も少なくないのです。

以上より、ドゥームはファンタジーの世界観が好きよりD&Dに忠実なアクションゲームをしたい、という方にオススメです。

↓トロルにトドメを刺さない時だけのイベント。
 

 

8/10 思い出話

ドゥームの連続技の決め辛さは、ストイックな作風を考えても納得が行かないものでした。

せっかく連続技があって、しかも2〜3段目が違う斬音で爽快感があるのに、なかなか決められないのは勿体ないと思います。

個人的には、背後からなら連続技が確実に決まる、という風にしてくれたら嬉しかったです。

これなら、歩き斬りメインの作風を大きく崩さず、背後に回る駆け引きと、その御褒美が新たに生まれて楽しいのではないかと。

まあ、ゾンビにだけ少し決め易い点は、カプコンなりに作風と連続技の両立に苦慮した結果なのかな、とは思いますが。

ところで、現在のノーコンティニューでの進み具合は、レッドドラゴン戦の前後です。

レッドドラゴン強すぎ!その逃げ道のはずのビホルダーも強すぎ!そいつらの後もムズすぎ!

という事で諦めかけるも、スピードブーツありなら何とかレッドドラゴンを倒せるぐらいには頑張りました。

レビューまでにノーコンクリアも目指せるかと思いきや、まさかの病欠により、それを果たせなくなった点は心残りです。

↓ザイード様のテーマは、ミスタラでもアレンジされる名曲。
 

 

9/10 こちらもあわせてどうぞ

・ダンジョンズ&ドラゴンズ ミスタラ英雄戦記

ドゥームとミスタラの2本を同時収録したPS3ソフトです。忠実な移植に加え、ゲームを快適に遊べる追加要素が豊富です。

・D&Dドゥーム 段階式攻略法

VGFにおけるドゥーム攻略の目次です。

・タイムクライシス

銃で 撃って隠れるガンシューの初代です。ドゥームと同じく、続編以降とは毛色の異なる運任せ、かつストイックな作風です。

・VGF掲示板

検索等で来て頂いたついでに、ご意見ご感想などを残して頂けると嬉しいですが、事前に三か条を一読ください。

 

10/10 最後に

当初、ドゥームのレビューは、もっと後に7項目のプチ・ゲームレビューとして作ろうかと考えていました。

ただ、ライフフォースやレベレーターを経て、このままでは本業の方がネタ切れしてしまう、と危惧した事。

また、ドゥームがあったからミスタラがある、先にドゥームを作った方がミスタラを作り込める、と考えて、急きょ本業で作りました。

ただ、それを決めたのが10月という、突貫工事待ったなしな状況で、しかも例によって制作コンセプトは、なかなか決まらず。

已む無く1回分延期するも、今度は病欠というアクシデントに見舞われた事から、制作に掛ける時間は、ほとんどありませんでした。

本当は、もっと思い出話で色々と書きたかったのですが、時間が無いので最低限の事しか書けませんでした。

前々から考えてはいたのですが、無理をしてまで月2回のペースで更新する意味はないんですよね…。ペースダウンも考えます。

 

ドゥームの段階式攻略法を作れる目途が立ったので、トバルと差し替えましたが、いずれはトバルも作る予定です。

なお、思い出話に関してはミスタラ英雄戦記のレビューを御覧ください。

 

段階式攻略法の公開に合わせ、1/10を目次より先に持って来ました。

2017/08/30 「PS3版ダンジョンズ&ドラゴンズ タワーオブドゥーム 段階式攻略法」へのリンクを追加

2017/03/16 「ダンジョンズ&ドラゴンズ ミスタラ英雄戦記」へのリンクを追加

2016/10/30 初公開

 

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